AIサーバーとは?特長や従来のサーバー/GPUサーバーとの違いを解説

「AIサーバー」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。生成AIの隆盛により、ちらほら耳にしたことのある方もいるかもしれませんが、実はまだ定義が曖昧な言葉です。
本記事では、2025年時点でのAIサーバーの定義や特徴、従来のサーバー/GPUサーバーとの違いを解説します。
AIサーバーとは?
AIサーバーとは、AI処理に特化して設計されたサーバーを意味することが一般的です。具体的には、AIアクセラレーター(AIプロセッサー)が搭載されたサーバーを指します。
ここでは、以下を解説します。
- AIアクセラレーターとは
- GPUはAIアクセラレーターに含まれる?
- AIサーバーと従来のサーバーの違い
- AIサーバーとGPUサーバーの違い
AIアクセラレーターとは
AIアクセラレーターとは、AI(機械学習やディープラーニングなど)の処理に特化して設計されたハードウェアまたはソフトウェアを意味します。CPUを主体とするプロセッサーに比べ、AIの処理を効率的かつ高速に実行できるのが特徴です。
但し、CPUの方が劣っているというわけではなく、AIにおいて必要とされる並列処理を得意としているのがAIアクセラレーターであるというだけで、一般的にはCPUを補完する形でコンピューターに組み込まれます。
AIアクセラレーター自体も少し定義があいまいな言葉ですが、具体的には以下のような種類があります。
- FPGA
- ASIC
FPGA
FPGAとは「Field Programmable Gate Array」の略で、ユーザーが論理回路の構成を自由にプログラムできる集積回路を指します。製造後も回路情報を書き換えることができる柔軟性を持ち、AI処理に最適な回路を構成することでよりAIアクセラレーターとしての真価を発揮します。その分、部品コストは高価になりがちです。
ASIC
ASICとは「Application Specific Integrated Circuit」の略で、特定の用途向けにカスタマイズされた集積回路を意味します。もとから特定用途に応じて開発されるため、部品コストも抑えられ、必要最低限の回路構成で最大限の性能を発揮します。一方で、カスタマイズする分、多くの開発期間・開発費を必要とします。
ASICはメーカー独自の名称で開発されることも多く、Google が開発するTPU(Tensor processing unit)、Apple や AMD が開発するNPU(Neural network Processing Unit)もASICに含まれます。
GPUはAIアクセラレーターに含まれる?
AIサーバーと聞くと、GPUを思い浮かべる方も少なくないでしょう。GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で画像処理装置を意味し、文字通り画像や映像の演算処理を得意とします。「GPGPU(画像処理以外にもGPUを活用する技術)」の発展により、GPUはAI開発などにも活用されるようになりましたが、もともとはAI処理を目的としていたわけではないという成り立ちからAIアクセラレーターに含めないケースも見られます。
一方で、広く一般には「AI=GPU」というイメージが定着しつつあり、完全に画像処理を捨て去ったGPUなども台頭しているため、GPGPUに寄った思想・設計のGPUはAIアクセラレーターに含められるでしょう。
GPUも非常に高価なものではありますが、FPGAやASICに比べるとそれ単体ではコストパフォーマンスに優れています。
AIサーバーと従来のサーバーの違い
CPUを中心とした従来のサーバーに比べ、AI処理に特化した構成で設計されているのがAIサーバーの特徴です。
また、消費電力が多いイメージがあるかもしれませんが、同じような処理をCPUで実行しようとしたときに比べ、FPGAやASIC主体のAIサーバーは各段に高い電力効率を誇ります。たしかにAI処理は多くの電力を消費しますが、効率という観点では従来のサーバーと一線を画しています。
AIサーバーとGPUサーバーの違い
前述の通り、GPUはAIアクセラレーターに含まれることもあるため、同じくGPUサーバーもAIサーバーに含めて良いかもしれません。
一方で、両者が“別のもの”と仮定した場合、以下のような違いがあります。
AIサーバー | GPUサーバー | |
---|---|---|
汎用性 | 低い(AI処理に特化している) | 高い |
AI処理時の電力効率 | 高い | 比較的低い |
費用 | 超高価 | 高価 |
いずれもメーカーや各パーツのスペックなどに依るところが大きいですが、AIサーバーはよりAI処理により特化した設計になっているという点でGPUサーバーと明確に異なる、と言えるでしょう。

とはいえ、AI開発を行う場合はまだまだGPUサーバーを用いるケースがほとんどです。日本国内のデータセンターではGPUサーバーを受け入れる体制が徐々に整っており、運用を含めた実用性という面ではGPUサーバーに軍配が上がります。
AIサーバーはまだまだ定義が曖昧な言葉ですが、今のところはAI処理に特化して設計されたサーバーと理解しておくと良いでしょう。
AIサーバーを構成するFPGAやASICはGPUに置き換わる技術として注目されつつあるため、広く一般に認識される日もそう遠くないかもしれません。但し現状では情報が少ないため、AI開発の基盤を検討する際には実用性という観点でGPUサーバーと比較してみることをおすすめします。