アンチウイルスとは?ウイルス被害対策をICT Solution!
テレワークという言葉がすっかり浸透した今、会社のPCを社内だけではなく自宅やレンタルオフィスなどの社外で利用する機会も増えている。PCをどこでも利用できるのは便利である反面、マルウェア被害の危険性が高まるというデメリットもある。なぜなら、社内とは違い社外の環境はセキュリティ対策が十分に施されているとは限らないからである。社員がテレワークで利用していたPCがウイルスに感染し、対策に苦慮する情シスがここにもひとりーーー
──── 営業部から、変な広告が出るPCがあるとの連絡があり、現場に駆けつけるにのまえ。────
自宅でPCを使っていたら急にポップアップ広告がでるようになったって言ってたけど…やっぱりウイルスに感染しているみたいだ。アンチウイルスソフトはインストールされていたのにどうして…まさか、Dr. プロトコルの仕業?
ククククッ、社員の自宅の環境って、だいたいセキュリティが甘いんだよなぁ。マルチLANハンドを使えば、PCにウイルスを送り込むなんて、朝飯前だよ~ん。さあて、まずはVPNに繋ぐログインIDとパスワードを抜き取ってやるか。
マルチLANハンド
伸縮自在なLANケーブルが収容されたロボットハンド。各デバイスや機器に接続することはもちろん、ネットワークをループさせたり、電流を流したり、色々な障害を起こすことができる。
また、うちの会社狙われてたのか…。いい加減、ウイルス対策もしないといけないよな。でも何をしたらいいんだろうか…。
どうしたはじめ、深刻な顔をして。アンチウイルスで悩んでいるのか?
うわ、情シスマンさん!アンチウイルスって何ですか??
アンチウイルスとは
コンピューターウイルスやマルウェアなどの侵入を防ぐ、あるいは侵入を検知し除去するなどして対応することをアンチウイルスという。
ウイルス対策ソフトなどアプリケーションを利用した対策のほか、教育などを通して、社員のセキュリティ意識を高めるといった人的対策もそのひとつだ。それらウイルス対策の総称がアンチウイルスである。
ウイルスとマルウェアの違い
マルウェアとは、悪意のある(malicious)ソフトウェア(software)の略語だ。機密情報を漏えいさせたり、Webサイトを改ざんさせたりする悪意を持ったソフトウェアの総称がマルウェアであり、ウイルスはマルウェアの一種である。
なるほど、ウイルス対策のことをアンチウイルスっていうんですね。それはそうと大変なんです。このPCがウイルスに感染しているらしくて…。
なに、それじゃすぐにLANケーブルを外すんだ。
えっ、はい、外しますね。でも、どうしてなんですか?
よし、外したな。いいか、はじめ、ウイルス感染したPCはすぐにネットワークから切り離すこと。そうしないと、他のPCに感染被害が広がってしまう恐れがあるぞ。
なるほど、そういうことか。はい、これからは気をつけます。
──── 一方、PCからパスワードを抜き取ろうとしていたDr. プロトコルは。────
あれっ!?ネットワークが切断されたたぞ。クソッ、もう少しで抜き取れるところだったのに、気づかれたか…残念。しかし、はじめくんにしては対応が早いな、まさか情シスマンが現れたのか…しかたない、今日は退散とするか…。
──── そのころ情シスマンは、ネットワークから隔離された感染PCの調査を始めていた。────
さてと、それじゃ、感染したPCをマルチセキュリティツールでじっくりと調べてみようか。
マルチセキュリティツール
情シスマンのベルト部分についているセキュリティツール。カードについているボタンを押して共通鍵や秘密鍵の生成はもちろん、カードをかざすことでポートやプロトコルの制御や操作もできる。また、カードを変形ルーターウォールや光ファイバーテイルに差し込むことでウイルス駆除やレジストリの復元を行なうことができる。
どんな感じですか、情シスマンさん。
うむ、これはひどい。OSに最新のパッチも当ててないし、ウイルス対策ソフトのパターンファイルも更新されていないぞ。これじゃ、最新のウイルスや脆弱性をつく攻撃には対応できないのも当然だな。
そういえば、しばらく会社に出社せず自宅だけで使っていたらしいので、更新を怠っていたのかもしれません。
なるほどな。OSの更新状況などやウイルス対策についても検討しないといけないな。方法を解説しよう。
ウイルス対策の基本とは
アンチウイルスの基本的なアプローチについて解説するぞ。
アンチウイルスのソフト・サービスを導入する
最も一般的な対策はアンチウイルスの機能があるソフトやサービスを導入することだ。
PCを買うと、お試しのウイルス対策ソフトがインストールされてることも多いため、見たことがある人も多いのではないだろうか。外部からコンピューターが受け取るデータにウイルスが含まれていないかチェックしたり、ウイルスを駆除したりしてくれる。
従業員のセキュリティリテラシーの向上を図る
いくらセキュリティソフトを入れても、使う人のセキュリティリテラシーが低いとそれが原因でセキュリティインシデント(不正アクセス被害や情報漏えい事故)が発生してしまうこともある。適切にセキュリティサービスを利用していくことや、個人情報や機密情報の取り扱いについて、しっかりと教育しておくことが必要だ。会社全体としてセキュリティ意識を高くもつことが重要だ。
アンチウイルスの機能
PCやサーバー、スマートフォンなどをスキャンしてウイルス等のマルウェアを検知すると、警告を発したり、隔離、駆除などを行うことができる。また、ウイルスに対して直接的に作用する機能だけでなく、感染を未然に防ぐための機能も備えている。
機能 | 機能の詳細 |
---|---|
ウイルス・マルウェアの検知や駆除 | デバイス内のフォルダやファイルなどをスキャンし、ウイルスやマルウェアの検知を行い、必要に応じて駆除する。 |
ファイアウォール | ネットワークを監視し、脅威の検出、侵入を防ぐ機能。 |
Webフィルタリング | 有害サイトや業務に関係のないサイトなどへのアクセスを制限する。また内部PCが感染した場合、外部にある攻撃元となるサーバー(C&Cサーバー)との通信を遮断する。 |
メールの保護 | 添付ファイルのウイルスチェックや迷惑メール対策、フィッシング攻撃の検知などを行う。 |
自動アップデート | プログラムの自動アップデートを行い、システムを最新の状態に保つ。 |
学生の時に買ったPC、最初にお試しでついてくるセキュリティソフトとか、こんな感じの機能があった気がします!お金がかかるので、有料版にアップグレードとかはしなかったですが...。
業務で使うPCにはアンチウイルスは必須だ。無償版でいいなんて思っている情シス担当は考えを改めるべきだろう。個人のプライベートPCだとしても有償版をすすめたいが、はじめの個人PCのことなどどうでもいい。次にいこうか。
ウイルス検出の仕組み
ウイルスを検知する仕組みには2種類あるぞ。
パターンマッチング
パターンマッチングとは、ウイルスのソースコードをパターンとして登録しているデータベース(定義ファイル)を用いて、ウイルスを照合・検出することである。最も基本的な検出方法であり、アンチウイルスソフトをインストールするとPCに定義ファイルがインストールされ、ソフトの更新をする際に定義ファイルも最新の情報になる。データベースと照合するため誤検出しにくいといったメリットはあるものの、データベースにない新しいウイルスを検出することはできないのが特徴だ。
パターンマッチングでは定義ファイルの情報が最新であることが重要であり、アンチウイルスソフトを常に最新に保つことで、セキュリティレベルを維持することが可能になることは覚えておこう。
ヒューリスティック検知
常に新しいウイルスが生み出されている現代において、パターンマッチングだけではウイルスの検出が難しくなっている。
そこで生み出されたのがヒューリスティック検知だ。ウイルスのパターンではなく、プログラムの挙動やふるまいをチェックし、ウイルスを判別する。イメージとしては警察の職務質問のようなものと思ってもらえるといいだろう。現代のアンチウイルスソフトは、従来のパターンマッチングに加えヒューリスティック検知を合わせ使用することことで、検知力を高めているのだ。
ヒューリスティック検知には「動的ヒューリスティック検知」と「静的ヒューリスティック検知」の2種類がある。
動的ヒューリスティック検知
動的ヒューリスティック検知はPC内にサンドボックス(ユーザーの環境から隔離された仮想領域)を作り、そこでプログラムを動かして検証する手法だ。実際にプログラムが動作し、そのふるまいによって検知するため、「ふるまい検知」とも呼ばれている。
静的ヒューリスティック検知
静的ヒューリスティック検知はプログラムの実行前にプログラムのコードを解析し、マルウェアとしての挙動をしそうかどうかをチェックする手法だ。
ウイルス対策をしていないとこんな被害に…
実際に起こった事件などをもとに、その危険性について学ぼう。
実際に起こった事例:某下着メーカーWebサイト改ざん事件
2014年、某下着メーカーのWebサイトが不正アクセスにより改ざんされる事件が起こった。Webサイトにアクセスしたユーザーは、意図しない第三者のサイトに遷移させられ、不正なプログラムをダウンロードさせられる可能性があったようだ。
普段何気なくアクセスしているWebサイトが改ざんされていた場合、アンチウイルスを導入していないとアクセスして際に被害を受けてしまう可能性があるため、業務で使用するPCであればなおさら、アンチウイルスを導入して置く必要があるだろう。
実際に起こった事例:通信会社でのメールアドレス2,000件以上の流出
2022年、関西の通信会社において業務で使用しているPCがマルウェアに感染したことで、顧客のメールアドレスが流出する事件が起こった。被害を受けた通信会社を名乗った不審なメールが顧客に発信されており、二次被害として拡大する危険性があったようだ。
もちろんアンチウイルスを導入していても感染してしまうことはあるが、導入しておくことで、迅速な対応(駆除など)が可能になる。ウイルスやマルウェアに感染したPCを放置しておけば、感染が社内に広がり、サーバーなどにも感染が伝播していってしまう。そうすることで機密データが抜き取られるなど、事業に重大な影響を与えるインシデント(事件、事故)が発生する恐れがあるのだ。
上記のように、社内への影響のみならず取引先にまで感染が広がってしまえば、データ漏えいのリスクだけでなく、社会的信用をも失いかねない。情報漏えい、データの破壊や改ざん、取引先など外部への被害の拡大、それらのインシデントが発生した場合のリスクを想定すれば、相応のコストをかけたウイルス対策を実施する必要があることが理解できるだろう。
そうですね...うちの会社だけじゃなく子会社や取引先にまで被害が及ぶんですもんね。
そうだな。事が起こってからじゃ手遅れだ。先手を打たねばならない。
では、はじめ、このPCへの対策は施したとはいえ、今後、同様のインシデントが発生することも考慮する必要がある。次は、総合的なアンチウイルス対策を検討してみよう。
調査
- 会社支給端末のセキュリティ対策を一元管理したい。
- パターンマッチングでは検知できないウイルスにも対策を施したい。
- 危険なWebサイトへのアクセスを防ぎたい。
- OSやアプリケーションの脆弱性パッチが適用されているかチェックしたい。
- 盗難、紛失対策を行いたい。
- PCだけでなくスマートフォンの利用も安全に行えるようにしたい。
それじゃ、はじめ、まずはアンチウイルスを導入するにあたって、いくつか注意点があるから見てみようか。
アンチウイルスを導入する際の注意点
導入する際に気をつけたい3つのポイントについて解説するぞ。
アンチウイルスソフトは常に最新にアップデートする
ウイルス対策ソフトのパターンファイルや、OS、アプリケーションの脆弱性対策のパッチなどは、常に最新のものを適用することが重要だ。
マルウェアを使った攻撃は日々進化しており、新しいウイルスはどんどん生まれている。更新せずに放置しておけば、最新のウイルスや脆弱性をつくサイバー攻撃を防ぐことはできないだろう。
PCが重くなることがあるので注意
アンチウイルスを導入するとPCの動作が重くなるといった声が上がることがあるだろう。パターンマッチングのための膨大なデータ、動的ヒューリスティック検知によるソフトの稼働などがあるため、どうしてもPCリソースを消費してしまう。
だからといってアンチウイルスを導入しないというのはありえない。どうしてもPCの動作が重くなってしまうのであれば、PCのスペックをアップグレードするといった対応を考えよう。
未知のウイルスへの対策も考慮しよう
アンチウイルスソフトを導入したからと言って安心することはできない。未知のウイルスには有効にならないケースもあるため、会社としての個人情報や機密情報の保管・管理・アクセスに関わる方法についてはよく検討すべきである。
近年ではウイルスに侵入されることも想定した対策を講じるのが一般的になっており、PCなどの端末を守るEDRの併用が増えている。EDRとは、ウイルスに侵入され感染してしまった後に、被害が拡大しないように対処するセキュリティサービスのことだ。より高度化し、未知の攻撃が増えている現代においては、感染したとしても被害を拡大させないことが重要である。アンチウイルスで侵入・感染を防ぎ、もし侵入されてもEDRが被害拡大を守ってくれるといった仕組みにするのがおすすめである。
社員への教育も併せて実施しよう
ウイルス感染やサイバー攻撃の被害拡大によって、以前よりはセキュリティ対策への理解が深まっているとはいえ、PCが遅くなる、更新が面倒だ、などの理由でまだまだ非協力的な社員がいるかもしれない。そのようなことへの対策として、日頃からeラーニングによるセキュリティ教育などを行って、社内のセキュリティ規則の浸透を図ることも必要となるだろう。
いろいろと考えることが多いですね、なにかまとめて解決できる方策はないですかね。
うむ、そんなはじめの要望に応えることができる、おあつらえ向きのサービスがあるぞ。
おすすめのサービスとは?
アンチウイルスサービスとしておすすめなのは「USEN GATE 02 WithSecureサービス」だ。
WithSecureサービス
WithSecureサービスは「EPPサービス」といって、従来のアンチウイルスサービスのことを指す。ウイルスの検知や駆除が主な機能だ。
さらにセキュリティを高めたければ、「USEN GATE 02 セキュアエンドポイントサービス(Va)」がおすすめだ。
セキュアエンドポイントサービス(Va)
セキュアエンドポイントサービス(Va)は、「EPP機能」に加え「EDR機能」を持ったサービスだ。ウイルス感染を許してしまっても、被害の拡大を最小限に抑えることができるぞ。
さらに、マネージドタイプなので、機能は自動化されている。
アンチウイルス対策を幅広く実施してくれるほか、サポートも充実してるんですね。
ハハハハッ、これでめでたく解決だな。強い情シスが企業を伸ばす!また会おう!さらばだ!
「アンチウイルス」と一言にいっても、その対策にはウイルス対策ソフトやファイアウォール、Webフィルタリングの導入や、OS、アプリケーションに最新の脆弱性パッチを適用するなど、さまざまな方法がある。
それら一つひとつを個別に導入し管理するには大変な労力が必要となるだろう。「USEN GATE 02 WithSecureサービス」を採用すれば「アンチウイルス」機能をまとめて導入することができる。もっと高度なセキュリティを求める場合は「USEN GATE 02 セキュアエンドポイントサービス(Va)」がおすすめだ。EPP機能とEDR機能がセットになっているぞ。
- 集中管理機能で端末を一括管理
- パターンマッチングを通過しても、サンドボックス機能で怪しい動きを検知
- サンドボックスを通過しても、実際の環境でふるまいをチェック
- EPP(アンチウイルス)機能
- EDR(挙動監視~検知、対応)機能
- MSS(マネージドサービス)で機能は自動化
本記事の著者
情シスマン
本メディアの主人公。職業はヒーローで、趣味はトラフィック監視。様々な武器を駆使して情シスにまつわる問題や悩みを解決している。ITをよく知らないのに、情シス担当になってしまった人の味方です。いや、正義の味方じゃなく、正義そのもの。困っている人がいたら、助けたいお人よし。