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2025.01.29

NGAV(次世代アンチウイルス)と従来型アンチウイルスの違い

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昨今はサイバーセキュリティ事故のニュースが日常的に報じられ、今や他人事ではいられない状況です。事故にあった会社はセキュリティ対策を怠っていたのでしょうか。恐らくそうではなく、過去にアンチウイルスを導入したりファイアウォールを導入するなど、何かしらの対策はしていたはずです。それにも関わらず事故に遭うという事は、過去のウイルス対策製品が、現在のセキュリティ脅威に対応できていないことのあらわれと考えられます。

そこで実際に最新の技術を導入している場合とそうでない場合の違いがどれほどあるのか、エンドポイントのセキュリティ対策にフォーカスし、次世代アンチウイルス(以下、NGAV)と従来型のアンチウイルスの違いや、実際の検知率の差について、専門家にインタビューを行いました。

今回は、USEN ICT Solutionsが販売しているセキュアエンドポイントサービス(Va)で使用している WithSecure のNGAVのマネージドサポートを提供いただいているバリオセキュア株式会社の山森様にお話をうかがいました。

機能の違い

 ーアンチウイルスとNGAVの主な機能の違いについて説明していただけますか?

従来のアンチウイルスは、既知のウイルスのパターンに一致するかどうかを確認することでウイルスを検出します。ウイルスのパターンは日々更新されておりますが、未知のウイルスには効果がありません。

NGAVでは、ふるまい検知や機械学習といった技術を利用してウイルス固有の行動を捉えることができます。また、サンドボックス機能により隔離された環境でプログラムを実行し、プログラムの挙動を確認します。これにより、未知のウイルスの脅威も検出することができる特性を持っています。

これらの機能により、NGAVは従来のアンチウイルスがカバーできない脅威に対する対策を強化することが可能となります。

NGAVの優位性

 ーNGAVがアンチウイルスに対して優れていると思われる特定のマルウェアまたは攻撃手法はありますでしょうか?

例として、「ゼロデイ攻撃」に対して優れていると思われます。ゼロデイ攻撃とは発見された脆弱性を解消するための対策が提供される前に行われるサイバー攻撃です。

従来型のファイルスキャンは、「既知のマルウェア」に対しては有効ですが、ゼロデイ攻撃のような「脆弱性についての対策が存在していない」攻撃に対してはほぼ効果を発揮できていませんでした。

NGAVの「デバイス制御」機能は「ファイルに対しての変更試行をブロックする」能力を持っていますので、パターンマッチングでマッチングしないウイルスでも、PCのファイルに対して、権限等を変更しようとする動きがあれば、そこでマルウェアの動きをブロックすることができます。

検知率の違い

 ーバリオセキュア様の運用実績の中からアンチウイルスとNGAVのそれぞれの検知率はどの程度の差があるか教えていただけますか?

ある一定期間の一定数のエンドポイント端末への脅威情報をまとめました。

  • 対象総ライセンス数:約24,500
  • 集計期間:2024年5月1日~2024年10月31日

WithSecure 基準の従来型のファイルスキャンで検知された数

5,231件

WithSecure 基準のNGAV(ディープガード:ふるまい検知や機械学習)で検知された数

10,593件

上記のような結果になりました。

これは従来型のアンチウイルスでは、およそ1/3程度しか脅威を検知できていないことを示しています。新しい技術を採用することの重要性を明確に示すデータだと思います。現在も更新されていないアンチウイルスを利用されている方は、すぐにでも最新NGAVを検討することをおすすめめします。

また、ソフトメーカーにより機能の違いはありますが、NGAVに付与されている他の機能で防御できた脅威もあります。

検知能力の違い

 ー過去の特定の事例を挙げて、アンチウイルスとNGAVの検知能力の違いについて説明していただけますか?

例えば、WithSecure 社のNGAVの機能の一つに「ロールバック機能」というものがあります。この機能は、ランサムウェア等のマルウェアからユーザーを保護し、ファイルやレジストリをマルウェアが感染した前の状態に復元することができます。また、ウイルスによるシステムやレジストリの変更を検知する機能も持っています。

2024年8月から10月後半の間に、お客様のPCがマルウェアに感染し、そのPCのファイルやシステム設定が変更された、という事例が3件ありました。これらの事例はすべてロールバック機能により感染前の状態に復元がされました。従来型のアンチウイルスだけでは、以前の状態に復元できませんでした。したがって、この事象は「NGAVだからこそできたこと」と言えます。

まとめ

上記結果から、最新のNGAVに移行をすることで、攻撃を遮断できる確率は3倍になるという一つの事例を示すことができました。今回は特定の期間と特定のエンドポイント端末についての一例ではありますが、実際の運用結果をもとにした回答を得られたため、とても身近に感じられる内容だと思います。

このコラムが、セキュリティ対策の不安を解消するきっかけになればと思います。

専門家
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山森 郷司
20世紀末期よりIT業界でネットワークエンジニア・プログラマとしての経験を積む。技術部門マネジメントへと進む一方で、事業部長として営業部門も統括するなど、幅広い領域での経営経験を積んだのち、2018年7月よりバリオセキュア株式会社に取締役CTOとして参画。中小企業のための「情シス as a Service」を次のビジョンとして提唱しながら、24時間365日・全国駆け付けの可能なマネージド・サービスを推進してきた。2024年9月、バリオセキュア代表取締役社長に就任。「情シス as a Service」をさらに進化させたBPaaSパッケージととして、中小企業に最適なセキュリティをワンストップで提供する「Vario Ultimate ZERO」を強力に推進中。
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