ナレッジ共有の文化を社内に浸透させる方法 | 成功させるステップやポイントを解説
「社内の誰が情報を持っているか分からないから情報収集が大変」「この情報、前にも誰かがまとめていた気がする・・」などと思いながら、生産性の低い仕事を繰り返していませんか? 情報がきちんと共有されていないと、こうしたムダが発生しやすく、従業員のストレスや業務効率の低下を引き起こします。
業務上に獲得した知見やノウハウなどは、英語で知識を意味する「ナレッジ(knowledge)」と呼ばれます。このナレッジを社内で効果的に共有することで、スムーズな業務遂行が可能になります。
本記事では社内で効果的にナレッジを共有する方法を解説しています。ナレッジを共有するにあたって知っておきたい社内への働きかけ方や浸透させるポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- 社内でナレッジ共有することが重要な理由
- 社内でのナレッジ共有を成功させる手順
- 社内でのナレッジ共有を促進するポイント
社内でナレッジ共有することが重要な理由
ナレッジ共有は、社内で業務効率を高めるために欠かせない要素です。転職による人材の流動化やリモートワークなどの普及によって、その重要性がますます高まっています。
知識が共有されていないと同じ作業の繰り返しやミスが増え、業務の停滞を招きます。業務が属人化していると、担当者がいなければ業務が進まないケースもあるでしょう。
ナレッジ共有ができていると、全員が情報を活用しチーム全体の成長を促進できます。多様な働き方を実現したり、組織全体の業務品質の向上や効率化のために、非常に有効な手段と言えます。
社内ナレッジとは
社内ナレッジとは、社員が持つ業務知識や経験のことです。これは組織全体の財産であり、適切に共有することで組織全体の成果を高めることができます。一方で、適切に共有できていないと業務が属人化したり、組織全体の業務効率を低下させることに繋がります。
わかりにくい場合は、業務上のノウハウや過去のプロジェクトで得られた教訓などをイメージしてください。適切に共有し、いつでも見られる状態にしておくと、社員間のスキルギャップを埋め、業務の品質を向上できます。既存の従業員への情報共有はもちろんですが、新しく組織に加わるメンバー(新卒社員や中途入社)に対する教育にも役立ちます。
社内ナレッジは暗黙知と形式知に分けられる
社内ナレッジは、大きく暗黙知と形式知にわけられます。それぞれどのようなものか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
暗黙知とは教育・伝達が難しい知識
暗黙知は、経験に基づいて得られる知識であり、「職人の勘」や「長年培ったノウハウ」が当てはまります。言葉や文章で説明するのが難しい技能をイメージすると良いでしょう。
暗黙知は簡単に共有できないため、実際の作業を見せながら教えるなど、時間と手間をかける必要があります。特に技術的な暗黙知は経験が求められる傾向にあり、ナレッジ共有ツール(社内マニュアルなど)での共有が難しいと言えます。
そのため、暗黙知のままにしておくのは避け、なるべく形式知へと変換していくようにすることで、ツールでの共有をしやすくできます。
形式知とは教育・伝達がしやすい知識
形式知は、文章や図表などで表現できる知識です。マニュアルや手順書をイメージするとわかりやすいでしょう。
形式知化された知識は社内での共有が比較的容易で、人材育成や情報伝達の効率化に大きく貢献します。新しく加わった従業員でも業務をキャッチアップしやすくなり、効率的な教育が可能です。
そのため、社内ナレッジはまず暗黙知から形式知に変換することで、組織全体の共有財産として蓄積することができるようになります。
ナレッジ共有を社内で成功させる4ステップ
ナレッジ共有を社内で成功させるには、以下の手順を参考に進めましょう。
Step1.担当者を決める
まず、ナレッジ共有の推進を行う担当者を決めましょう。担当者がいないと「誰かがやってくれる」と考え、ナレッジを共有するという文化を根付かせることは難しくなります。
おすすめは、入社10年程度の従業員です。ある程度の業務経験を持ち、人脈のある人材を選びましょう。ナレッジ共有の推進を行うためには、前述した暗黙知をある程度理解している必要があることに加え、部門の垣根を越えた調整が必要となるためです。
Step2.ナレッジ共有の目的を明確にする
担当者が決まったら、次にナレッジ共有の目的を明確にします。ナレッジ共有をすることで、どんなことを達成したいのかを決めておくと、強い推進力を維持できます。
例えば、以下のような核となるナレッジ共有の目的を設定すると、方向性がブレなくなります。
- 営業ノウハウの蓄積
- 社内ツールの利用促進
- 新入社員の教育
複数の目的がある場合もあるかと思いますが、その場合にも優先順位を付け、焦点を絞ることが大切です。目的が明確であるほど、従業員も積極的に参加しやすくなります。導入後の浸透しやすさにも直結するので、重要な手順です。
Step3.適切な共有ツールを選ぶ
ナレッジ共有を成功させるためには、適切なツールを選べるかどうかも重要です。社内wikiやポータルサイトなど、ツールによって得意とする機能が異なるため、何を重視するかを決めておきましょう。
Step4.共有の流れを仕組み化する
ツールを選んだ後は、共有の流れを仕組み化しましょう。仕組み化することで、ナレッジ共有が日常的に行われるようになります。
例えば、社内wikiのように、ユーザー自身が情報発信していくタイプのツールを導入した場合、価値のある情報を持つユーザーに情報発信を促す必要があります。具体的には、情報発信を積極的に行った従業員を表彰したり、インセンティブを用意したり、なにかしらの評価を得られモチベーションを維持できるような仕組みが必要です。
また、ポータルサイトのように管理者が必要なタイプのツールを導入した場合、誰がどんな情報をどのくらいの頻度で発信していくのかなど、運用ルールを設ける必要があります。
ツールを導入しても、使用されなければ形骸化してしまいます。従業員の善意に頼るよりも仕組み化することで、ナレッジ共有を強力に推進することができるようになります。
社内でナレッジ共有を促進するための3つのポイント
社内でナレッジ共有を促進するには、意識したいポイントがあります。中でも以下の3つは重要です。
従業員の参加意識を高める仕組みを作る
ナレッジ共有の文化を浸透させるためには、従業員の参加意識を高めることが大切です。
参加意識を高めるには、情報の提供に対するインセンティブを設けるのが効果的です。例えば、積極的にナレッジを提供した社員に対して評価や報奨をするといった方法があります。
価値のある情報が提供されなければ、ナレッジ共有の価値を感じることはできません。価値のある情報が提供されるようになれば、ユーザーが集まり、さらに情報も集まるようになります。
ナレッジ共有が当たり前になるように、従業員の参加意識を高める仕組みづくりが大切です。
情報を整理し、アクセスしやすくする
情報が整理され、アクセスしやすい環境を整えるのも重要です。せっかく有益な情報があっても、必要なときに簡単にアクセスすることができなければ、意味がありません。
タイムライン型のツールだと、情報が時系列で並ぶので、時間とともに古い情報が埋もれてしまいがちです。一方で、階層構造に情報を整理するツールは、管理が煩雑になったり、階層が深すぎると見つけづらくなってしまいます。
検索機能が優れたツールを使うことで、管理の手間を抑えながら、アクセスしやすさを確保することができます。
成功事例を共有してモチベーションを上げる
成功事例を共有する方法もおすすめです。例えば、ナレッジ共有によって業務が効率化されたり、課題が解決されたなど、うまくいったケースを紹介すれば、他の従業員も「自分もやってみよう」と取り組みやすくなります。
成功体験があるほど、他のユーザーが参加しやすくなります。最初のハードルを越えてしまえば、ツールや文化の浸透は加速度的に進むでしょう。
ナレッジ共有は、会社全体が成長していくために「ナレッジ」という社内の共有財産を蓄積していく取り組みです。非常に有益な取り組みですが、その文化を根付かせるためには、少し苦労するかもしれません。
プロジェクトを推進するメンバーを任命し、仕組み化することで、自然とナレッジが共有される環境を作っていくことができます。はじめの一歩さえ踏み出すことができれば、きっと大きな成長を感じることができるはずです。