GATE02のロゴコーポレートサイト
GATE02のロゴ企業のICT環境や情シスの課題・お悩みを解決するメディア
  1. トップ
  2. ITコラム
  3. 【完全解説】Google が提供する次世代AI「Gemini」とは?プロダクトごとの違いや企業が導入するコツがまるわかり
column_1952025.03.13

【完全解説】Google が提供する次世代AI「Gemini」とは?プロダクトごとの違いや企業が導入するコツがまるわかり

著者:情シスマン
image

最近、ChatGPT をはじめとする様々なAIツールが登場し、活用を始めている人も多くいると思います。個人で利用することもできますが、企業が組織として導入することで、生産性を大きく向上させることが期待できます。

この記事では、Google が開発し、提供する次世代AIモデル「Gemini」についてご紹介します。Gemini とはそもそも何なのか?という基本から、どんなところが優れているのか、どんな業務に活用することができるのか、さらには、利用する際の注意点についても一挙に解説します。

AI導入を検討している企業の担当者、最先端のテクノロジーが好きな方だけでなく、専門知識を持たない方でもサクッと理解できるようにわかりやすくまとめました。この記事を参考にして、ご自身の、また会社全体の業務効率改善に役立ててください。

Google が提供する次世代AI「Gemini」とは何か?

Gemini は Google が提供する機械学習モデルのひとつで、マルチモーダルな生成AIモデルです。機械学習モデルとは、大量のデータからパターンやルールを学習し、特定の判断を実行できるようにする仕組みのことを指しますが、なかでもマルチモーダルなモデルはテキストや画像、音声、動画など、複数の種類の情報を理解し、コンテンツを生成することができます。

Google は2023年3月、Gemini の前身である対話型のAIサービス「Google Bard(グーグル バード)」をリリースしました。よく比較される ChatGPT の後を追う形で開発され、テキスト形式のデータ学習に特化し、逆にテキスト以外の形式(例えば、画像や音声、動画など)の学習は不得手なサービスでした。

2024年2月、テキスト以外のデータ学習にも対応できる次世代AIとして、Google Bard は現行の Gemini にリブランドされました。テキストでのやりとりが主だった Google Bard から、あらゆる形式でやりとりできるマルチモーダルな生成AIモデルに進化を遂げています。

ちなみに Gemini の読み方は「ジェミニ」であることが Google Japan 公式から発表されています。もともとは「双子座」を意味しますが、現時点ではどういった意図で名付けられたのか明確にされていません。

Gemini のモデルファミリーによる違いとは?

Gemini には複数のモデルが存在し、これらのモデルは、それぞれ異なる特徴を持っており、ユーザーのニーズに応じて使い分けられます。以下に、その違いをわかりやすく紹介します。

モデルファミリー

特徴

性能と処理時間

利用シーン

Gemini Ultra

最も大規模かつ高性能なモデルで、非常に複雑なタスクや高度な推論、創造的な作業に最適

性能の高さと引き換えに、処理速度がやや遅くなる場合がある

研究開発、高度な専門分野

Gemini Pro

幅広いタスクに対応できる汎用性の高いモデル

バランスのとれた性能と効率性を持つ

一般的なテキスト処理、コーディング、翻訳など

Gmini Flash

小規模なデータセットと短時間の処理で使用されるモデル

高速な処理が可能で、コスト効率が良い

大量のデータ処理、リアルタイム応答など、コスト効率を重視するタスク

Gemini Nano

モバイルデバイス上での動作に特化した軽量なモデル

スマートフォンなどの限られたリソース環境でも効率的に動作できる

スマートフォンなどのモバイルデバイス上での利用、オフライン環境

Ultra > Pro > Flash > Nano の順に規模(モデルサイズ)が小さくなり、複雑な推論などはできませんが、動作が軽く高速な処理が可能です。

Gemini モデルのバージョンによる違いとは?

Gemini モデルには、ファミリーによる違いの他に、バージョンによる違いもあります。

新しいバージョンになるほど、精度、理解力、応答速度などが向上し、以前のバージョンにはなかった機能が追加されることがあります。また、新しいバージョンでは、モデルのサイズや計算量が削減され、より効率的に動作するようになることがあります。

例えば、2025年3月現在、Google の無料アカウントで利用可能なモデルは、2.0 Flash モデルと 2.0 Flash Thinking Experimental モデルです。

2.0 Flash Thinking Experimental モデルは、「Flash Thinking(閃光思考)」と呼ばれる新しいコンセプトに基づいています。これは、複雑な質問に対して、重要なポイントを迅速に捉え、即座に応答することを可能にするものです。つまり、従来のモデルのように段階的に情報を分析するのではなく、より直感的かつ迅速に答えを出すことを目指しています。「Experimental」と名前にある通り実験段階のモデルです。

Gemini Advanced という有料プランに加入すれば、より高度な 2.0 Pro Experimental モデルを利用することができます。Gemini Advanced については、後ほど詳しくご紹介します。

様々な Gemini プロダクトとその特徴

Gemini は「AI」という名のとおり、人工知能、つまり、思考し判断する機能のことを指します。Google は、Gemini の機能を様々なかたちで私たちユーザーが利用できるように提供しています。この記事では、それらを Gemini プロダクト と呼び、利用シーンに合わせて最適なプロダクトを選択できるように支援します。

Gemini アプリ

Gemini アプリには、Gemini ウェブアプリと Gemini モバイルアプリの2種類があります。

Gemini ウェブアプリは、Webブラウザを利用してチャット形式で Gemini とやりとりできるサービスで、かつては、Google Bard と呼ばれていたものの後継です。

Gemini モバイルアプリは、Android および iOS のスマートフォンで利用できるチャット型のAIサービスです。音声操作などによるクイック操作を行うことができ、Google アシスタントからの置き換えが進んでいます。

ただし、Gemini は複雑なリクエストに対して柔軟に対応できる能力を持っている一方で、リアルタイムなレスポンスが苦手です。例えば、会話の内容を即座に翻訳したり、スマート家電を音声で操作したりといった、リアルタイム性が求められる機能の精度とスピードは2025年3月現在では Google アシスタントの方が優れていると言えそうです。

Gemini アプリでは自然な言葉で Gemini と対話でき、質問への回答、アイデア出し、文章作成など、幅広いタスクをサポートしています。

無料版の Gemini アプリ利用時に収集されるデータについて

Google は、無料版の Gemini アプリに入力された情報や位置情報などを自社のプロダクト、サービス、機械学習技術の提供、向上、開発に使用します。また、個人を特定できないようにはしていますが、人間のレビュアーが Gemini アプリとの会話を確認し、注釈を付け、処理を行います。そのため、Gemini との会話には機密情報を入力しないように注意してください。レビュアーに見られたくないデータや、Google のプロダクト、サービス、機械学習技術の向上に使用されたくないデータも入力しないでください。

データを Google に提供したくない場合は、[Gemini アプリ アクティビティ] をオフにしてください。(デフォルトではオンになっています)

入力された情報が Google に提供されているかどうかを確認する方法

データが Google に提供されているかどうかは、プロンプトの入力カーソルのところに「盾」のマークがあるかどうかで確認できます。「盾」マークがある場合は、データが保護されています。

body
上:データが保護される 下:データは学習に使用される

Gemini Advanced

Gemini アプリは、Google アカウントがあれば誰でも無料で使うことができますが、有料で Gemini Advanced という上位サービスを使うことができます。

最も高性能なモデル

より高度な推論やクリエイティブなタスクを行ったり、よりスピーディな回答を行ったりすることができる、最も高性能なモデルを利用できます。また、最新の試験運用版モデルをいち早く利用することができます。

Gemini のカスタマイズ(Gem)

Gemini の回答をある分野の専門家のように振る舞わせることができます。そのような個別の性質を持った Gemini のことを Gem と呼びます。例えば、営業のスペシャリストとしての Gem に、顧客への提案資料を作ってもらったり、法律の専門家としての Gem に、法律相談をすることができます。事前に用意された Gem の中から選ぶことも、オリジナルの Gem を作成することもできます。

リアルタイムの調査

Deep Research はAIを活用して複雑なトピックをリサーチし、包括的で分かりやすいレポートで調査結果をまとめる機能です。これにより、複雑なタスクへの取り組みがさらに効率化し、今までリサーチに費やしていた時間を大幅に短縮することができます。

Deep Research は、デスクトップおよびモバイルウェブの Gemini Advanced で使うことができ、2025 年前半にはモバイルアプリも公開予定です。使用するモデルを Gemini 1.5 Pro with Deep Research に切り替えて、プロンプトを入力してください。

大量の情報を処理

100万トークンのコンテキストウィンドウを備えた Gemini Advanced は、最大1,500ページのテキストや 30,000行のコードを同時に処理できます。これにより、より複雑な問題をこれまで以上に効率的に調査・分析し、解決することが可能になります。

NotebookLM

NotebookLM は、Gemini を搭載したノートブックアプリです。PDFやドキュメントをアップロードし、Gemini に読み込ませることで、AIによって要約、分析、質問応答をさせることができます。大量の情報を効率的に扱うことができます。

Gemini アプリによって回答される情報がインターネット上にある情報に基づいているのに対し、NotebookLM によって回答される情報はユーザーがアップロードした資料のみに基づいています。

NotebookLM Plus

NotebookLM は、無料の Google アカウントがあれば誰でも利用できますが、NotebookLM には、有料の上位サービスがあります。通常の NotebookLM との違いは以下のとおりです。

  • 1ユーザーが利用できるデータ容量が5倍
  • ノートブックの回答のスタイルや長さをカスタマイズできる
  • チームで共有するノートブックを作成し、使用状況を分析できる
  • プライバシーとセキュリティを強化できる

Google One

Gemini Advanced や NotebookLM Plus などの上位サービスは、個人ユーザーであれば Google One AI プレミアムプランに加入することで利用できます。Gemini Advanced と NotebookLM Plus の機能の他に2TBのストレージを使うこともできます。

法人の Google Workspace ユーザーであれば、ほぼすべてのエディション(プラン)で Gemini Advanced と NotebookLM Plus が標準で利用できます。以前は、Google Workspace のユーザーであっても Gemini for Google Workspace というアドオンを購入する必要がありましたが、2025年1月に、Google Workspace のほとんどすべてのプランに Gemini Advanced の機能が追加されることが発表されました。

Google Workspace との連携

一部のプランを除き、Google Workspace のユーザーは、Gemini アプリの中でも上位サービスである Gemini Advanced を使うことができます。

機能が増えたことで、Google Workspace の利用料金が値上がりしています。2025年3月中旬以降に申し込んだ新規ユーザーは新しい料金が適用されます。

※2025年3月現在、Bsuness Starter と Enterprise Essential のプランで、Gemini の一部またはすべての機能を使うことができません。

サイドパネル

Gmail、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライド、Google ドライブ、Google Chat などの利用時に、サイドパネルから Gemini を利用することができます。プロンプトを入力すると、それぞれのアプリ上で直接AIアシスタント機能を使うことができます。

ユーザーのプライバシーが最優先

Google Workspace のユーザーが Gemini を利用する際は、ユーザーの情報が他のユーザーのために使用されることはありません。 また、入力された情報や位置情報などは、人間によってレビューされることも、許可なくドメイン外で生成AIモデルの学習に使用されることもありません。

Gemini for Google Cloud

IDE とは

IDE(Integrated Development Environment / 統合開発環境)とは、アプリケーション構築に必要な複数の開発者用ツールを1つのGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)で使えるようにまとめたソフトウェアおよびプログラミング環境のことです。IDEにより開発を大幅に効率化することができます。

Gemini for Google Cloud は、Google Cloud 上で開発を行う際のIDEに特化したAIアシスタントとして、Gemini を利用することができるサービスです。

以下の表に、Gemini for Google Cloud で利用可能な生成AIアシスタンスの種類と、プロダクトの概要情報を示します。

プロダクト

アシスタンスの種類

Gemini Cloud Assist

クラウドアプリケーションの設計、最適化、運用を支援します。

Gemini Code Assist

コードを生成してデバッグしたり、コードの最適化に関する提案を行います。

Gemini in BigQuery

データを検出、変換、クエリ、可視化したり、データのパターン、品質、統計情報を調べるなど、BigQuery を利用したデータ分析を支援します。

Gemini in Colab Enterprise

コードセルに入力しているときにコード補完の候補を生成したりできます。

Gemini in Databases

SQLクエリを生成して、構造化データを適切に保存、取得することができます。

Gemini in Looker

Looker(Google Cloud コア)や Looker Studio でのデータの可視化を支援します。

Security Command Center における Gemini

セキュリティの問題に対して開かれたケースを要約し、問題を解決するための手順を提案します。

Standardエディション

Gemini とチャットしながら、コードを補完、生成、変換したりすることができる標準的な機能を備えています。

Enterpriseエディション

開発者の開発体験を支援する標準的な機能に加え、組織で開発を行う際に包括的なサポート機能を備えています。技術スタック全体にわたってアプリケーション開発を加速します。

Generative AI on Vertex AI

Vertex AI とは

Vertex AI とは、Google が提供する機械学習(Machine Learning / ML)プラットフォームです。モデル開発トレーニングやデプロイなどの機能を備えており、機械学習モデルの開発や管理を行うことができます。Vertex AI は、Google Cloud 上で動作するフルマネージドサービスとして提供されます。

Generative AI on Vertex AI は、Vertex AI を利用した機械学習モデルの開発や管理に、人工知能(Artificial Intelligence / AI)である Gemini を利用できるサービスです。

機械学習(ML)と人工知能(AI)

ちなみに、機械学習とは、大量のデータを解析することで、その中に規則性や関係性を見つけ出す手法のことです。コンピューターが自ら判断してすべての規則性や関係性を見つけ出すのではなく、データのどこに注目するべきか、人間が事前に判断し、設定する必要があります。

一方、人工知能とは、人間の知能や行動を再現したコンピューターシステム、またはソフトウェアの総称です。判断基準などについて、人間が事前に設定する必要がなく、コンピューター自身が人間のように考え、判断することができます。

Gemini API

Gemini API は、個人利用や小規模デベロッパー向けの、API 経由で Gemini モデルを呼び出し可能なプロダクトです。Google Cloud とは独立しており、単一サービスとして提供されています。

Gemini API には無料枠があり、一定のレート制限のもと利用可能です。無料枠であっても、利用規約に従い、商用利用することができます。

もちろん有償版もあります。有償版は、リクエストや生成コンテンツのボリュームに基づいた従量課金制です。

データの保護

Gemini API を無料枠で利用する場合、入力したデータや生成されたコンテンツは、Google のサービス改善に利用されたり、人間のレビュワーに見られる可能性があります。Google はこれを利用規約に明記しており、機密情報や個人情報を送信しないことを求めています。

Gemini API の有償版を利用する場合は、サービス改善に利用されたり、人間のレビュワーに見られることはなく、データは安全に保護されます。

企業が活用すべき Gemini プロダクトとは?

生成AIで社内業務を効率化したい

企業が組織全体で業務の効率化を図りたい場合は、Google Workspace の導入をおすすめします。

Google ドキュメント や Google スライド などの業務ツールで、従業員同士のコラボレーションが進むことに加え、Gemini によるAIアシスタント機能で、業務の効率化を大幅に促進することが期待できます。

自社データを効率的に検索したり生成AIに質問したい

社外秘の自社データを含む大量のドキュメント類の中から必要なデータを効率的に検索したり、生成AIに要約させたい場合、NotebookLM がおすすめです。蓄積された大量の自社データをもとに生成AIにコンテンツを生成させたり、日本語での質問に答えさせたりすることもできます。

社外秘の情報を Gemini の学習に利用させたくない場合、上位プランの NotebookLM Plus がおすすめです。NotebookLM Plus は、Google Workspace のユーザーであれば、ほとんどのプランで利用することができます。

システム開発を効率化したい

システム開発を効率的に行いたい場合は、コード生成補助機能などを備えた Gemini for Google Cloud がおすすめです。

Enterprise エディションでは、個人の開発体験が向上するだけでなく、組織全体の技術スタックを包括的に向上させることができます。

自社の新サービスに生成AIを組み込みたい

自社アプリに生成AIを組み込んだり、顧客へ提供するサービスに生成AIを活用したい場合、Generative AI on Vertex AI を使います。

自社アプリから Vertex AI 経由で Gemini を呼び出すことで、プロンプトを入力して生成結果を得ることができます。機械学習の知識がなくても、システム開発の知識さえあれば、Vertex AI の機能を呼び出すことで、自社アプリに生成AIの機能を持たせることができます。

まとめ

Gemini とは何か、プロダクトごとの違いは理解できましたか?Gemini の可能性を最大限に引き出すためには、自社の課題やニーズを正しく理解し、最適なプロダクトを選択、導入することが重要です。ぜひ本コラムを参考にして、Gemini を活用し、ビジネスの成長につなげていってください。

この記事に関連するお役立ち資料はこちら
image
USEN&U-NEXT GROUPのAI活用|生成AI導入プロセス徹底解説
人手不足や働き方改革を背景にAI導入があらゆる場面で検討されています。AIの活用は生産性向上や業務効率化につながると期待されていますが、なかなか導入に踏み切れないという企業も多いのではないでしょうか? USEN&U-NEXT GROUPでは「Buddy」という社内用生成AIを活用しており、本資料ではその導入プロセスや効果について「Buddy」の仕掛け人にインタビューしています。 気になるセキュリティへの懸念や対策についても触れられています。
資料をダウンロードする
さらに理解を深めたい方にオススメの記事はこちら
この記事に関連するサービスはこちら
このページをシェアする
Xで共有Facebookで共有LINEで共有

サービスに関するお問い合わせはこちらから

法人向けインターネット回線やクラウドサービス、データセンターなどのご相談を受け付けています。
お電話でも受付中
0120-681-6170120-681-617
(平日 10:00~18:00)