押さえておきたい無線LANアクセスポイント構築!会社のWi-Fi環境をICT Solution!
コロナ禍でのデジタルトランスフォーメーション(DX)により、日本の働き方は大きく変化しました。
同僚と離れて座りオンラインで話すか、同じ会議室で顔を合わせて話すか、時代が要求する働き方に順応していく為に、移転をきっかけに有線LANを廃止する舵をきった情シス担当がここにも1人ーーー
移転プロジェクトも終盤。子会社は本日から新オフィスでの稼働がスタート。
はじめくん、子会社は今日から新オフィスかね。
にのまえのデスクに置いてある子会社オフィスのフロア設計図を見ながら部長がつぶやいた。
少し前まで、無線LANはゲスト用ネットワークという考え方が主流だったのが、今では社員用ネットワークも無線LANが必須な時代とはね。私の自宅もWi-Fiだよ、にのまえくん。設置も簡単だし配線がなくてスッキリしていいもんだ。新オフィスも私が無線LAN構築してあげたかったね。がははははは。
いや、はい、そうですね…(個人宅とオフィスでは難易度が天地の差なんですけどねぇ)。
とにかく無事に移転日までこぎつけられて一安心です。休暇でも頂きたいなぁ。
やっと移転プロジェクトから解放されると思っていたにのまえに子会社オフィスの従業員から一本の電話が…。
ええ?!通信が遅すぎる?仕事にならないから今すぐ来てくれ?えー...と、すぐに向かいます!
にのまえが慌てて子会社の新オフィスに訪れると、
そこには電子レンジで弁当を温めながらニヤニヤしているDr. プロトコルが...。
何をやってるんですか!
何って弁当を温めてるんだろう。見たら分からないもんかね。クックック。
どういう事ですか...ああ、それどころじゃない。通信が遅すぎるとクレームが入ってたんだった。僕のノートPCを無線LANにつないで...っと。
....んー、本当だ、やっぱり遅すぎるみたいだ。何が悪かったんだろう。
Dr. プロトコルはスマホを取り出し動画を視聴し始めた。ワイヤレンスイヤホンで聞いてるらしく音声は漏れてこないが、焦るにのまえは、どうしても目の前で楽しそうにしているDr. プロトコルに気を取られてしまう。
あぁ...なんなんだこんな時に。落ち着け落ち着け。まずこのワンフロアに無線LANアクセスポイントは全部で3つ。それぞれ32台まで接続できるんだから、今日来ている従業員がPCだけじゃなくスマホやタブレットを繋いだとしたって余裕のはずなんだ。
接続台数が多すぎるから、っていう理由じゃないことは確かだ。
「チーン」と電子レンジが鳴った。
おっと。唐揚げ弁当が温まったな。次はのり弁だ。
いっひっひっひっひ。動画を見るよりはじめを見てた方が面白いかもな。
はじめは真面目なバカだからな、どんどんはじめの中に負のエネルギーが溜まってるのが見えるぞー。
そうだ、このはじめの様子を撮影してネットにUPしてやろう。
一体なんなんですか!こっちはトラブルで集中したいって時に冷やかしなら帰ってくださいよ!
あーもう!
怒るにのまえを撮影しながらDr. プロトコルがネットにそのデータをUPしようとした時、
情シスマンが電子レンジのコードを抜き、まだ温まっていないのり弁をDr. プロトコルに投げつけた。
うわ!何をする!アップロードを中断してしまったじゃないか!
Dr. プロトコル、悪さはそこまでだ。わざと電波干渉を起こしてこの会社の通信に悪影響を及ぼすのはやめろ!!
で...電波干渉?Dr. プロトコルが何かやってたせいで子会社の無線LANは遅くなってたんですか?
うむ、あの電子レンジも、イヤホンのBluetoothもだ。
説明は後だ。Wi-Fiサーチャー!とりあえずこれにアクセスさせれば従業員達は業務が続けられるはずだ。
Wi-Fiサーチャー
情シスマンのベルト部分についているWi-Fiルーター型のサポート武器。アクセスポイントを立てるだけでなく、トラフィックスカウターとしても役に立つ。
余計な事をするんじゃない!これでWi-Fiサーチャーを無効化してやる、喰らえ!
マルチLANハンド!!!
マルチLANハンドからウイルスが仕込まれた不正アクセスが出てWi-Fiサーチャーに襲い掛かっている。
くぅ...しぶとい奴だ。しかしこれで終わりだDr. プロトコル!
マルチセキュリティツールセット!
マルチセキュリティツール
情シスマンのベルト部分についているセキュリティツール。カードについているボタンを押して共通鍵や秘密鍵の生成はもちろん、カードをかざすことでポートやプロトコルの制御や操作もできる。また、カードを変形ルーターウォールや光ファイバーテイルに差し込むことでウイルス駆除やレジストリの復元を行なうことができる。
くそーー、私の攻撃を無効化するとは。覚えていろ!
Dr. プロトコルはまだ暖かい唐揚げ弁当を片手に電脳空間へ去っていった。
な、なんかいつにも増して激しい戦いだったような...。とにかく従業員が仕事出来るようになってよかった!
まだ終わりではない。私の武器をずっとここに置いておくわけにはいかないぞ。
無線LANアクセスポイントの構築について抜本的に改善しないといけない事がある。
抜本的に…子会社移転プロジェクトも落ち着いたと思ったのに…
接続台数以外にも考えなきゃいけないことがあるんですね。
どうしたらいいか教えてください!情シスマンさん!
調査
- 電波干渉しない無線LAN環境を構築する
- 最適なアクセスポイントの設置について理解する
いいか、はじめ。無線LANの周波数には2.4GHzと5GHzがある。
お前の会社は2.4GHz帯のみを使う設定になっているが、2.4GHz帯は電子レンジ、家電製品、Bluetoothなどでも使われる周波数が故に電波干渉※を起こしやすい。
※電波干渉とは...同じ周波数の中に多くの無線が飛び込んでしまい、それぞれの無線がぶつかり合うことで通信が不安定になり、速度の低下を招くこと
5GHz帯を使えば、今回の速度低下は解消するってことですか?
5GHz帯はWi-Fiのみで使われる周波数帯なので電波干渉を受けにくいのは確実だが、
2.4GHzに比べて電波の届く距離が比較的短い事や障害物に弱いのがデメリットだ。
ええ、じゃあどうしたらいいんですか。
うむ、ハイブリットで使えばいい。5GHzが届く範囲である場合は優先的にそちらをつかみ、届かない距離にいる端末は2.4GHzをつかめばいい。
なるほど!両方を使い分ける事で電波の有効範囲のデメリットを賄いつつ、電波干渉も受けないようにできるんですね。
そうだ、それからここにあるアクセスポイントは全て同じチャネル設計だった。
それらの電波の有効範囲が被っているから、複数のWi-Fiルータが同じ周波数上で限られた帯域を奪い合ってしまうんだ。これも電波干渉のひとつだな。
でも、電波の有効範囲はWi-Fiルータを中心に円のように広がっているイメージですよね、被らないように離して設置すると何の電波も届かないエリアが生まれてしまうのでは...。
その通りだ。だからチャネル設計をしたほうがいい。2.4GHzで使える規格の最大チャネル数は14個だ。
狭いエリアで同じチャネルを使ったり、隣同士のチャネルを使うと電波干渉が起こってしまう。狭いエリアでも干渉を避けて使うには離れたチャネルで設定を行う事だ。例えば1ch、6ch、11ch、14ch※の4個を使用するのが通例だろう。
5GHz帯で利用する場合はそれぞれのチャネルの周波数が重ならないような仕様になっているから、隣接チャネルを割り当てても干渉する事はなく、使えるチャネルは19chある。
えー...と、つまり、2.4GHz帯の4chと5GHz帯の19chを掛け合わせて設計するって事ですね。難しそうだな...。
まあそういう事になるな。チャネルボンディング機能というものもあり、いくつかのチャネルを束ねて速度向上を計ることもできる。そういう設計の事も考えるとなるとはじめの頭じゃついていけないか?(笑)
それから、電波干渉の話だけじゃなく、はじめの会社は1つのアクセスポイントに対する接続台数も多すぎる。これも速度遅延の原因になる。
ちょっとまた混乱してきましたよ。それに、一台あたりの接続台数制限はきちんと確認した上で購入してますけど!
カタログスペックを信じすぎるな。特に無線LANアクセスポイントについては、1台当たりの接続端末数は充分余裕のある台数に絞った方がいい。
そんな...。じゃあもう各部署用に1台ずつ用意しますよ!それならいいでしょう!
こらこら、電波干渉について聞いていただろう。アクセスポイントが多ければいいって話じゃないんだ。
じゃあどうしたらいいんですか。自宅のWi-Fi設定より複雑だって事くらい理解してましたけど、予想を遥かに超えてますよぉ...。
無線LANの速度遅延には様々な要因があるが、構築の際には最低限以下は注意しておきたいな。
遅延の少ない無線LAN構築のポイント
- 1つのアクセスポイントに対する接続台数は余裕を持つべし
- 従業員が接続するデバイスを把握する(PCだけでなくスマホタブレット、その他機器など多様にある)
- 2.4GHz帯の4chと5GHz帯を使い分ける(もしくは5GHz帯のみで構築する)
- ルーター周辺に障害物を置かない
まあ業者に予めサイトサーベイを依頼して、どの位置にどの程度アクセスポイントを設置するべきか助言をもらうのもありだな。「USEN GATE 02 ― ビジネスWi-Fi ―」ならその辺も相談に乗ってくれるぞ!
しかし運用していくうちに導入当初とは違う使い方になってまた通信遅延が起こるってこともあるから、サイトサーベイをすればその後もずっとトラブルが起きないってことではないがな。
一度やってみる価値はあるかもしれん。
※サイトサーベイ...電波調査の事。その結果を元に計画的にアクセスポイントの設置位置や、アンテナの向き、出力の調整、電波が届く範囲毎のチャネル設計を検討する事が出来る
サイトサーベイ...調査だけで高額な費用が発生するんじゃ...
安くはないな。では、「USEN GATE 02 ― ビジネスWi-Fi ―」の力を借りるのはどうだ?
サイトサーベイの依頼も勿論できるが、それ以外にもチャネル設計についてやアクセスポイント設置場所についてなど、過去の経験を活かしたアドバイスはもらえるはずだ。サイトサーベイを依頼すべきかどうか自体も相談してみるといい。
あーずるい情シスマンさん!無料でアドバイスだけもらっちゃおうだなんて!...名案ですね(笑)
人聞きの悪い言い方をしないでくれ...。まあ、それに「USEN GATE 02 ― ビジネスWi-Fi ―」なら、クラウドコントローラもついてくるぞ。全てのアクセスポイントの管理運用をクラウド上で行えるからな。ポリシーやアクセス状況もチェックが一元管理できる。
クラウドコントローラがあれば他拠点にいる僕がわざわざここに来なくてもアクセスポイントの異状に気が付けるという事ですね。それはいい!
本当は新オフィスに入居する前にアクセスポイントの構築だけじゃなく、「USEN GATE 02 ― LAN構築 ―」で、LAN配線までまとめて相談しておけばスムーズだったんだろうが、次回の教訓にしておけばいいだろう。
確かに、LAN配線とアクセスポイントの設置は同じタイミングでやりますし、まとめてお願いしたほうが費用もミスも抑えられそうですね...親会社の方の移転の際の教訓にしよう...。
じゃあ今回は、チャネル設計で電波干渉問題を解決し、アクセスポイントの増設で1台当たりの端末アクセス数を少なくして解決だな。うーん、今日のところはWi-Fiサーチャーを置いてってやろう!強い情シスが企業を伸ばす!
また会おう!さらばだ!
解決
当初は一過性と思われた在宅勤務やオンライン商談などのワークスタイルは今後もある程度残存し、「必要に応じて選択できる」となるのではないでしょうか。とはいえ、基本は全員オフィスワーク(出社)というスタイルに戻るという可能性も当然あります。これからのオフィスはいつでもあらゆる働き方に対応できる柔軟なレイアウト設計を求められるでしょう。その立役者のひとつが無線LAN。無線LANを制するものはオフィスレイアウトを制す。
- 40,000社を超える導入実績
- 特定の通信キャリアに限定されず、あらゆる端末で無料利用できるインターネット環境(Wi-Fiスポット)についてもご提供可能
- クラウドコントローラにより遠隔で設定運用監視を行いますので管理者様のご負担なくご利用可能
- 「LAN配線」、「無線LAN(Wi-Fi)構築」、「ネットワーク機器選定」、「配管工事」など、ネットワークの設計から構築まで一元対応が可能
- お客様のニーズや予算に合わせた、各種メーカーのネットワーク機器(ハブ/スイッチ/ルータ)より、最適な選定・設置を実施
本記事の著者
情シスマン
本メディアの主人公。職業はヒーローで、趣味はトラフィック監視。様々な武器を駆使して情シスにまつわる問題や悩みを解決している。ITをよく知らないのに、情シス担当になってしまった人の味方です。いや、正義の味方じゃなく、正義そのもの。困っている人がいたら、助けたいお人よし。