中小企業セキュリティガイドラインを読み解く:ひとり情報システム担当者必見!
中小企業のセキュリティ対策、どこから始めればいいの?
IPA(情報処理推進機構)が公開している「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」をご存じでしょうか。 中小企業の経営者や情報システム担当者なら一度は目にしたことがあるかもしれません。このガイドラインは、情報セキュリティ対策に取り組む際の経営者が認識し実施すべき指針と社内において担当者が対策を実践する際の手順や手法をまとめたものです。
ガイドラインは1部、2部の構成に分かれており、1部は経営者向けの提言として認識すべきことややらなければならないことが書かれています。 2部の実践編では、情報セキュリティ対策を実践する責任者・担当者を対象に実務的な進め方について説明されています。
今回は、このガイドラインを紐解き、中小企業のひとり情報シスの担当者が今すぐ実践できる具体的な対策をわかりやすく解説していきます。
第1部:経営者編 ~7つのステップで、具体的な対策を~
経営者編では、経営者向けの提言として、認識すべき3原則を掲げています。
- 第一の原則は、「情報セキュリティ対策は経営者のリーダーシップで進める」ことです。経営者は情報セキュリティ対策の重要性を認識し、自らリーダーシップを発揮して対策を進めるべきです。
- 第二の原則は、「情報セキュリティ対策は経営課題であり、経営計画に取り込む」ことです。情報セキュリティは、企業の業績や信用を保つための重要な課題であり、経営計画に情報セキュリティ対策を組み込む必要があります。
- 第三の原則は、「情報セキュリティ対策は全従業員が参画する」ことです。情報セキュリティ対策は全従業員が参画し、理解と協力を得ることで実効性が高まります。
また、経営者が、情報セキュリティ対策を実施するための「重要7項目の取組」を提唱しています。これらは、経営者が情報セキュリティ対策を推進するための具体的なステップです。
- 情報セキュリティ基本方針の策定
- 情報セキュリティ対策のための予算や人材などを確保する
- 必要と考えられる対策を検討させて実行を指示する
- 情報セキュリティ対策に関する適宜の見直しを指示する
- 緊急時の対応や復旧のための体制を整備する
- 委託や外部サービス利用の際にはセキュリティに関する責任を明確にする
- 情報セキュリティに関する最新動向を収集する
上記7項目を自ら実践するか、実際に情報セキュリティ対策を実践するうえでの責任者・担当者に対して指示する必要があると説明しています。
第2部:実践編 ~段階的にセキュリティレベルアップ!~
実践編では、情報セキュリティ対策を実践する責任者・担当者を対象に実務的な進め方について説明しています。ステップが進むにつれてより具体的な取り組みに入っていきます。
- できるところから始める
- 組織的な取り組みを開始する
- 本格的に取り組む
- より強固にするための方策
また、ガイドラインには付録がついていてとても充実しています。 作成すべき規定のサンプル案やセキュリティ基本方針、関連規定のサンプルなど、一から書き起こすとなると膨大な時間がかかってしまう資料のテンプレートが用意されていますので活用しない手はありません。 無料で入手できますのでぜひご活用ください。
ガイドラインでは、これらの対策を実施することで、情報セキュリティ事故を防ぎ、企業の信頼と業績を保つことが可能になると述べています。また、中小企業においても、情報セキュリティ対策は経営課題の一つであり、経営者のリーダーシップの下で取り組むべきだと強調しています。
中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインは、中小企業が抱える情報セキュリティのリスクを軽減するための重要な指針です。 この記事では、ガイドラインのポイントを解説し、ひとり情報シス担当者が今すぐ実践できる対策を紹介しました。まずは、簡単なことから始めて、徐々にセキュリティレベルを高めていきましょう。