グループウェアは運用ルールの策定が肝心!社内に浸透させるルールのポイントとは?
現場のニーズを吸い上げ、企業の経営方針や業務形態と照らし合わせて導入したグループウェア。実際の業務で十分に活用できていますでしょうか?
どんなに小規模な企業であろうと、人が複数集まれば考え方は様々あるものです。なかには新しいシステムに慣れず抵抗したり、使い心地が悪くて使用しなかったりする社員が出てきているかもしれません。
本記事ではグループウェアを適切に運用し、社内に浸透させていくためにはどのようなポイントに注意すれば良いのかを解説していきます。
グループウェア導入時に「運用ルール」を策定するべき理由とは
グループウェアの活用による業務効率化の恩恵を受けるためには、組織内で十分に利用されることが重要です。
ただ使用するユーザーにはITリテラシーの低い人、セキュリティ意識の低い人も含まれます。運用ルールがなく個人の判断でグループウェアを使い始めると、 情報の共有や意見交換がスムーズにできない可能性が出てきます。情報をどこまで共有するか、 アクセス権限を誰に持たせるかなどが曖昧だと、思わぬ情報漏えいにつながりかねません。
社内で使うためのメールやチャットが個人的なやり取りに使われるケースがあるかもしれません。 企業の利益を守るために、グループウェアの運用ルールが必要です。
運用ルールを策定するメリット
運用ルールを設定することで、 実際の業務でどのように使用すればいいのか、逆に何をしてはいけないかが明確になるので、 グループウェアを適切に使うことができます。利用者それぞれが利用方法を理解することで、情シスなどの管理者への質問も減り、工数削減にもつながります。
また、半強制的に使わせるルールを設けることで、組織への素早い浸透を叶えることも可能です。例えば出勤したら必ず出勤簿に入力する、営業は翌日までにスケジュールを入力して共有しておくなど、これなら続けられるという作業から決めて運用することで、日々の業務の中で徐々にグループウェアに慣れていき、自然と使用できるようになります。
運用ルールがあることで、セキュリティリスクの軽減、安定した運用、スムーズな組織浸透が可能になるのです。
グループウェア運用ルールに必要な項目
いきなりゼロからルール策定しようとしても、なかなか難しいですよね。グループウェアのルール策定時に必ず明記しておきたい項目というものがあります。まずは以下4つに関するルール策定から始めるのがおすすめです。
メール・チャットなどコミュニケーションに関するルール
組織内、組織外での連絡・コミュニケーションをどのようにするかのルールです。
例えば「エビデンスに残すべき連絡はメール、個別の相談はチャットにする」「DMや個別チャットで業務上の相談はせず、必ず関連するグループで発信する」「グループやチャンネルの作成は○○を基準に行う」といったようなものです。
メールやチャットなどコミュニケーション方法が多様になり、かつ発信場所(グループ・チャンネル)の選択肢も増えます。どこにどのような情報、連絡があるのかを明確にすることで迷うことなくコミュニケーションを取ることが可能です。
細かくルール設定しすぎるとユーザーの混乱を招くこともありますし、いちいちルール確認をしてコミュニケーションを取らないといけなくなってしまうので、大まかなルールだけ決めるのがおすすめです。
ワークフローに関するルール
経費精算や稟議などでも利用されるワークフローですが、基本的にはワークフローで申請できるものが何か、いつまでに申請する必要があるのかを決める必要があります。
各申請項目ごとに申請内容のテンプレートを作成し、承認までに必要な日数を算出しておくとよいでしょう。
スケジュール・タスク管理に関するルール
スケジュールやタスクをお互いに共有できるのもグループウェアのメリットです。
ただ、相手にスケジュールやタスクを共有した際に、相手側がそれらを理解できないと意味がないですよね。スムーズな共有ができるように、件名やタイトルの表記、タスクやスケジュールを割り振るルールなどを策定しておくことをおすすめします。
ファイルやデータを共有するときのルール
ファイルやデータの共有については、業務上重要なデータも扱うことがあるため慎重に策定する必要があります。フォルダなどの格納場所に関するルールやそれぞれへのアクセス権限のルールなどを明確に定めておきましょう。
グループウェア導入時の失敗例から考えるルール策定のポイント
グループウェアを導入したけど、活用が進まないといった事例は多くあります。さあ、ルールを決めよう!となったときに、どのような点に注意して作成すればよいのでしょうか?
本章では、過去の失敗例をもとにルール策定時のポイントを解説していきたいと思います。
ルールは簡潔にする
ルールがあまりにも厳しかったり、あれもこれもといろいろな機能を使わせたりすると、面倒くさい、使い方がわからないなどの理由で運用がうまくいかなくなるケースがあります。
グループウェアを早く浸透させるためにも焦りは禁物です。まずは、少しずつ実践しながらグループウェアの便利さを知ってもらうことに注力しましょう。
最初に設けたルールが習慣化してきたら、次の段階に進みます。社員は忙しいなかで新しい機能に挑戦するわけですから、グループウェアの使用状況を見ながら運用ルールを決めていきましょう。
運用の責任者を決める
決めたルールは順守しなければ意味がありません。確実な運用ルールを作るために、まずはグループウェアの管理者とルール作りの責任者を決めましょう。 管理者と責任者がいれば使用に際してトラブルがあっても、誰に指示を仰げばいいのかが明確になります。
逆に管理者がいないと社員間で勝手なルール作りをされる可能性があり、気がついたらそのチームにしかわからない運用になっているかもしれません。全社共通のルールがなければ業務上で食い違いが発生するおそれもあります。
企業規模が大きいなら、グループウェアの管理プロジェクトを作り、管理部門の立場をはっきりとさせましょう。グループウェアは社内業務を効率よく回すための機能です。そのことを伝えるためにキックオフイベントを開催するのも有効です。グループウェアのメリットがわかれば、社員一人ひとりのモチベーションアップにもつながります。
現場からのフィードバックをもらい、改善していく
一番利用頻度が高く、業務効率化のインパクトが大きいのは現場です。現場で実際に利用してもらったフィードバックは定期的に収集し、ルールの改善に活かしましょう。
現場からのフィードバックが集まりやすい体制にすることも重要です。意見を取り入れてくれると思ってもらうためにも、実際に収集した修正点については迅速に反映し、再度現場に周知することを意識しましょう。
部署や役職ごとのルール分けをする
部署や役職により、業務内容や業務上の権限が異なります。適切なワークフロー運用ができなかったり、データへのアクセス権を制御できなかったりすることを防ぐためにも、部署や役職に応じたルールを策定しましょう。
導入を担当する情シスは、各部署や役職での業務を正確に把握することを心掛けるとよいでしょう。
他の業務システム・ツールとの棲み分けを明確にする
今まで使用していた業務システムやツールとの使い分け・棲み分けが理解できずグループウェアの活用が進まないといったケースがあります。ルール策定時には、グループウェアだけのルールではなく、業務全体として各種ツール・システムの使い方、棲み分けも明確にすることが重要です。
グループウェアに限らずですが、何事においても最低限のルールがなければどのように運用していいかわからなくなってしまいます。ルールがない、設定してもルールが曖昧などの状況は、業務の非効率化を招くおそれがあります。非効率な運用は時間やコストの無駄が生じ、グループウェアの導入が逆に企業の足枷になってしまいます。
導入後、スムーズな社内利用につなげるためにも、運用ルールは手順を踏んで作るようにしていきましょう。