情シス業務を効率化する5つの方法|情シスのメリットは企業のメリット
「情報シスの業務改善をしたい」
「情シスの業務を効率化する方法を知りたい」
「情シスが非効率であるリスクを理解してもらいたい」
このような悩みはありませんか?
実際、企業の基盤ともいえる業務を行う情報システム部ですが、多くの情シスが日々の対応に追われ、本来注力すべき業務に手が回っていないと言われています。
特に近年はリモートワークを導入する企業が増え、必然的に情シスの業務負担も増加。その結果、直接企業の利益に繋がらない対応で日々の時間が消費され、業務が非効率になっている現実もあります。
そこで今回は、情シスの業務を効率化する方法を解説します。また、情シス業務を効率化するメリットを情シス以外の方にも分かるようにまとめたので、この記事を読めば情シスの業務効率化について社内で議論する力がつくでしょう。
情報システムの課題
情シス業務を効率化するためには、情シスが抱えている課題を理解する必要があります。ここでは情シスが抱えやすい5つの課題に焦点をあて解説していきます。
- 根本的な人手不足
- 業務過多
- 業務範囲が広い
- 評価されにくい
- 属人化しやすい
なぜそうなってしまうのか、理由も併せて解説しますので、まず情シスが抱える課題について理解を深めていきましょう。
根本的な人手不足
情シス業務を担うスキルを持った人材が、根本的に足りていないという問題があります。
経済産業省が発表した『IT人材育成の状況等について』によると、2022年におけるIT人材不足は約35万人、2030年には59万人に上ると予測されています。
また、ひとえに“IT”といってもいろいろな職種があります。そもそもITに強い人材が不足しているなか、情シスという職種に就きたい人を雇用するというのは容易ではありません。
それを表すように、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した『IT人材白書2020』では、89%の企業がIT人材が不足していると回答しています。
IT人材不足は、もはや一企業の課題ではなく日本社会全体の課題といえるでしょう。
業務過多
IT人材の不足により、ひとりで情シス業務を担う「ひとり情シス」や、他業務と兼任している「ゼロ情シス」が常態化し、担当者一人ひとりの負担が大きくなっています。
一般社団法人ひとり情シス協会が発表した『ひとり情シス実態調査2022』によれば、中小企業におけるひとり情シスの割合は87.4%にも上りました。
また、ゼロ情シスの中にはITに詳しいというだけで情シス業務を兼任させられているケースもあります。
システムの運用や管理、セキュリティ対策など、情シスが注力すべき業務は専門知識を必要とし、尚且つ対応範囲が幅広いにも関わらず、ひとり情シスやゼロ情シスが横行しているのが現実です。
業務範囲が広い
情シス業務は、システムの開発や運用保守、ネットワークの整備、ITに関わる質問受付やトラブル対処など、社内のITに関わる全てといっても過言ではありません。
なかでも、PCの使い方やパスワードを忘れたといった軽微のトラブル問い合わせは後を絶たず、多くの時間が消費されています。
その結果、IT戦略設計やセキュリティ対策などの注力すべき業務が後回しになり、システムのレガシー化やセキュリティの脆弱化に繋がるといった懸念が生じています。
評価されにくい
情シスの業務は、企業において無くてはならない存在です。しかし、縁の下の力持ち・サポートのような役割がメインのため、直接企業に売上として利益をもたらす業務は多くありません。
例えば、システムの運用保守は企業利益としては目に見えにくかったり、IT知識が豊富な社員以外には仕事内容が理解されなかったりという状況もあります。
その結果、経営層からの評価がされにくい仕事でもあり、モチベーションに繋がらないといった課題があります。
属人化しやすい
慢性的に人手が足りないにもかかわらず専門知識を要する情シス業務は、属人化しやすい傾向にあります。属人化状態にある場合、担当者が休職・離職してしまった場合は誰も対応できなくなってしまうといった問題も生じるでしょう。
システムやセキュリティの運用者がおらず宙に浮いてしまうのは、企業にとっては大きなリスクとなります。
情報システム業務効率化の方法
情シス業務が円滑に回らないと、システムやセキュリティなどに問題が発生するリスクが高まります。企業全体の業務効率低下や、企業の信用に関わる問題にもなりかねませんので、早急に改善することが大切です。
ここでは情シス業務改善のための解決策を、次の5つのポイントに絞って解説します。
- 業務範囲を明確にする
- ツールを導入する
- アウトソーシングを活用する
- 社員のITリテラシーを向上させる
- 経営陣の理解を得る
業務範囲を明確にする
業務範囲が広すぎて本来の仕事に注力できない、あるいは業務過多であるという場合は、業務範囲を明確化するのもひとつの方法です。
例えば、セキュリティ周りを情シス業務から切り離し専任の担当を立てる、などが挙げられます。そうすることで、システム周りは情シス担当、セキュリティ周りはセキュリティ担当、という範囲の明確化につながり、業務を効率化することができます。
ツールを導入する
社内FAQやチャットボットといったツールを導入することで、人手不足の解消と業務の効率化を図ることができます。
例えば、「パスワードの再設定方法」「PCが動かなくなった時」「インターネットに繋がらない時」など、回答が提示しやすい質問と回答をあらかじめ用意します。社員はまずFAQやチャットボットを利用するというルール決めを行い、解決しなかった場合のみ情シス担当者が対応するようにします。
今まで担当者が対応していた質問の一部をツールが担うことで、人手不足の緩和と担当者の業務負担軽減が期待できるでしょう。
アウトソーシングを活用する
情シスの業務を外部の専門家にアウトソーシングする方法もあります。アウトソーシングで委託できる業務は「ヘルプデスク」「システムの開発や運用保守」「ツールの導入」「ネットワークの構築や運用保守」などさまざまです。
例えば、日々社内からの問い合わせ対応に忙殺されている場合は「ヘルプデスク」業務、IT知識に乏しい場合は「システムの開発や運用保守」業務、といった具合に、自社で対応が難しい部分をアウトソースしましょう。
社員のITリテラシーを向上させる
ITリテラシーのレベルは人により大きな差がありますが、全体的に低い場合は初歩的な問い合わせが多くなり、業務は硬直してしまいます。ITリテラシーの向上は、情シスだけでなく会社全体の業務効率化にもつながるため、積極的に行っていくべきです。
情シス担当が主体となって定期的な研修を組んだり、オンライン研修サービスのようなものを導入しても良いかもしれません。
経営陣の理解を得る
情シスの課題を解決するには、経営陣の理解が不可欠です。
業務負担を軽減するシステムやツールの導入、アウトソーシングの利用などは全て金銭的コストがかかります。情シスに対する経営陣の理解が乏しいと、十分な予算が割り当てられず、そういった施策を実施することすら叶いません。
セキュリティや顧客影響などのリスクを説明し、経営陣の理解を得られるようにしましょう。それも一度や二度ではなく、日頃から試みることが重要です。
情報システム業務効率化のメリット
情シスの業務が効率化することで、担当者の負担軽減だけではなく、さまざまなメリットがあります。ここでは次の4つのメリットをピックアップして解説していきます。
- 社内の生産性向上
- さまざまなリスクの抑制
- 業務属人化の抑制
社内の生産性向上
情シス担当者がPCトラブルなどのヘルプデスク対応に追われると、企業利益に繋がらない業務で時間が消費されてしまいます。
そういったことを解消し、情シス担当者がIT戦略設計にリソースを割くことができれば、社内のIT環境はスピーディにアップデートされていき、結果的に社内全体の生産性向上につながります。
さまざまなリスクの抑制
情シスがシステム運用やセキュリティ対策に手が回らないと、業務停止や顧客情報の漏えいなどの損害につながるため、企業の信用問題に関わる大問題となってしまいます。
情シスが本来の業務に注力できれば、それらのリスクを軽減することができます。
業務属人化の抑制
前述したITリテラシーの向上やアウトソーシングなどの業務効率化の手段は、属人化抑制にもつながります。社内全体のITリテラシーが高ければIT関連のトラブルを自己解決できますし、アウトソーシングを活用していれば担当者でなくとも対応をとることができます。
そうすることで、万が一情シスが不在の場合でも、企業運営を継続することができます。
情シスは企業の基盤であり、さまざまなリスクから守る重要な部署です。
しかし現状では、IT人材の不足や対応範囲の広さから業務負担が大きくなり、注力すべき業務を効率的に行えていない現状があります。情シス業務が非効率であるということは、企業にとってもトラブルやインシデントが起こりやすい非常に危険な状態ということを理解する必要があります。
今一度、情シスの業務改善について考えてみてはいかがでしょうか。