SaaSとは?メリットや特徴、代表的なサービスについて解説!
SaaSとは?
SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ソフトウェアをサービスとして提供する製品形態のことを言います。読み方は「サース」または「サーズ」と読みます。
インターネット経由で利用するサービスである「クラウドサービス」の最も代表的なものにあたり、ユーザーはインターネットに接続できる環境であればどこからでもそのサービスを利用することができます。
SaaSのメリット
インターネット接続環境であれば、「誰でもいつでもどこからでもアクセスできる」というのが最大のメリットですが、それ以外にもユーザーはいくつかのメリットを享受することができます。
導入が簡単、低コスト
SaaSは既に機能として完成されたものをサービスとして利用するので、ユーザー企業が初期構築のための設備投資を行う必要がありません。
導入に際してはPCで行う比較的容易な作業のみで、且つ低コストで利用を開始することができます。
また、維持管理のためのランニングコストは基本的にサービス利用料のみであり、自社で構築するよりも安価に済むケースが多いでしょう。
しかしながら、殆どのSaaSサービスが利用規模(アカウント数)に応じた利用料となるため、社員数が多い組織は自社構築である方がランニングコストが安価になるというケースもあり注意が必要です。
管理運用も簡単
導入後、ユーザー企業が行うメンテナンスは、主に以下の通りです。
アカウント管理
ユーザーのアカウントを作成・削除・変更したり、権限を適切に設定したりする必要があります。不正アクセスを予防するためにも、退職者などの不要なアカウントをそのまま放置しておかないようにしましょう。
データ管理及びアクセス権管理
SaaSはユーザーのデータをクラウド上に保存します。SaaSの契約はストレージ容量が無制限のものもありますが、上限があるものの場合は不要になったデータを削除しておく必要があります。
また、適切なアクセス権を維持することも重要です。アクセスさせる必要のないユーザーには、重要データを閲覧できないようにしましょう。
自社開発システムである場合、上記の他にもアクセス経路上のセキュリティ対策やパッチ管理などの定期メンテナンス、利用拡大に伴うファシリティやインフラの増強まで行う必要があります。
SaaSはこれらすべてをサービスベンダーが代行し、インターネット経由で常に最新版を使えるため、運用工数は最小限で済みます。
テレワークに最適
SaaSは、インターネットに接続さえできればその機能を利用することが可能です。
さらに、複数人で同時に同じデータを閲覧・編集することができるため、バージョン管理が不要で大幅に生産性を上げることができます。
また「誰でもいつでもどこからでもアクセスできる」という特徴は、令和になって一気に浸透したテレワークとの親和性も高く、テレワーク促進に大いに寄与したといえるでしょう。
SaaSのデメリット
企業のニーズによっては、SaaSではデメリットになる場合もあります。
カスタマイズ性が低い
SaaSは既に構築されたアプリケーションソフトウェアをサービスとして利用する特性上、ユーザー企業のニーズに合わせてそのソフトウェアをカスタマイズすることは基本的にできません。
自社開発システムであれば、運用の過程で新たな機能追加やUIの変更など、ニーズに合わせた改修が可能であるため、それに比べるとカスタマイズ性が低いことがデメリットになるでしょう。
自社の業務に最適なSaaSが見つからない場合は、別のサービスとの掛け合わせで最適化するか、サービスの仕様に運用を合わせていく必要があります。
セキュリティには注意が必要
どこからでもアクセスできる特性により、自社の情報システム部門が管理しているネットワーク以外のネットワーク、例えば自宅ネットワークやサテライトオフィス、カフェなどからの利用も想定されます。
アクセス経路に盗聴などのリスクがないか、ユーザーが公共の場でPCを開いて覗き見されるリスクがないか等、予め検討しておく必要があるでしょう。
信頼できないデバイスやネットワークからはアクセスできないようにする、またはデバイスやネットワークに制限はかけずに別途CASB(Cloud Access Security Broker)を取り入れる等、自社のセキュリティポリシーに合わせてリスクマネジメントを講じておくのが理想です。
利用環境はネットワークやベンダーに依存する
SaaSを含むクラウドサービス全般はインターネットあってのものです。アクセス経路でのネットワーク障害が起こると、復旧するまでそのツールを利用することはできません。また、サービス提供会社のサーバーに不具合が起きても同様です。その間、ユーザー企業の情報システム担当者になす術はありません。
サービスメンテナンスなどは一般的に夜間の利用が少ない時間帯に実施されますが、ユーザー企業の業態によってはメンテナンスの時間が直接企業の生産活動に影響する場合もありますので、導入前に確認しておきたいですね。
SaaSの代表例
SaaSと聞くと、聞きなじみがなく難しく聞こえるかもしれませんが、私たちが仕事をする上で日常的に使っているツールの殆どがSaaSだったりします。
- Microsoft 365に含まれるオフィスソフト
- GmailなどのWebメール
- DropboxやGoogle Driveなどのオンラインストレージ
- ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議システム
- kintoneやAsanaなどの業務支援ツール
- マネーフォワード クラウドやfreee会計などの会計ソフト
さらに言うと、iPhoneやandroidスマートフォンを利用している方であれば必ず利用しているであろうあらゆるアプリも、全てSaaS製品といえるでしょう。
IaaSやPaaSとは?SaaSとの違い
SaaSと関連する用語として、IaaSやPaaSがあります。
いずれもインターネットを介してサービス提供されるものに変わりはありませんが、どこまでをサービス提供してもらうか?の境目が異なります。
IaaS(Infrastructure as a Service)はシステムを運用するにあたって必要なインフラまでを用意してくれるサービスです。
通常、企業が新たなシステム開発を行う際、運用するためのサーバーやそれを置く場所の手配、インターネットに繋ぐ回線、はたまた自社と繋ぐための回線やネットワーク機器等々、ファシリティ手配が多く発生し、これにより初期投資が膨れ上がります。
IaaSを契約すると、その土台の部分をサービスベンダーが用意してくれるため、ユーザー企業はサーバーを動かすOSの検討から始めることができます。
一方、PaaS(Platform as a Service)は、アプリケーションソフトウェアの実行に必要なプラットフォームであるネットワークやサーバーシステム、OSやミドルウェアまでを用意してくれるサービスです。
IaaSの方がより自由なシステム構築が可能となりますが、その分専門スキルや運用工数がかかります。
SaaSはアプリケーションソフトウェアまでの全てをサービスベンダーに開発、運用してもらってユーザーは利用するだけ、という手軽さや、専門的な知識が不要であることも、最も多く普及している要因でしょう。
クラウドサービスやASPとの違い
クラウドサービスはインターネット経由で提供されるサービス全般を指す言葉です。よってSaaSだけではなく、PaaSやIaaSもクラウドサービスに属することとなります。SaaSはクラウドサービスの中のアプリケーションソフトウェアまでを提供してくれるサービス、ということです。
またASP(Application Service Provider)は、厳密にはインターネットを通じてアプリケーションを提供するサービス形態やそれを提供する事業者のことを指しますが、ASPサービス(ASPが提供するサービス)とSaaSに大きな違いはないでしょう。
専門的なITスキルがなくても、きちんとした運用ができれば誰もが便利に使えるSaaS。近年では様々なデバイスがインターネットに接続できるようになっており、SaaSであらゆるものが便利になりました。その反面、インターネット利用におけるセキュリティリスクも私たちのすぐ近くにあるものと理解し、適切な利活用が求められています。
本記事が今お使いのSaaSの運用を改めて見直すきっかけになったり、新たなSaaS導入の参考になれば幸いです。