閉域網って何?読み方と意味をわかりやすく解説!
「閉域網」という言葉を聞いたことはありますか?
なんとなく聞いたことがあるけど、正確な意味や読み方がわからない…という方も多いのではないでしょうか?この記事では、閉域網の読み方から意味、種類、メリット・デメリットまで、わかりやすく解説していきます。さらに、閉域網と似た言葉である「VPN」との違いについても解説します。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- そもそも閉域網とは何か
- 閉域網が注目される理由
- 閉域網のメリット・デメリット
- VPNや専用線との違い
- 導入時のポイント
閉域網の読み方
閉域網は「へいいきもう」と読みます。
閉域網とは?
閉域網とは、インターネットを経由せずに、特定のネットワーク内に限定されたコンピューターネットワークのことを指します。具体的には、企業や組織内でのみ利用するネットワークや、データセンター間を接続するネットワークなどが閉域網に該当します。
オープンネットワークとクローズドネットワーク
まず、「ネットワーク」とは「通信網」のことで、コンピューターなどデジタル信号をやりとりできる機器同士のつながりのことを指します。そのネットワークは、「オープンネットワーク」と「クローズドネットワーク」に大別されます。
オープンネットワーク
オープンネットワークは、全世界に開かれたネットワークで、誰でもアクセスできる環境です。一般的には「インターネット」と呼ばれています。
誰でもアクセスできるということは便利である一方、悪意のあるユーザーも存在するということが言えます。セキュリティリスクの観点から、社内の機密情報や重要な個人情報などは、インターネットでの通信を避けるべきです。
クローズドネットワーク
クローズドネットワークは、オープンネットワークとは反対に、限られたユーザーだけに閉じられたネットワークです。「プライベートネットワーク」と呼ぶ場合もあります。
クローズドネットワークの特徴は、オープンネットワークの裏返しで、限られたユーザーしかアクセスできないので、安全な通信が可能な一方、不特定多数のユーザーに広く公開することはできません。
閉域網の利用用途
このような特徴があるため、閉域網は、企業や組織などが重要な内部情報をやりとりする際に使われることが多いです。
全拠点のセキュリティポリシーを統合的に管理できるので、スムーズで安全な拠点間通信を実現できます。
閉域網が注目される理由
近年、閉域網は様々な理由で注目を集めています。
テレワークの普及
新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークが急速に普及しました。テレワークでは、社外から社内ネットワークにアクセスする必要があるため、セキュリティレベルの高い閉域網が求められています。
クラウドサービスの利用拡大
近年、企業は業務効率化のために、クラウドサービスを積極的に利用しています。クラウドサービスにアクセスする際も、セキュリティレベルの高い閉域網が求められます。
情報漏えいリスクの増加
近年、情報漏えい事件が頻発しています。情報漏えいリスクを低減するために、セキュリティレベルの高い閉域網を導入する企業が増えています。
IoTの普及
近年、IoT(Internet of Things)が普及しています。IoTデバイスは、インターネットに接続するため、セキュリティ対策が重要になります。閉域網は、IoTデバイスを安全に接続する方法として注目されています。
高速通信への需要
近年、動画配信サービスなど、高速通信が必要なサービスが普及しています。閉域網は、高速通信を実現する方法として注目されています。
SD-WANの普及
SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)は、ソフトウェアによってネットワークを制御する技術です。SD-WANと閉域網を組み合わせることで、より柔軟で安全なネットワークを構築することができます。
コストの低減
従来、閉域網は高コストなネットワークでしたが、近年は技術革新によりコストが低減しています。
閉域網のメリット
閉域網には、様々なメリットがあります。
高いセキュリティ
インターネットから隔離されているため、悪意あるユーザーはアクセスできません。そのため、不正アクセスやマルウェア感染による情報漏えいなどのリスクが低いと言えます。
高速で安定した通信が可能
限られたユーザーしかアクセスできないため、インターネットでよく起こる通信の混雑(輻輳)が起こりにくいです。そのため、高速で安定した通信が可能です。
柔軟なネットワーク構成
閉域網は、ネットワークの構成を自由に設計できるため、通信経路を最適化することができます。これにより、通信距離を短縮したり、障害が発生しにくい経路を選択したりすることができ、高速な通信を実現することができます。
閉域網のデメリット
閉域網には、メリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。
コスト
閉域網の利用時には、閉域網にアクセスするための専用回線やVPN機器などの導入費用がかかります。また、月額の利用料は一般的に、インターネット回線の利用料よりも高額な場合が多いです。
導入・運用
自由度が高い反面、ネットワークの設計・構築・運用には専門知識が必要です。そのため、専門スキルを持った人材の確保が大変だったり、人件費がかかるなどのデメリットがあります。
閉域網とVPN、専用線の違い
閉域網は、インターネットを経由せずに通信を行うという点がVPNや専用線と共通していますが、以下のような違いがあります。
閉域網
限られたユーザーだけがアクセスできる「閉じられたネットワーク」を使って通信します。そのため、悪意あるユーザーは侵入しづらいですが、自分たち以外のユーザーもアクセスすることがあります。
閉域網を利用したサービスには、「IP-VPN」と「広域イーサネット」の2種類があります。
VPN
VPNは、「バーチャルプライベートネットワーク」の略であることからも分かるとおり、「バーチャル(仮想的)な」プライベートネットワークです。つまり、物理的にはインターネットの環境を流用しています。そのため、物理的に隔離された閉域網と比べると、セキュリティが低いですが、コストメリットが出やすいという特徴があります。
専用線
専用線は、契約者のみがアクセスできるネットワークで、閉域網よりもさらに限られたユーザーしかアクセスできません。そのため、セキュリティが非常に高いですが、利用料金が高額になりやすいという特徴があります。
閉域網の導入時に注意すべきポイント
閉域網は、高いセキュリティレベルや安定した通信環境を実現できる一方で、導入時に以下の点に注意する必要があります。
コスト
閉域網は、専用線よりは安価ですが、インターネットを利用するVPNよりはコストが高くなります。また、導入費用だけでなく、月額費用や運用コストも考慮する必要があります。
導入・運用
閉域網は、専門知識が必要なため、導入・運用が複雑になります。自社内に必要な知識がない場合は、専門業者に依頼する必要があります。
セキュリティ
閉域網は、インターネットから隔離されているため、全くセキュリティ対策が不要なネットワークだと誤解されがちです。閉域網内でも、情報漏えいなどのセキュリティ対策は必要です。
以下に具体的な対策を記載します。
基本的なセキュリティ対策
- ファイアウォールや侵入検知システムなどの導入
- アンチウイルスソフトの導入
- パスワードポリシーの策定
- ユーザー教育
アクセス制御
- 閉域網へのアクセスを厳格に制限する
- アクセス権限を最小限に抑える
- 定期的にアクセス権限を見直す
データの暗号化
- 機密データは暗号化して保存する
- 通信中のデータも暗号化
ログの監視
- ログを定期的に収集・分析する
- 不審な活動がないかを監視
定期的な脆弱性診断
閉域網は、高いセキュリティレベルや安定した通信環境を求める場合に有効な手段です。デメリットとしてコストや導入・運用の複雑さがありますが、メリットが大きい場合は検討してみる価値があります。閉域網の導入を検討している場合は、専門業者に相談することをおすすめします。