スターリンク(Starlink)の取り付けはどこに頼む?アンテナの設置方法や注意点、工事業者の選び方も紹介
日本でも徐々に提供が広がっているスターリンク(Starlink)。アンテナを設置するだけで高速かつ低遅延の衛星インターネット通信が可能となりますが、自分で設置しようと考えている方は注意が必要です。
本記事では、スターリンクの設置方法や注意点、安心して利用するための工事の依頼先について解説します。
結論として、アンテナの設置は高所作業となりがちなため、自分で取り付けるのが難しい場合は工事業者に依頼することをおすすめします。
※本記事は2024年8月時点での情報を参照しています。
スターリンクとは
スターリンク(Starlink)とは、アメリカの民間企業である SpaceX(スペースX)が開発した、衛星を利用した高速インターネットサービスです。従来の衛星通信に比べ、スターリンクは数千機の低軌道周回衛星によって提供されており、大幅に高速かつ低遅延のデータ通信を実現してます。
特に「光ファイバーが敷設できない」「携帯電話キャリアの電波が届かない」などといった、通信環境が整備されていない地域(山間部や海上、離島、発展途上国など)での高速なインターネット通信が期待されています。
スターリンクの仕組み
一般的に、従来のインターネットサービスは基地局やケーブルを通じて提供されてきました。
一方、スターリンクは高度550kmにある低軌道衛星を通信に利用しており、低軌道衛星から発信された電波は地上側に設置した専用のアンテナで受信して、インターネット通信ができる仕組みです。
これにより、通信環境が整備されていない山間部や海上、離島、発展途上国などでも高速なインターネット接続が可能になります。
スターリンクを利用するメリット
スターリンクを利用すると、以下のように様々なメリットがあります。
- 通信環境が整っていない場所でもインターネットを利用できる
- 災害の影響を受けにくい
- 外出先でも利用できる
- 天候に左右されない
総じて、環境を選ばない高速・低遅延通信がスターリンクのメリットと言えるでしょう。
スターリンクの設置方法と使い方
スターリンクを利用するためには、公式サイトや正規代理店、販売店からキットを購入し、梱包されているアンテナを設置する必要があります。
キット
2024年現在、キットは以下6種類が用意されています。日本で一般的に購入できるものは「標準フラット※」のようですが、ここではスターリンク公式サイトに掲載されているものをすべて紹介します。
※「スタンダード(Standard)」と表記されることが多いです。ここでは2024年時点での公式サイトの表記に準じています。
キット | 主な用途 | 梱包されているもの |
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かばんなどで持ち運ぶ用 |
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家庭などでの日常的なインターネット用 |
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家庭などでの日常的なインターネット用 |
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ビジネス用 |
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移動用 |
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ビジネス用 |
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※アンテナを指しますが、公式サイトの記載をそのまま引用しています。
参照:Starlink
アクセサリー
スターリンク購入者向けに、公式ショップで別売りアクセサリーも販売されています。ここでは、その中からいくつかのマウントを紹介します。
アクセサリー | 用途 |
---|---|
パイプアダプターマウント | 既存パイプに接続する用 |
ショートウォールマウント | 外壁用(軒・ケラバが短い場合) |
ロングウォールマウント | 外壁用(軒・ケラバが長い場合) |
グラウンドポールマウント | 庭用 |
ピボットマウント | 屋根(平面)用 |
フラッシングマウント | 屋根(平面)用 |
リッジラインマウント | 屋根(棟)用 |
参照:Starlink
人が出入りできるような屋上がない建物で固定利用する場合は、外壁や屋根に設置することになるでしょう。その場合、別売りアクセサリーは必須となります。
設置予定の場所に適したマウントを購入しましょう。
設置の流れ(全キット共通)
全てのキットに共通した設置の流れは以下の通りです。
- 設置場所のあたりをつける
- 公式アプリで検証する
- ケーブル・アクセサリーを接続する
- インターネットにつながっているか確認する
設置場所のあたりをつける
まずは、スターリンクアンテナの設置場所を検討します。
宇宙空間を移動する衛星と接続するためには、上方にひらけた場所にアンテナを設置するのが望ましいです。アンテナと衛星(空)との間に障害物があった場合は通信品質が劣化するため、屋根や屋上などの高所、または庭や駐車場などのひらけた場所に設置しましょう。
公式アプリで検証する
おおよその設置場所が決まったら、スターリンクの公式アプリ(App Store / Google Play)で検証しましょう。
公式アプリでの検証方法は以下の通りです。
- 最初の画面の「セットアップを開始する」をタップ
- 購入した端末を選び、「確認」をタップ
- 「障害物を確認する」をタップ
- アプリの指示に沿って、上空をスマートフォンのカメラでスキャンする
ケーブル・アクセサリーを接続する
検証ができたらアンテナを設置し、ケーブル・アクセサリーを接続します。ケーブル接続後、アンテナに電力が供給されると、自動で水平に調節したうえで上空にある衛星を捜索し、数分後には自動で初期設定が完了します。
ケーブル・アクセサリーの種類はキットによって異なるため、後述します。
インターネットにつながっているか確認する
最後に、実際にインターネットにつながっているかを確認しましょう。Wi-FiやLANケーブルでつないだデバイス(PC・スマートフォンなど)から接続をチェックします。
しっかりと接続できていれば、公式アプリから設定をカスタマイズしたり、通信速度・レイテンシ(遅延時間)・使用データ量を確認できたりします。
MINIの設置方法
梱包されているもの
- Starlink(Wi-Fi内蔵)
- キックスタンド
- パイプアダプター
- DC電源ケーブル
- パワーサプライ
- Starlink プラグ
設置の流れ
キックスタンドをアンテナに装着し、DC電源ケーブルをアンテナに接続します。DC電源ケーブルの他端をパワーサプライに接続し、電源に挿します。
MINIはアンテナにWi-Fiが内蔵されているため、インターネットの接続が確認できたら設置完了です。
RJ45ポートを利用してLANケーブルを接続することもできますが、使わない場合は Starlink プラグで埋めておきましょう。
パイプアダプターは既存パイプと連結したい場合に使用します。
※参照:Starlink
標準フラットの設置方法
梱包されているもの
- Starlink
- キックスタンド
- 第3世代ルーター
- Starlink ケーブル
- ACケーブル
- パワーサプライ
設置の流れ
キックスタンドをアンテナに装着し、アンテナと第3世代ルーターを Starlink ケーブルで接続します。第3世代ルーターとパワーサプライ、パワーサプライとACケーブルもそれぞれ接続し、ACケーブルを電源に挿します。
標準フラットには第3世代ルーターが標準梱包されていますので、そのWi-Fi機能でインターネットに接続できます。接続が確認できたら設置完了です。
RJ45ポートが2つ用意されており、LANケーブルを接続することもできます。
※参照:Starlink
標準ムーブ
梱包されているもの
- Starlink
- 台座
- ルーター
- Starlink ケーブル
- ACケーブル
設置の流れ
台座をアンテナに装着し、アンテナとルーターを Starlink ケーブルで接続します。ルーターとACケーブルも接続し、ACケーブルを電源に挿します。
標準ムーブにはルーターが標準梱包されていますので、そのWi-Fi機能でインターネットに接続できます。接続が確認できたら設置完了です。
ただし、こちらのルーターにはRJ45ポートがないため、LANケーブルを接続することはできません。LANケーブルを使用したい場合は別売りのイーサネットアダプターを購入する必要があります。
※参照:Starlink
高性能ムーブ
梱包されているもの
- Starlink
- 台座
- パワーサプライ
- ルーター
- Starlink ケーブル
- イーサネットケーブル
- ルーターケーブル
- ACケーブル(電源)
- ACケーブル(ルーター)
設置の流れ(同梱のルーターを使用する場合)
台座をアンテナに装着し、アンテナとパワーサプライを Starlink ケーブルで、パワーサプライと同梱ルーターをルーターケーブルでそれぞれ接続します。ACケーブル(電源)をパワーサプライに、ACケーブル(ルーター)をルーターにそれぞれ接続し、どちらも電源に挿します。
同梱のルーターを使用する場合、そのWi-Fi機能でインターネットに接続できます。接続が確認できたら設置完了です。
参照:Starlink
設置の流れ(自前のルーターを使用する場合)
台座をアンテナに装着し、アンテナとパワーサプライを Starlink ケーブルで、パワーサプライと自前ルーターをイーサネットケーブルでそれぞれ接続します。ACケーブル(電源)をパワーサプライに接続し、電源に挿します。
自前のルーターを使用する場合、配下のネットワークでインターネットの接続が確認できたら設置完了です。
参照:Starlink
高性能フラット
梱包されているもの
- Starlink
- ウェッジマウントキット
- パワーサプライ
- 電源マウント
- Starlink ケーブル
- イーサネットケーブル
- ACケーブル
設置の流れ
ほかのキットと異なり、多少の組み立てが必要です。ドリルドライバーやインパクトドライバーの使用が推奨されています。
まず、アンテナ用のマウントやナット、ボルトなどが梱包されているウェッジマウントキットを組み立てます。組み立てが完了したらウェッジマウントにアンテナを装着します。
次に、電源マウントを電源に近い位置に壁付けします。パワーサプライに Starlink ケーブル、イーサネットケーブル、ACケーブルを接続したら、電源マウントに装着します。
最後に、Starlink ケーブルの他端をアンテナに、イーサネットケーブルの他端を自前ルーターに、ACケーブルを電源にそれぞれ挿します。
高性能フラットにはルーターが同梱されていないため、自前ルーターの配下ネットワークでインターネットの接続が確認できたら設置完了です。
参照:Starlink
エンタプライズ
梱包されているもの
- Starlink
- パワーサプライ
- 電源マウント
- エンタプライズケーブル
- ACケーブル
- イーサネットケーブル
- ネジ
- ウォールアンカー
設置の流れ
ほかのキットと異なり、前述した別売りのアクセサリー(マウント)が必須です。また、ドリルドライバーやインパクトドライバーの使用が推奨されています。
まず、アンテナを別売りのマウントに装着し、屋根や外壁などの推奨位置に設置します。エンタープライズケーブルをアンテナに接続し、宅内への配線ルートを確保します。
次に、付属のネジやウォールアンカーを使用し、電源マウントを電源に近い位置に壁付けします。パワーサプライにエンタープライズケーブルの他端、イーサネットケーブル、ACケーブルを接続したら、電源マウントに装着します。
最後に、イーサネットケーブルの他端を自前ルーターに、ACケーブルを電源にそれぞれ挿します。
エンタプライズにはルーターが同梱されていないため、自前ルーターの配下ネットワークでインターネットの接続が確認できたら設置完了です。
参照:Starlink
アンテナ設置時の注意点
スターリンクは設置が簡単と言われています。
たしかにMINIや標準ムーブなどのモバイルタイプであれば簡単に設置可能ですが、一方で高性能フラットやエンタプライズなどの固定利用タイプは、注意が必要です。
ここでは、固定利用の場合のアンテナ設置時に注意しておきたいポイントを解説します。
高所での検証・設置が必要になる
スターリンクの通信を最適化するためには、上方がひらけた場所にアンテナを設置する必要があります。そうなると、自ずと設置場所は高所に限られてきますが、これには2点の問題があります。
検証・設置に危険が伴う
一般的な住宅の屋根に設置することを想像してみてください。アンテナを持ち運びながら屋根の上に登り、不安定な状態で動作確認や工事を行うのは、非常に危険です。たとえば高性能フラットのアンテナは約7kgありますが、万が一これを落下させてしまった場合、重大な事故に繋がりかねません。
人が出入りできるような屋上に設置するということであれば問題ありませんが、そうでない限りは業者に依頼することをおすすめします。
そもそも設置できない
光回線でも似たような問題が起きがちですが、入居している物件の管理会社がスターリンクの設置を許可しないケースもあり得ます。必ず事前に物件の管理会社に相談するようにしましょう。
配線・穴あけが必要になる
屋根上や外壁に設置する場合、ケーブル類を適切なルートで配線し、場合によっては宅内に引き込むための穴あけが必要になります。こういった作業には電気工事士の資格が必要な場合があるため、業者への依頼を推奨します。
アンテナの設置はどこに依頼すべき?
前述の通り、固定利用で高所にアンテナを設置する場合は、業者への依頼をおすすめします。しかし、開発販売元である Space X(スペースX)では設置工事を受け付けていないため、自身で業者を探す必要があります。
ここでは、スターリンクの設置工事を依頼する業者の選定ポイントを紹介します。
スターリンクの設置工事を依頼する業者の選び方
安心してスターリンクの設置を任せるには、以下のポイントを押さえて依頼先を決めましょう。
- 電気工事士の資格は保有しているか
- 類似施設への施工実績は十分か
- 対応エリアか
- ネットワークに関する知識は十分か
電気工事士の資格は保有しているか
前述の通り、ケーブルの配線や穴あけには電気工事士の資格が必要になる場合があります。ホームページを確認したり、担当者に聞いたりしてみてください。
類似施設への施工実績は十分か
スターリンクに限らず、アンテナや配線・弱電工事などの施工実績をチェックしましょう。設置したい建物と類似する施設への実績があれば、ある程度安心できます。オフィスビルならオフィスビル、工場なら工場、家屋なら家屋の、それぞれ異なる特徴や事情があります。
逆にそういった実績がない場合、工事を進めていくなかでトラブルに遭う可能性が高いです。
対応エリアか
スターリンクは僻地に設置する場合もあるため、工事業者の対応エリアの確認は必須です。地図上では対応エリアでも、山奥や離島には対応していない、なんてこともあるかもしれませんので、業者とは細かい住所や場所まですり合わせるようにしましょう。
ネットワークに関する知識は十分か
最先端の技術ではありますが、スターリンクはあくまでインターネットサービスです。Wi-Fiやイーサネットケーブルを利用したり、場合によっては自前ルーターと接続したりするため、LAN工事などのネットワーク関連の実績があればなお安心です。
スターリンクの設置工事は USEN GATE 02 におまかせください
スターリンクの設置は簡単と言われていますが、固定利用の場合は高所での工事やケーブルの配線が必要になるため、自身で行わず業者に依頼するようにしましょう。
「USEN GATE 02 LAN構築」では、法人向けにスターリンクの設置工事も受け付けています。オフィスビル、病院、工場、学校など、幅広い施設への通信・弱電工事実績があり、日本全国に120拠点を持つUSENの技術スタッフが対応します。
※スターリンクキットの販売は行っておりません。スターリンク公式サイトなどからご購入・ご契約をお願いいたします。
スターリンクの導入をご検討されている方は、まずは USEN GATE 02 へご相談ください。