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column_1432024.05.13

閉域網とインターネットの違いとは|定義とセキュリティ対策についても解説

著者:情シスマン
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「閉域網とインターネット」、これら二つのネットワークは我々の生活やビジネスにとって欠かせない存在となっています。しかし、一見すると似ているようで、実はその性質や目的、セキュリティ対策には大きな違いが存在します。

本コラムでは、この二つのネットワーク、閉域網とインターネットの違いについて解説します。また、それぞれに対する適切なセキュリティ対策についても触れていきます。

情報化社会が加速する現代、ネットワークを利用する上でのリスク管理は必須となっています。そのためにはまず、適切な知識が必要となります。閉域網とインターネットの違いを理解し、自身の情報を守るためのセキュリティ対策について学んでみましょう。

〈この記事を読んでわかる内容〉

  • 閉域網とインターネットの違い
  • 閉域網の定義
  • 閉域網のメリット・デメリット
  • 閉域網に必要なセキュリティ対策

閉域網とインターネットの違い

まず、通信のためのネットワークというのは、誰でも利用できる公共のネットワークと、限られた人しか利用できないプライベートなネットワークの2種類に分けられます。

誰でも利用できる公共のネットワークというのが、「インターネット」のことです。

しかし、誰でも利用できるというのは、便利である反面、悪意のあるユーザーも簡単にアクセスできてしまうので、セキュリティリスクが高くなりやすいです。そんなネットワークを使って、企業の機密情報や顧客の個人情報をやり取りするのはよくありません。

そのために用意するのが、安全な拠点間通信のためのネットワークです。これにはいくつかの種類があります。

  • インターネットVPN
  • IP-VPN
  • エントリーVPN
  • 広域イーサネット
  • 専用線

インターネットVPN

インターネットの通信ケーブルを使いながら、仮想的なトンネルを作ることで、悪意のあるユーザーが覗き見することができないようにするのが、インターネットVPNです。

安全な拠点間通信のために、別途の設備を用意する必要がないので、安価に構築できるというのがメリットです。しかし、物理的には、インターネットと同じ設備を使うことになるので、セキュリティレベルはそれほど高くありません。

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IP-VPN

IP-VPNは、インターネットVPNよりもセキュリティレベルの高い閉域網の一種です。閉域網とは、インターネットとは別に用意された通信環境で、契約者しか使うことができません。そのため、悪意のあるユーザーが不正にアクセスする可能性が低いため、高いセキュリティレベルを実現できるのです。

ただし、インターネットとは別の通信環境を用意しなければいけないので、コストがかかる方法です。

エントリーVPN

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エントリーVPNは、IP-VPNの一種です。通常のIP-VPNは、インターネットを通ることなく、閉域網のみで通信を行いますが、エントリーVPNは、閉域網へアクセスするためにインターネットを利用します。中間のネットワークは閉域網なのですが、そこに接続するための経路としてインターネットを利用するのです。これにより、アクセス回線の調達がラクになり、セキュリティレベルをある程度維持しながら、コストを下げることができます。

広域イーサネット

広域イーサネットも閉域網の一種です。IP-VPNは、IP(インターネットプロトコル)という通信の仕方しかできませんが、広域イーサネットは、IP以外のプロトコルを利用することができ、レイヤー2のプロトコルを用いることで、大きなLANのようなネットワークを構築することができます。

自由度が高く、柔軟にネットワーク構築することができますが、その分、知識やスキルが必要になるため、少し上級者向けのネットワークです。

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専用線

安全な拠点間通信を行うために、最も高いセキュリティを実現できるのが、専用線です。その名のとおり、拠点同士を直接繋いでしまおうということです。

ただし、自社専用の回線を敷設しなければいけないので、大きなコストがかかる上、納期も長くなります。それほど高いセキュリティが必要なのかどうか、じっくり検討する必要があります。

ネットワークの違い

ネットワークの違いを図で示すと、このようになります。

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閉域網とは閉鎖されたネットワークのこと

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閉域網とは、特定の組織やグループ内で限定的に使用されるネットワークのことを指します。

一般的に、閉域網は公開されていないプライベートなネットワークで、特定の場所や組織、人々の間でのみデータ通信が可能です。例えば、企業内ネットワークや学校のネットワークなどがこれに該当します。

これらのネットワークは、外部からの不正アクセスや情報漏えいのリスクを最小限に抑えるために設定され、特定のユーザーだけがアクセスできるようになっています。

閉域網の導入を検討するために、以下の項目について確認しておきましょう。

  • 閉域網の定義
  • 閉域網の利用目的
  • 閉域網の安全領域

閉域網の定義

閉域網とは、クローズドなネットワークとも表現され、公共のネットワーク(オープンなネットワーク)であるインターネットとは対局の言葉です。誰でも利用できるインターネットとは対照的に、限られた人だけがアクセスできます。

ただし、限られた人というのは、その閉域網サービスを契約している企業や団体の職員などで、自社の従業員だけというわけではありません。したがって、悪意あるユーザーが全くいないかというと、そうではありません。

閉域網の利用目的

閉域網は、そのセキュリティの高さから、機密性の高い情報を扱う業界でよく利用されています。以下に、その一部を紹介します。

金融業界

銀行や証券会社などは、顧客情報や金融取引情報を安全に管理するために閉域網を使用します。

医療業界

医療情報は患者のプライバシーを保護するために厳重に管理される必要があります。そのため、医療機関では閉域網を用いて患者の医療情報を共有・管理します。

IT業界

IT企業でも、社内の情報資産を保護するために閉域網が使用されます。サーバーやネットワーク機器の管理、プロジェクトの情報共有などに使われます。

政府・公共機関

国家レベルのセキュリティを保つため、政府機関や公共機関は閉域網を使用します。国民の個人情報管理や機密情報の保護などに活用されています。

これらの業界では閉域網により、外部からの不正アクセスを防ぐとともに、情報の安全性とプライバシーを確保しています。

閉域網の安全領域

閉域網がインターネットと比較して安全である理由は主に以下の3つです。

アクセス制限

閉域網は限定的なユーザーのみがアクセスできるよう設定されています。これに対して、インターネットは基本的に誰でもアクセス可能であり、その結果、不正なアクセスや攻撃のリスクが高まります。

データ通信の管理

閉域網では、ネットワーク上でのデータ通信が厳密に管理されます。データの送受信を行うすべての端末は認証を必要とし、未承認の端末からの通信はブロックされます。

セキュリティ対策

閉域網は専用のネットワークであるため、セキュリティ対策も細かく設定することが可能です。ファイアウォールや侵入検知システムなどを導入し、不正アクセスやマルウェアからネットワークを守ることができます。

これらの理由から、閉域網はインターネットと比較してセキュリティが高いと言えます。ですが、それでも100%の安全性を保証するものではないため、適切な管理と継続的なセキュリティ対策が必要です。

閉域網のメリット・デメリット

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ここまで閉域網の特徴について紹介してきましたが、メリットばかりではありません。デメリットも正しく理解した上で導入を検討する必要があります。

メリット

高いセキュリティ

閉域網は特定のユーザーのみがアクセス可能であり、データ通信も厳密に管理されるため、高いセキュリティを保つことができます。

データのプライバシー保護

個人情報や企業秘密など、重要なデータを内部で安全に管理することが可能です。

カスタマイズ可能

組織のニーズに応じて、ネットワークの設定や管理を柔軟に行うことができます。

デメリット

コストが高い

閉域網の設定や維持、管理には専門的な知識と高額なコストが必要となる場合があります。

アクセスの自由度が低い

特定のユーザーのみがアクセスできる反面、閉域網外からのアクセスは基本的に許可されないため、リモートワークなどの状況ではアクセスが難しい場合があります。

管理の難易度が高い

ネットワークの規模が大きくなると管理が複雑になり、専門知識を持つ人材が必要となることがあります。

閉域網とインターネットのセキュリティリスクの違い

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閉域網とインターネットには、特有のセキュリティリスクが存在します。ここでは、それぞれのセキュリティリスクとその対策方法について解説します。

閉域網のセキュリティリスク

閉域網は、特定の組織やグループ内で限定的に使用されるネットワークであり、そのユーザーは厳密に管理されています。これにより、外部からの不正アクセスのリスクを大幅に抑えることができます。

しかし、その一方で、内部からの脅威には十分な注意が必要です。不注意な扱いや内部者による情報漏えいが問題となることがあります。閉域網のセキュリティ対策は、ユーザー管理やアクセス権限の設定、定期的なセキュリティ教育が重要となります。

インターネットのセキュリティリスク

 一方、インターネットは全世界からアクセス可能な公開ネットワークです。そのため、ネットワーク自体が多くのサイバー攻撃や不正アクセスの対象となります。マルウェアの感染、フィッシング、DDoS攻撃などのリスクが常に存在します。対策としては、ファイアウォールの設定、アンチウイルスソフトの導入、最新のソフトウェアアップデートの適用などがあります。さらに、ユーザー自身のセキュリティ意識の向上も重要です。

閉域網とインターネット、それぞれのネットワークには独自のセキュリティリスクが存在します。それぞれのリスクを理解し、適切な対策を講じることで、ネットワークをより安全に利用することが可能となります。

代表的なセキュリティ対策

前述したとおり、閉域網はインターネットに比べ、セキュリティリスクが低いとはいえ、全く心配がないわけではありません。当然、基本的なセキュリティ対策は必要です。以下に代表的なものを挙げましたので、実施できているか確認してみてください。

アクセス制御

閉域網へのアクセスは特定のユーザーや端末に限定することが重要です。アクセス権限の設定や認証手段の強化(例:二段階認証)を行い、不正アクセスを防止しましょう。

ファイアウォールの導入

ネットワークへの不正アクセスを防ぐために、ファイアウォールを導入します。これにより、閉域網への不審な通信を遮断することができます。

インシデント検知・対応

侵入検知システム(IDS)や侵入防止システム(IPS)を導入し、異常な通信や攻撃を検知、防止します。また、セキュリティインシデントが発生した場合の対応計画も準備しておきましょう。

定期的なセキュリティチェック

ネットワークの安全性を確保するために、定期的にセキュリティチェック(パッチ管理、脆弱性診断など)を行います。

教育・訓練

ユーザー自身のセキュリティ意識も重要です。定期的なセキュリティ教育や訓練を実施し、正しいネットワーク利用方法を理解させましょう。

まとめ

閉域網は、特定の組織や施設内で限定的に使用されるネットワークのことを指すことをご紹介しました。例えば、企業内や学校内、あるいは特定の研究施設などで利用されます。

閉域網は、一般のインターネットとは異なり、外部からのアクセスが基本的には制限されています。これにより、情報漏えいや不正アクセスのリスクを大幅に減らすことが可能です。 

しかし、閉域網が高いセキュリティを提供する一方で、それが絶対的な安全性を保証するものではないことを理解することが重要です。

例えば、内部からの脅威、つまり従業員などの内部者による情報漏えいや、不注意からくるセキュリティインシデントが発生する可能性があります。また、閉域網に接続するための端末のセキュリティが甘いと、マルウェアの感染源となる可能性もあります。 そのため、閉域網を導入する際には、基本的なセキュリティ対策は必須と言えます。

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