Wi-Fiの2.4GHzと5GHzって何が違うの?どんな人がどちらを選ぶべきかをわかりやすく解説
Wi-Fiは現代生活にとって欠かせない存在となり、家庭やオフィス、公共の場所で日常的に使用されています。しかし、Wi-Fiには様々な特性があり、その中でも「2.4GHz」と「5GHz」という2つの主要な周波数帯が存在します。これらの周波数帯の違いは、Wi-Fiのパフォーマンスに大きな影響を与えます。しかし、これらの周波数帯の違いや選び方について理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、「2.4GHz」と「5GHz」という2種類の周波数について、それぞれの違いや特性、そしてどのような場合にどちらを選ぶべきかをわかりやすく解説します。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- Wi-Fiで使われる2つの周波数帯
- Wi-Fiの周波数帯を選ぶ際のポイント
- Wi-Fiの周波数帯に関する設定を最適化する方法
Wi-Fiの周波数帯には2種類ある
Wi-Fiで使われる周波数帯には「2.4GHz」と「5GHz」の2種類があります。それぞれの周波数帯には異なる特性があるため、用途や環境に応じて使い分ける必要があります。
まずはどのような特徴があるのか、以下に分けて詳しく見ていきましょう。
- 周波数とは何か
- 2.4GHz帯の特徴
- 5GHz帯の特徴
周波数とは何か
まず、一般的に周波数とは、一定の時間内に発生する波の数を表しています。そして、Wi-Fiは無線で通信するために電波を利用しており、この電波は波の性質を持っています。波の数が異なることで、通信の範囲、速度、干渉の程度などが変化します。
周波数の単位は、Hz(ヘルツ)で、Wi-Fiで使われる周波数帯は、2.4GHz(ギガヘルツ)と5GHzです。このG(ギガ)は大きな数を表すための接頭辞です。
- キロ(k): 1,000(10の3乗)
- メガ(M): 1,000,000(10の6乗)
- ギガ(G): 1,000,000,000(10の9乗)
したがって、1メガは1,000キロに相当し、1ギガは1,000メガ、または1,000,000キロに相当します。
つまり、2.4GHzは1秒間に240万回、5GHzは1秒間に500万回振動するということです。
2.4GHz帯の特徴
2.4GHz帯は、電波の波長が長く、障害物に強いという特徴があります。そのため、壁やドアなどを回り込んで電波が届きやすく、広い範囲をカバーすることができます。また、対応している機器も多いため、ほとんどのWi-Fi機器を接続できるメリットもあります。汎用性の高い帯域といえるでしょう。
ただし、5GHzと比べて通信速度が遅くなりやすいです。また、この周波数帯が使われている電化製品も多く、電子レンジやBluetooth機器なども2.4GHz帯を使用しています。同じ周波数帯の電波は互いに影響を受けやすく、電波干渉が起こると通信が不安定になる点には注意しましょう。
Wi-Fiに接続する際の名前(SSID)の末尾には、一般的に「G」が付けられます。
5GHzの帯域の特徴
5GHz帯は、電波の波長が短く、障害物には弱いという特徴があります。そのため、壁やドアなどが多い環境では、電波が届きにくいです。
一方で、2.4GHz帯に比べて高速通信が可能です。加えて、この周波数帯を利用する電化製品が少ないため電波干渉が起こりづらく、安定した通信が可能です。そのため、開けた空間や狭い範囲内であれば、動画再生や大容量のファイルを転送するのに適しています。
Wi-Fiに接続する際の名前(SSID)の末尾には、一般的に「a」が付けられています。
Wi-Fi規格ごとの利用できる周波数帯
Wi-Fi規格には世代があり、世代ごとに最大速度などが向上しているのですが、世代によって利用できる周波数帯が異なります。当然、新しい世代のWi-Fi規格の方が高速な通信が可能ですが、最新の規格であるWiFi 6は、まだ対応機器が少ないため、Wi-Fi 5の方が広く使われていますが、Wi-Fi 5は、5GHz帯しか利用することができません。
以下に、Wi-Fi規格の世代に関する一覧表を示します。
通称 | 規格名(正式名称) | 利用できる周波数帯 | 最大通信速度 |
---|---|---|---|
- | IEEE 802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
- | IEEE 802.11a | 5GHz | 54Mbps |
- | IEEE 802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
Wi-Fi 4 | IEEE 802.11n | 2.4GHz/5GHz | 600Mbps |
Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac | 5GHz | 6.9Gbps |
Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax | 2.4GHz/5GHz | 9.6Gbps |
世代を重ねるごとに最大通信速度が向上しているのがわかります。2024年現在はWi-Fi6が最新規格です。
Wi-Fiの周波数帯を選ぶ際の3つのポイント
Wi-Fiは利用する周波数帯によって、異なる特徴があることは、先に説明したとおりです。
その際、どちらの周波数帯を選ぶべきか迷うこともあるでしょう。そんなときは、自身が通信において何を重視するかによって選ぶのがよいでしょう。
主に重視できるポイントとして、以下の3つです。
- 最高速度
- 安定性
- 対応する端末
最高速度を重視する
まず重視したいポイントが、最高速度です。高速なインターネット接続を求める場合は、5GHz帯を選びましょう。5GHz帯は、2.4GHz帯に比べて理論上の最大通信速度が速く、動画視聴やオンラインゲームなど、大容量のデータをやり取りする際にストレスなく使える帯域です。
ただし、障害物に弱く、電波が届く範囲が狭いというデメリットがあります。つまり、障害物の多い環境では、安定性に欠けるということです。一時的に高速な通信ができたとしても、急に遅くなったり、途切れたりする可能性があります。
自身の通信環境に障害物が少ない場合や狭い範囲でのみ通信を行う際には、5GHz帯のメリットを活かせるでしょう。
安定性を重視する
安定した接続を求める場合は、2.4GHz帯を選びましょう。2.4GHz帯は、障害物に強く、電波が届きやすいという特徴があるためです。壁やドアが多い室内など、電波が届きにくい場所でも安定した接続ができます。
接続できる機器も多いため、オフィスでの接続に重宝します。ただし、5GHz帯に比べて最高速度が遅く、電波干渉が起こりやすいデメリットには注意が必要です。
対応する端末を重視する
使用する周波数帯は、デバイスに合ったものを選びましょう。古いデバイスの場合、最新の通信規格に対応していない可能性があります。特にスマートフォンやPCなどをWi-Fiに接続する際は、どの周波数帯に対応しているかは事前に確認するようにしてください。
例えば、古いデバイスの中には、5GHz帯に対応していないものもあります。そうした場合、2.4GHzにしか対応してないルーターを選ぶと、接続できません。
全てのデバイスを快適に利用したい場合は、2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応したルーターを選ぶようにしましょう。
周波数ごとの注意すべきポイント
Wi-Fiの2つの周波数帯には、それぞれ利用時に注意したいポイントがあります。それは、以下の2つです。
- 5GHz帯:障害物の少ないレイアウトにする
- 2.4GHz:近くに電化製品を置かない
5GHz帯:障害物の少ないレイアウトにする
最高速度という点で、5GHzを使いたいケースは多いと思います。5GHzの周波数帯を利用する際に注意したいのは、障害物の影響を受けやすく、電波が遠くまで届きにくいという点です。
障害物をできるだけ減らすのはもちろん有効ですし、アクセスポイント(無線の電波を発信する機器)を複数設置して、広いエリアをカバーするというのも有効です。
2.4GHz:近くに電化製品を置かない
Wi-Fiは電波を使うため、どうしても他の電波の影響を受けてしまいます。そのため、通信環境が悪くなったと感じたら、ルーターを電化製品の近くから離しましょう。
特に注意したいのが、電子レンジや冷蔵庫といった家電です。オフィス内に設置している場合は、なるべく干渉しない位置に移動させるといった対策を取ってください。たったそれだけで速度の低下を防げます。
Wi-Fiの帯域は、2.4GHz帯と5GHz帯の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。利用環境やデバイスに合わせて最適な周波数帯を選ぶようにしましょう。
また、使用しているWi-Fiの世代によっても通信速度が大きく変わります。世代によっては使えない帯域もあるので、現在使用しているWi-Fiルーターの買い替えも含めて、総合的に判断してくださいね。