古いナレッジマネジメントの特徴とは? | 問題を解消する手順や効率的な運用方法を徹底解説
「何度も同じ質問をされる・・」「あの情報は一体どこへ行ったんだ?」このような経験が多いなら、「ナレッジマネジメント」つまり知識やノウハウの管理がうまくいっていない可能性があります。
ナレッジの管理方法が古いままでは情報があちこちに散在し、必要な時に必要な情報にアクセスできません。放置すると業務効率や品質の低下を招くため、早急に対策が必要です。
本記事では、古いナレッジマネジメントの特徴を紹介しています。古いまま運用するとどんな問題が発生するのかやナレッジマネジメントを新しくする方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- 古いナレッジマネジメントの特徴
- 古いナレッジマネジメントによって起こる問題
- 新しいナレッジマネジメントへ切り替える手順
古いナレッジマネジメントの3つの特徴
古いナレッジマネジメントと言われても、自分たちが該当するのかわからない方もいるでしょう。そんな方は、以下のチェックリストに当てはまっていないかを確認してみてください。
紙の書類で管理している
様々なマニュアルや社内ルールなどを紙の書類で管理している場合、その管理方法は古いと言わざるを得ません。
紙の書類は、様々なバージョンが生まれやすく、どれが最新の情報かわからなくなってしまうことも多いです。また、複数の拠点がある会社などでは、情報が保管されている拠点以外で勤務する従業員は簡単にはアクセスできません。さらに破損や紛失のリスクもあります。
デジタルデータとは別に、非常時用として保管するのは有効ですが、主たる保管方法としては適さないでしょう。
担当者や明確な運用ルールが決められていない
担当者を決めなかったり、運用のルールが定められていない場合も、古いナレッジマネジメントと言えます。責任の所在がなくなると、「誰かがやってくれるだろう」と情報の更新が滞りやすくなります。いつ、だれが、どんな風に情報のアップデートを行うのか、明確にルールを決めて運用する必要があります。
誰かのローカル環境にある Excel ファイルで管理している
Excel を使ってナレッジを管理している場合も要注意です。Excel は確かに便利ですが、紙の書類と同じく、様々なバージョンが生まれやすく、どれが最新のファイルかわからなくなってしまうことが多いです。
その Excel ファイルが誰かのローカル環境にある場合はさらに注意が必要です。アクセスできる人が限られていたり、コピーが大量に作成され、オリジナルがどれかわからなくなってしまうこともあります。
古いナレッジマネジメントによって起こる3つの問題
古いナレッジマネジメントは、様々な問題の原因になります。中でも頻発しやすいのが、以下の3つの問題です。
情報へのアクセス性が低い
古いナレッジ管理方法では、必要な情報をすぐに検索できないケースが多くあります。情報が整理されていないためです。
例えば、紙の書類で管理している場合、求める情報がどこにあるか検索できず、1ページずつ調べていく必要があります。Excel で管理している場合、検索機能はありますが、1文字でも違えばヒットしません。「Excel」に関する情報を探したいときに、もしデータで「エクセル」と表記されていれば、検索で見つかることはないでしょう。
情報へのアクセス性が低いと、ユーザーはその情報を使おうとしなくなります。そうすると、マニュアルに書いてあるような社内ルールについての問い合わせが増えたり、せっかく得た過去のプロジェクトでの経験を新しいメンバーに共有することができず、業務の効率や品質が上がっていきません。
アクセス制限をコントロールしにくい
古い体制のナレッジマネジメント方法には、一部のユーザーにだけアクセスさせたい情報があっても制御しづらいという問題があります。Excel などを使っている場合では、ファイル内のすべての情報へアクセスできる、もしくは全くアクセスできない、という大まかな制御しかできません。
ナレッジを共有する際、状況に応じてアクセスさせるユーザーを限定したいという場面は多くあると思います。アクセスする必要のないユーザーが機密情報にアクセスできる状況は、情報漏えいのリスクを高めるためです。
こうしたリスクを低減するためにも、細かくアクセス権を制御できるかどうかはナレッジ共有の運用において、重要なポイントになります。
取り組みが形骸化しやすい
古いナレッジマネジメントは、取り組みが形骸化しやすいという面があります。ユーザーが使いにくいと判断すると、情報は利用されず、ただファイルがあるだけになってしまうということです。その結果、定期的に更新されることもなく、誰も見ない資料が増えるだけになってしまいます。
ナレッジが、ユーザーにとって使いやすく、適切に更新されるような運用体制を整備しなければ、簡単に形骸化してしまいます。
古いナレッジマネジメントを新しくする手順
それでは、古いナレッジマネジメント体制を新しくしたい場合は、どうすればいいのでしょうか。順を追って説明していきましょう。
Step1.現状の課題を明確にする
まず、現状の課題を明確にする必要があります。どこに問題があるのかを把握し、適切な解決策を探しましょう。例えば、以下のような問題点が考えられます。
- 欲しい情報を見つけづらい
- 情報を発信しにくい
- 情報の正確性に疑問がある
- 情報の更新頻度が不安定
- セキュリティに不安がある
このように具体的な問題点をリストアップし、解決策を探していきます。必ずしも最新のツールを導入すれば解決するわけではなく、適切な運用体制を整えることが課題解決に繋がります。
Step2.新しいツールやシステムを検討する
現状の課題を把握できたら、次に課題を解決するために新しいツールやシステムが必要かどうかを検討します。例えば、ナレッジ共有ツールには以下のようなものがあります。
- 社内wiki
- ファイル共有
- 社内SNS
- 社内ポータル
最近のナレッジ共有ツールは、クラウド型のものが主流です。
ツールごとに得意なことや苦手なことがあるので、自社が抱える課題をより効果的に解決できるツールを選択します。
Step3.組織全体で活用を促進する
新しいツールやシステムを導入しただけでは意味がありません。組織全体で活用を促進していくことが重要です。そのため、担当者を決めてシステムやツールの導入と同時に活用を促進していきましょう。
ナレッジ共有を進める中で最も陥りやすい問題は、情報提供が活発化しないという点です。
社内ポータルのように、情報発信が一方向的な場合は、情報発信の担当者を決め更新ルールを定めることで、ある程度活用されるようになると思います。
一方で、社内wikiのような、ユーザー自身が情報発信する必要がある場合は、情報発信へのモチベーションを用意する必要があります。具体的には、情報発信行動を人事評価に含んだり、価値ある情報発信にはインセンティブを支払うなどです。
効率的なナレッジマネジメント運用の3つのポイント
ナレッジマネジメントを効果的に運用するには、以下のポイントを意識しましょう。
アクセスのしやすさを向上させる
ナレッジは誰でも簡単にアクセスできるかどうかが重要です。アクセスしやすいほど、情報の利用頻度も活発になります。例えば、以下のような特徴があると効果的です。
- 検索機能が充溢している
- PCだけでなくモバイルでも利用できる
- 直感的に操作できる
多くの従業員が気軽に使えるように、どのようにすればアクセスしやすいかを導入前に検討しましょう。
知識共有の文化を育てる
ナレッジマネジメントを成功させるためには、知識を共有する文化を育てることが大切です。情報を得る文化だけでなく、発信する文化を根付かせることが特に重要です。一方で、知識発信の文化を育てるのは難しいです。以下のような形で多角的に文化を育てていきましょう。
- 情報発信に対する評価制度の策定
- 情報共有のための社内イベントを開催
文化として根付けば、後は自動的に走って行きます。新しいナレッジマネジメントを活用するためにも、まず知識共有を習慣付けていってください。
情報の鮮度が保たれるように管理する
ナレッジは1度発信したら終わりではありません。常に内容を見直し、古い情報を更新していく必要があります。情報は常に変化していきます。常に新しい情報に触れられるようにし、効率的に業務を遂行できる状態が理想的です。
古いナレッジマネジメントには、様々な問題点があります。うまく運用することができれば、会社としての成長を加速させることができます。そのためには、ツールを導入して終わりではなく、正しい運用体制を整備することが重要です。
今回紹介した内容を参考に、自社に合ったナレッジマネジメント体制を構築してください。