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column_1372024.11.15

シンプロビジョニングの仕組みをわかりやすく|メリット・デメリットは?

著者:情シスマン
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ストレージの無駄を省く「シンプロビジョニング」という技術があります。

シンプロビジョニングとは、どのような仕組みで、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ITに詳しくない方にも、わかりやすく解説していきます。

〈この記事を読んでわかる内容〉

  • シンプロビジョニングの仕組み
  • シンプロビジョニングのメリットやデメリット
  • プロビジョニングの種類
  • シンプロビジョニングとシックプロビジョニング

シンプロビジョニングとは

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シンプロビジョニングとは、サーバーのストレージの容量を効率的に使用できるよう仮想化する技術です。英語で「Thin Provisioning」と書き「Thin(薄い)」という意味があります。

シンプロビジョニングの具体的な仕組みや、その技術について理解しておきましょう。

  • シンプロビジョニングの仕組み
  • ストレージを仮想化する技術
  • ストレージの最適化をする技術
  • シンプロビジョニングとクラウドの進化

シンプロビジョニングの仕組み

シンプロビジョニングは、使っていないストレージの容量を仮想化し、必要な分だけをサーバーに割り当てる技術です。サーバーが要求する容量を満たしながら、ストレージの利用効率を上げられます。

シンプロビジョニングは「ストレージを仮想化する技術」と「ストレージを最適化する技術」が特徴といえます。

ストレージを仮想化する技術

ストレージサーバーとは、ネットワーク上でデータを管理したり保存するための場所です。

従来のストレージサーバーは、ハードウェアに紐づいていたため余剰分のストレージを他サーバーと共有することはできませんでした。

しかし「シンプロビジョニング」によってストレージを仮想化することで、余った分をストレージプールとして溜めておくことができます。このストレージプールから、必要な分だけを他のサーバーに分配できるので、ストレージを無駄なく利用することができるようになります。

ストレージを最適化する技術

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シンプロビジョニングは、仮想化して、ストレージプールに統合した容量を、物理的に最適なストレージに分配しています。サーバーが要求した容量のみを、物理的なボリュームとして割り当てているのです。

例えば、従来のストレージサーバーでは、物理的に20%の容量しか必要でなかったとしても、100%の容量を認識させなくてはいけなかったため、80%は無駄となっていました。シンプロビジョニングは、このような場合に80%は仮想化したストレージプールから分配されるようになります。

運用初期のようにストレージ量が少量で良い場合は、物理的なディスク容量を抑えられますし、将来的に大容量が必要になれば、その時にデータ容量を追加していけるのがシンプロビジョニングの強みと言えます。

シンプロビジョニングのメリット

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シンプロビジョニングを使用すると、これらのメリットがあります。

  • ストレージ使用効率を向上できる
  • 設備コストを削減できる
  • 運用する人件費を削減できる

ストレージ使用効率を向上できる

従来のストレージサーバーでは実際に使用するストレージ量が20%~30%であっても、物理的には100%の容量を割り当てていたために非効率的でした。シンプロビジョニングを導入すれば、最小限の必要な物理ディスクのみで運用を開始できるので、使用効率を上げられるというメリットがあります。

設備コストを削減できる

従来のストレージサーバーでは「20~30%程度しか使用していなくても100%分のコスト」がかかっていました。シンプロビジョニングを導入することで「70~80%」の無駄になっていた容量分の無駄なコストを削減させられます。

運用する人件費を削減できる

シンプロビジョニングでプール化されたストレージは、管理作業も統合されます。つまり、データが破損した等のトラブル対応の際でもデータが一元管理されているために、復旧作業がスムーズになるということです。長く運用していくという意味では、運用にかかる人件費の削減が期待できるかもしれません。

シンプロビジョニングのデメリット

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シンプロビジョニングにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

デメリットも正しく理解し、導入を検討していきましょう。

  • 物理容量を超えると処理が止まる
  • ストレージリソースを削減するわけではない

物理容量を超えると処理が止まる

シンプロビジョニングを利用する上で覚えておきたいのが、物理容量を超えるとエラーが出てしまうという点です。仮想容量を想定し、追加していけるのがシンプロビジョニングですが、用意された物理容量を超えると処理できなくなってしまうのです。

このエラーを防ぐために、物理容量が一定量に到達するとアラートが出るようにするといった措置を取るなどの対応が必要となります。

ストレージリソースを削減するわけではない

シンプロビジョニングは、不要なストレージを自動的に削除するシステムではありません。こちらが要求した容量に対しては、効率的に利用できるものですが、不要なデータやファイルなどについては直接操作する必要があると覚えておきましょう。

シンプロビジョニングは、あくまでもストレージを最適な形で分配するものです。データの削除・圧縮・変更は別の課題であると捉えておきましょう。

プロビジョニングの種類

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プロビジョニングとは「provision」を語源とする言葉で「提供」や「準備」という意味があります。「シンプロビジョニング」の他にも似た言葉が多く存在しているので、混同しないように、確認しておきましょう。

プロビジョニングの種類

概要

作業の例

ユーザープロビジョニング

ユーザーIDに関わるもの

  • アカウント作成
  • アクセス権限の付与

サーバープロビジョニング

サーバーの環境作り

  • OSのインストール
  • ネットワークの設定
  • ストレージの割り当て

サービスプロビジョニング

プロバイダ等の設定

  • 電子メール
  • FTP設定
  • DNSサーバー設定
  • HTTPSの設定

ネットワークプロビジョニング

ネットワークアクセスの設定

  • 機器や配線の準備
  • 接続作業
  • ネットワーク設定後の管理

この分類の中でいうと「サーバープロビジョニング」という作業の中に「シンプロビジョニング」という技術が含まれることになります。

シンプロビジョニングとシックプロビジョニングの違い

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シンプロビジョニングと似た言葉で「シックプロビジョニング」があります。

シックプロビジョニングとは何なのか、シンプロビジョニングとの違いや特徴についてご説明します。

  • シックプロビジョニング とは
  • シックプロビジョニングのメリット
  • シックプロビジョニングのデメリット

シックプロビジョニングとは

シックプロビジョニングとは「thick provisioning」という英語をカタカナにした言葉で、割り当てた容量分を確保するシステムです。「thick」には「厚い」という意味があり、シンプロビジョニングの「Thin(薄い)」とは真逆の意味であるとわかります。

シックプロビジョニングとシンプロビジョニングを比較してみるとこのようになります。

項目

シンプロビジョニング

シックプロビジョニング

領域確保

必要最低限

指定量確保

拡張時

自動拡張

拡張なし

ストレージ効率

良好

普通

シンプロビジョニングはデータ容量が必要になった際に、自動的に最低限の領域を確保します。

一方、シックプロビジョニングでは、データ容量が必要になった際には、指定された量を確保するという違いがあります。

シックプロビジョニングのメリット

シックプロビジョニングは、ボリュームが作成された時点でストレージプールが割り当てられるようになります。すでに割り当てられている領域にデータを書き込むので、シンプロビジョニングと比較すると速度が速い傾向にあります。

シックプロビジョニングのデメリット

シックプロビジョニングとして確保された領域は、物理的に予約されたままになるので、他の用途に転用できないというデメリットがあります。

シンプロビジョニングで空き容量を確保する

シンプロビジョニングを導入していたとしても、シンプロビジョニングは自動的にデータを削除するシステムではありませんので、空き容量の確保が必要になります。

ストレージの空き容量が足りなくなると、データの追加ができなくなるだけでなく、エラーが起きたり、動作に不具合が生じる可能性があるので、未然に対策を講じるようにしましょう。

一般的にストレージの空き容量を確保するには、このような方法があります。

  • 不要なデータを削除する
  • バックアップを整理する

不要なデータを削除する

ストレージの空き容量を確保する基本的な方法です。容量が大きいファイルの中で、不要な物があれば、優先的に対処しておきましょう。

高画質データを使った資料や動画を日常的に保管していると、容量はすぐにいっぱいになってしまうので、解像度を落として残すのもひとつの方法です。また、部署間を横断して重複データがないかを確認し、不要なデータを削除するなども有効です。

データを移動させる

削除できるデータがない場合には、HDDなどのハードウェアやUSBメモリーなどの外部メディアにデータを移動させてストレージ容量を確保します。

物理的なハードウェアを利用すると、データを携帯しなくてはいけないというデメリットが発生しますが、ネットワーク環境にも左右されずに利用できるというためオンラインストレージより高度なセキュリティが確保できるとも言えます。臨機応変に使い分けるといいでしょう。

IT業界の「仮想化」とは

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仮想化とは、「ないものをあるように見せる」という意味合いで用いられる言葉で、IT業界ではこれらの仮想化が一般的になりつつあります。

以下について、解説していきます。

  • ストレージ仮想化
  • サーバー仮想化
  • ネットワーク仮想化
  • デスクトップ仮想化

ストレージ仮想化

サーバーが要求したストレージ容量を仮想化して割り当てるシンプロビジョニングは、ストレージを仮想化する技術といえます。先述の通り、コスト面や管理の面でメリットがあります。

サーバー仮想化

サーバーの仮想化とは、1台の物理的なサーバーをソフトウェアによって複数台あるように分割して利用するシステムです。物理サーバーの設置スペースをまとめて、省スペースを実現できるというメリットがあります。

また、サーバーの仮想化により最新のハードウェアが利用でき、従来のシステムやアプリケーションの引継ぎがしやすくなります。

ネットワーク仮想化

ネットワークの仮想化とは、物理的なコンピューターリソースをソフトウェアによって、分割したり抽象化することで、様々な用途に活用します。

物理的なリソースの簡略化だけでなく、ユーザーやサーバー単位でのネットワークの分割やアクセス機能の設定等もできます。

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ネットワークの仮想化に関する記事はこちら
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デスクトップ仮想化

ユーザーが利用するデスクトップ環境をサーバー上に構築するのが、デスクトップの仮想化です。個人の端末から社内クラウドにアクセスすると、ウイルス感染や情報漏えいのリスクがありますが、デスクトップを仮想化させると、セキュリティソフトやOSをサーバー上で一括管理しながらのアクセスが可能となり、アップデートやメンテナンスを効率的に行うことができます。

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まとめ

シンプロビジョニングとは、サーバーのストレージ量を仮想化し、使う分だけ割り当てる技術のことでした。データが必要になった際に指定された量を確保するシックプロビジョニングも選択肢として覚えておくようにしましょう。

メリットデメリットを比較し、自社状況に合うシステム導入をしていきましょう。

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