インターネット回線の速度目安|利用状況・回線の違い&実測値の測定方法
インターネットを使っていて、通信速度が遅くイライラした経験はありませんか?品質の低いインターネット回線で通信を行うと、ページの読み込みに時間がかかったり、動画が途切れたりと不具合がおきてしまいます。
では、どの程度の速度が必要なのでしょうか。
インターネットの回線速度を表すには特有の単位が使われており、馴染みのない人は難しいと感じるかもしれません。初心者でもわかりやすく、回線速度の基本をとめました。
インターネット回線の速度を表す単位
インターネット回線の速度を表す単位や基本的な知識について確認しておきましょう。
- インターネット速度の基本は「bps」
- 「上り」と「下り」の違い
- 応答速度を示す「ping値」
- 理論値よりも実測値を重視する
インターネット速度の基本は「bps」
インターネットの速度を表す単位は、bps(ビーピーエス)というのが基本です。「bit per second」のことで、1秒間に転送できるデータ量を表しています。数字が大きくなるほど大きなデータの転送が可能です。
- 1Kbps(キロビーピーエス)=1,000bps
- 1Mbps(メガビーピーエス)=1,000Kbps
- 1Gbps(ギガビーピーエス)=1,000Mbps
一般的に、インターネット回線のスペックを表したり、Wi-Fiの対応速度を表す際には、「100Mbps」や「1Gbps」というふうに使われます。
「上り」と「下り」の違い
インターネット回線の速度を表す際には、「上り」「下り」という表現をします。
上りは「アップロード」、下りは「ダウンロード」を指しています。アップロードとは、情報をこちらから配信したり送信したりすることで、メールやメッセージの送信などが当てはまります。ダウンロードとは、送られてきた情報を受信することで、WebサイトやSNSの閲覧などが当てはまります。なお、テレビ電話やWeb会議では、上りと下りの両方の通信が行われているということになります。
同じインターネット回線でも、上りと下りは異なるスペックであることが多いです。
応答速度を示すping値
インターネット回線の上りと下りが理解できたら、ping値についても確認しておきましょう。
ping値とは「Packet INternet Groper」の頭文字をとった言葉で、応答速度を示す数値です。数値が小さいほど情報処理のラグが少なく、快適なインターネット環境であると言えます。Webサイトの閲覧などでは影響は少ないですが、対戦ゲームなどをするのであればできるだけ低い数値の方が快適に操作できます。
理論値よりも実測値を重視する
インターネット回線の速度を調べる際に重視したいのは、理論値よりも実測値です。理論値とは、計算上の理想的な数値のことです。
常に理想値の速度が出ればいいのですが、回線の品質やISP(プロバイダー)の品質、LANケーブルや無線LANルーターの品質などによって速度が遅くなってしまい、理論値の速度が実際に計測されることはほとんどありません。また、同じ環境でもアクセスが集中する時間帯などは、混雑によって速度低下することもあります。
多数の速度低下の要因を含めた、実際の環境でのインターネット速度を実測値と呼びます。目安として理論値を確認しておくことも必要ですが、実際の通信環境でインターネット速度を計測し実測値を把握することが重要です。
利用用途ごとに必要なインターネット回線速度の目安
では実際に、インターネットの利用用途ごとに快適な操作ができる速度の目安を見てみましょう。
利用用途 | 必要な速度の目安 |
---|---|
SNSやメッセージの送受信 | 128kbps~1Mbps |
Webサイト閲覧 | 1Mbps |
Web会議 | 10~15Mbps |
動画視聴 | 5〜30Mbps |
オンラインゲーム | 30~100Mbps以上 |
それぞれの用途について、詳しく見てきましょう。
SNSやメッセージの送受信:128kbps~1Mbps
LINEなどのメッセージアプリやSNSでのやりとりなど、多くの人が日常的に行う通信における速度目安は128kbps~1Mbpsです。
テキストデータよりも画像や動画データの方がサイズが大きいため、画像を添付したり動画をアップロードする際には、3Mbps~10Mbps程度あるとよいでしょう。
Webサイト閲覧:1Mbps
Webサイトの閲覧には、1Mbps程度が必要だと考えておきましょう。
閲覧するサイトによって、画像が多い、音楽がついているという場合には10Mbps以上あった方がいいこともあります。
Web会議:10~15Mbps
コロナ禍を経て浸透したWeb会議には、およそ10~15Mbpsの通信速度が必要です。
双方向のコミュニケーションなので、上りも下りも一定の速度が求められます。上りの回線速度が遅いと相手に音声やカメラ映像が届かなくなる可能性があり、下りの回線速度が低いと相手の音声が途切れたりカメラ映像が見にくくなる可能性があります。
Web会議の参加人数が多くなったり、Web会議を繋ぎながら別でパソコン作業をしたりすると、さらに通信速度が必要になります。
動画視聴:5〜30Mbps
YouTubeなどの動画鑑賞のインターネット速度の目安は、5〜30Mbpsです。
画質によってYouTubeでは、下記のように速度の目安を公示しています。
動画の解像度 | 推奨される持続的な速度 |
---|---|
SD 360p | 0.7Mbps |
SD 480p | 1.1Mbps |
HD 720p | 2.5Mbps |
HD 1080p | 5Mbps |
4K UHD | 20Mbps |
高画質の動画を再生するためには、より高速な回線が必要になることがわかります。テレワークやオンライン授業では25Mbps程度を目安としておくといいでしょう。
オンラインゲーム:30~100Mbps以上
オンラインゲームをする際のインターネット速度の目安は30Mbps以上で、対戦ゲームとなるとさらに回線速度が重要になってきます。最低でも30Mbps以上、激しいアクション系のゲームなら100Mbps以上を意識しましょう。
オンラインゲームの場合はping値も重要で、ping値は50ms以下を目安にしておくといいでしょう。ping値が15ms以下のレベルであれば、ほとんどタイムラグを感じることなく操作できます。
インターネット回線の違いによる速度の目安
インターネット回線の違いによって、速度にはどのような差が出るのでしょうか。
目安となる平均速度で、上りと下りの速度を比較してみました。
回線の種類 | 上り | 下り | ping値 |
---|---|---|---|
光回線 | 288.08Mbps | 359.57Mbps | 19.78ms |
Yahoo! BB ADSL | 2.12Mbps | 6.48Mbps | 59.7ms |
ケーブルテレビ回線 | 26.63Mbps | 176.95Mbps | 30.95ms |
携帯キャリア | 17.55Mbps | 86.1Mbps | 50.69ms |
参照:みんなのネット回線速度にて計測
こちらはあくまでも平均速度ですが、光回線が圧倒的に高速であるとわかります。
インターネット回線の速度を計測する方法
インターネット回線の通信速度は理論値と実測値で違いがありますので、お使いの環境で速度を計測してみるのがおすすめです。
インターネット回線の速度を計測できるサイトをご紹介します。
- Fast.com
- USEN GATE 02
- Speedtest by Ookla
Fast.comはサイトを開くと自動的に速度テストが始まりますので、誰でもインターネットの回線速度を調べられます。表示されるのは下りの速度になりますので、「詳細を表示」をクリックすれば上り速度とping((レイテンシ)もわかります。
USEN GATE 02のサイトを開き「測定開始」をクリックすると、速度テストが始まります。下り(DOWNLOAD)と上り(UPLOAD)、ping値(PING)と、用途別回線スピード判定結果(JITTER)が一目で表示されます。
Speedtest by Ooklaのサイトを開き「GO」をクリックすると速度テストが始まります。下り(DOWNLOAD)と上り(UPLOAD)、ping値(PING)のテスト結果が表示されます。
このようにインターネット回線の速度を調べるには、特定のサイトをクリックするだけなのでとても簡単です。
携帯電話キャリアごとの回線速度の目安
スマホの通信速度に大きく関わる、キャリアごとの回線速度をチェックしてみましょう。
大手3社の携帯電話キャリアの平均値を調べました。
キャリア | 上り | 下り | ping値 |
---|---|---|---|
NTTドコモ | 14.21Mbps | 118.84Mbps | 53.23ms |
au | 16.26Mbps | 99.25Mbps | 46.92ms |
ソフトバンク | 18.1Mbps | 105.51Mbps | 38.53ms |
参照:みんなのネット回線速度にて計測
こちらはあくまでも平均値なので、ご自身のスマホで回線速度をチェックしてみてください。
スマホの回線速度を計測する方法
スマホの回線速度を測定するには、アプリのインストールという方法もあります。時間や場所によってインターネットの回線速度が遅いと感じる時に、すぐにアプリで速度の確認ができます。
代表的な回線速度テストのアプリは、こちらです。
- RBB SPEED TEST
- SpeedTest Master
- Speedcheck Internet Speed Test
RBB SPEED TESTは、測定データを全国平均と比較できるアプリです。
SpeedTest Masterは課金をすれば、機能が充実したり、広告費表示にしたりと快適に使用できます。
Speedcheck Internet Speed Testは、セキュリティ状況なども把握できます。
インターネット回線速度が遅い時
使っているインターネットの回線速度が遅いと感じる時には、このような対処法を試してみましょう。
- 不要なアプリを閉じる
- ルーターの位置を変えてみる
- 無線使用なら有線に切り替える
- メッシュWi-FiやWi-Fi中継器を設置してみる
- IPv6通信を利用する
不要なアプリを閉じる
スマホにはメモリ容量があり、複数のアプリを起動させたままでいると容量がいっぱいになってしまいます。使い終わったアプリや開いたままのブラウザを閉じると、メモリ容量を抑えられます。
スマホの処理能力が落ちると、インターネットの回線速度に影響が出る場合がありますので、試してみてください。
ルーターの位置を変えてみる
無線LANルーターを使っているのであれば、ルーターの位置を変えるだけでも回線速度が改善されるかもしれません。無線接続機器は、距離が遠くなってしまったり、途中に障害物があると電波に影響が出ます。
ルーターの電波を遮らないよう注意する、または高い位置に置いておくという方法も試してみましょう。
無線使用なら有線に切り替える
スマホでは難しいですが、パソコンのように有線接続ができる端末であれば有線で繋いでみるのも改善策のひとつです。使用場所によってはLANケーブルの配線が難しいかもしれませんが、有線で繋げば高速回線も安定して使えるようになるでしょう。
ルーターで無線接続をする機器が少なくなると、無線接続で使用するスマホの回線速度が上がるというメリットもあります。
メッシュWi-FiやWi-Fi中継器を設置してみる
Wi-Fiのインターネット回線の速度改善対策として、メッシュWi-FiやWi-Fi中継器もおすすめです。
メッシュWi-Fiとは、家の中に複数アクセスポイントを作り、広いエリアで安定した通信を確保する方法です。ルーターと端末の間に中継器を設置すれば、通信速度を保った状態でインターネットの利用が可能になるでしょう。ルーターと端末の間に障害物が多い、家が広く部屋数が多いという場合に試したい方法です。
IPv6通信を利用する
IPv6とは、「Internet Protocol Version 6」の頭文字をとった言葉で、通信規格のひとつです。
IPv4では古い通信方式である「PPPoE」しか対応していませんが、IPv6であれば新しい通信方式である「IPoE」に対応しています。IPoEの方が、通信の混雑(輻輳:ふくそう)が起こりにくく、快適な通信ができる可能性があります。
インターネットを使う際には、利用用途によって必要な回線速度が異なります。Webサイトを閲覧するだけなのか、オンラインゲームを楽しみたいのか、では必要なインターネット環境が異なると考えていいでしょう。
インターネット回線の速度は理論値と実測値がありますので、まずは実際にお使いの環境のインターネット速度を知るべきです。理論値とかけ離れた数値であれば、どこかにボトルネックになっている箇所があるはずです。
回線の乗り換えは大変かもしれませんが、手軽に試せる改善策もありますので、参考にしてみてください。