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2025.04.16

Outlook.com のメール認証義務化:2025年5月、あなたのメールの不達を防ぐために

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はじめに

Microsoft は、Outlook.com などのメールサービスに向けて、SPF・DKIM・DMARCの設定を義務付ける新たなルールを発表しました。これは大量にメールを送信する送信者側に対して、これらのメール認証技術の設定を義務化するという内容です。設定が不十分な場合 Outlook 側でメールが受信拒否されたり、迷惑メールとして処理される可能性があります。このルールは、2025年5月より施行される予定です。

新ルールの概要

送信元ドメインには、SPF(Sender Policy Framework)・DKIM(DomainKeys Identified Mail)・DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)の3つのメール認証設定を行う必要があります。これらの設定に対応していないメールは、迷惑メールフォルダへの振り分けや、将来的には完全な受信拒否の可能性があります。

SPF

送信元のIPアドレスがそのドメインからの送信を許可されているかどうかを検証する仕組みです。ドメインのDNSにSPFレコードを正しく設定し、使用しているメールサーバーのIPアドレスを明示する必要があります。

DKIM

送信元ドメインで生成した電子署名をメールに付与し、受信側で検証することでメールの改ざんやなりすましを防止します。送信されるメールはDKIM署名を持ち、受信側で認証(DKIM=pass)される必要があります。

DMARC

SPFまたはDKIM(理想としては両方)の認証結果に基づき、受信したメールをどのように処理するか、というポリシーを定義する仕組みです。

要準拠の4項目

また Microsoft は、送信者の「品質と信頼」の維持する目的で、以下の4つの項目への準拠も求めています。

  1. From または Reply - To に記載するアドレスは、返信を受け取ることができる有効なものであり、実際の送信ドメインを正しく反映している必要がある。
  2. マーケティングメールや大量送信メールにおいては、受信者が配信停止を希望した際にすぐ対応できるよう、明確で視認性の高い配信停止リンクを設置する必要がある。
  3. バウンス(宛先不明などの理由で送信エラーとなったメール)が発生する無効な宛先や、開封・クリックなどのエンゲージメント(反応)がないアドレスは、定期的にリストから削除し、リストの健全性を維持することが推奨される。
  4. 件名はメールの内容と一致している必要があり、誤解を招くようなヘッダー情報は避けるべきです。また、メールは必ず、「受信する」ということに明確に同意した相手(オプトイン済みのユーザー)に対してのみ送信する必要がある。
参照)Microsoft Defender for Office 365 Blog: Strengthening Email Ecosystem:Outlook’s New Requirements for High‐Volume Senders
techcommunity.microsoft.com
参照)Microsoft Defender for Office 365 Blog: Strengthening Email Ecosystem:Outlook’s New Requirements for High‐Volume Senders

おまけ:簡易SPFチェックツール EasyDMARC で診断してみよう

EasyDMARCというサイトの中で、組織のドメインに対しての簡易IPアドレスチェックが可能です。EasyDMARCのSPFチェックは、組織のドメインに設定されているSPFレコードをDNSから取得して、その内容を診断します。

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SPFレコードの有効性(Valid/Invalid)やDNSルックアップ数(9/10 ※1)、許可された送信元(IP/サービス)数、そしてその他検出された潜在的な問題などが確認できます。

※1 SPFのルックアップが無制限に行われると、DNSに対する過剰なアクセスが発生し、DoSやDDoSなどの攻撃に近い状態を招く可能性があります。また、メール配送の遅延や、メールサーバーのパフォーマンス低下といった影響も懸念されるため、RFCでは「SPFのDNSルックアップ回数は最大10回まで」と明確に定められています。

特に、include を用いて他ドメインのSPFレコードを参照しているケースでは、不要な記述がないかを見直し、SPFレコードの構成を効率化することが重要です。


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まとめ:一体何をすればよいの?移行体制完了チェックを入れてみよう

最後に、2025年5月に施行される Outlook.com のメールサービスにおける認証強化に対するあなたの企業の対応状況を確認しましょう。

技術設定編(IT管理者または業者さんに相談)

☐自社ドメインにSPFが設定されているか確認
☐自社ドメインにDKIMが設定されているか確認
☐自社ドメインにDMARCが設定されているか確認

※未設定または形式が古い場合は、メールサーバー管理者やベンダーに相談してください。


配信運用編(マーケティング・広報・営業担当向け)

☐配信停止リンクが付いてるか確認(特にメルマガを送っている場合は要チェック)
☐なりすましっぽい「差出人名」になっていないか確認
☐開封されていないアドレス宛てに何カ月も送り続けていないかチェック
☐新規リストはオプトイン(同意取得)済みかチェック


執筆者
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髙橋 拓実
セキュリティ商材のプリセールス、社内システムエンジニアとしてのセキュリティ対策主幹業務を経て、ペネトレーションテスターや脆弱性診断士として従事。現在は、情報セキュリティスペシャリストとして、ITサービスの企画立案、コンサルティング対応、診断業務を行う。ISMSの認証取得支援にも携わり、セキュリティ分野で幅広い業務を担当。GIAC GWAPT、CEH、CHFIなどの専門資格を保持し、セキュリティ分野における高い専門性を証明。また、会議や商談において英語での会議通訳などの対応も執り行う。

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