Wi-Fi 6?その仕組みやメリット・デメリットを解説!企業の高速Wi-FiをICT Solution!
サステナブルな業務遂行に向けて、テレワークやペーパーレスへの対応が進んでいる。会社支給の携帯はスマホになったり、PCはデスクトップからノートへ移行した会社も少なくないだろう。ノートPCを片手にオフィスのあらゆる場所で仕事が出来る。無線LANはそんな働き方を支える必需品だ。だからこそオフィスのWi-Fi通信における安定性が業務効率に直結するようになった。
そんな中、会社のWi-Fiが遅いというクレームに悩む情シス担当がここにもひとりーーー
おい、にのまえくん。
つい先日、営業から会社のWi-Fiが遅いとクレームがあってな…
有線LANにつないでいるデスクトップPCは問題ないって言ってるんだが、ちょっと原因を調べて解決しておいてくれないか。
Wi-Fiだけが遅いってことですかね。なんでだろう…
確かにこないだ、ペーパーレス化が決定して、タブレットとかも配られたっけ。もしかするとつなぎすぎなのかな…
ククククッ、にのまえのやつ困っているな。
電波干渉させて通信遅延させてやろうと思ったけど、勝手に自滅してくれてるな。今日はいたずらせず、早く帰って家でU-NEXTみよっと。
──── 数日後────
にのまえくん!また営業からWi-Fi遅いって言われたぞ!こないだ依頼した件はどうなっているんだ!
ぶ、部長…
実はいろいろと調べているんですが、接続デバイス数が問題なのはなんとなくわかったんですが、どうやって解決したらいいかわからず…
接続数?今更タブレットの回収など出来んからな!とにかく近日中に解決しておいてくれたまえ。頼んだぞ!
ああ、どうしたらいいんだ…
どうした、はじめ。
いつになく元気ないな!
情シスマンさん!実はWi-Fiが遅いって言われているんですけどどうやって解決したらいいかわからず…
なるほど。最近、そういった悩みを抱える情シスも増えているようだな。
ここは私に任せろ!
こういう時は「Wi-Fi 6」に切り替えるのがオススメだぞ!
Wi-Fi 6?普通のWi-Fiと何が違うんですか??
調査
- Wi-Fiの通信速度を安定させたい。
- たくさんのデバイスをつないでも遅延が少ないWi-Fiを導入したい。
Wi-Fi 6とは
Wi-Fi 6とは、W-Fiの規格の一つ。2019年に提供がスタートしたWi-Fi規格の「IEEE802.11ax」の別称として「Wi-Fi 6」が使われている。
従来のWi-Fiと同様、Wi-Fi 6対応のWi-Fiルーターを導入、そのルーターと各デバイスを接続することで利用できるようになる。
Wi-Fi(無線LAN技術)の規格は、IEEE(アイトリプルイー)というアメリカの電気電子学会によって国際標準規格が定められており、その規格に応じて最大通信速度や周波数帯が異なる。
通信規格 | 最大通信速度(理論値) | 周波数帯 |
---|---|---|
IEEE802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz帯・5GHz帯 |
IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11n | 600Mbps | 2.4GHz帯・5GHz帯 |
IEEE802.11g | 54Mbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11a | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 |
Wi-Fi 6が生まれた背景
従業員が利用するデバイスにスマホやタブレットが追加され、Wi-Fiに接続するデバイスの数は増えている。
また現代の働き方に対応したオフィス設計を考えると、Wi-Fiをフル活用した柔軟なオフィスレイアウトにすることが望ましいとされる。
さらに5Gという次世代の通信システムが誕生したことも影響している。5Gを有効活用するには新しいWi-Fi規格が必要になっているのだ。
たしかに今の時代、Wi-Fiは必須ですもんね。
Wi-Fi 6は今の時代にあった最新の規格ってことか。
その通りだ。Wi-Fi 6についてもう少し深堀していこうか。
Wi-Fi 6のメリット
Wi-Fi 6には大きく4つのメリットがある。
高速通信
Wi-Fi 6の最大通信速度は9.6Gbpsと、従来のWi-Fi(Wi-Fi 5)の最大通信速度6.9Gbpsと比較しても、2.7Gbpsも速度が異なる。
データの送受信の速度があがることで、大量・大容量のファイルのやり取り速度やWeb会議の安定性なども大幅に向上する。
クラウドサービスを複数利用する企業も少なくない現代、クラウド上に格納した資料を開きながら、オンラインでお客様とWeb会議するといったことも当たり前になってきた。Web会議の場面で、音声遅延があったり画像が固まると話が先に進められなくなる。快適な通信環境は業務効率向上に直結すると言って然るべきだろう。
複数デバイスを接続しても大丈夫
従業員の社用スマホ、私用スマホ、PC、タブレット端末など、社員1人でもWi-Fiに接続する端末は複数であることが普通だろうし、プリンタや複合機もWi-Fiにつないでいる企業も多々ある。
従来のWi-Fiでは、接続台数が多くなることで回線が混雑し、遅延が起こっていたが、Wi-Fi 6では後述するOFDMA(直交周波数分割多元接続)という新機能が導入されたことにより、デバイスを複数接続しても遅延しにくくなった。
セキュリティが高い
Wi-Fiセキュリティを高めたい場合、暗号化通信の規格は最新であることが望ましい。
Wi-Fi 6はWPA3という最新の暗号化規格が採用されているため従来のWi-Fiよりセキュリティが向上されている。
接続先の消費電力を抑える
意外に重要なのが、接続先(スマホやノートPCなど)の消費電力を抑えることができるという点だ。
スマホやノートPCなどは端末に充電された電力を消費しながら稼働するデバイスのため、消費電力が少ない=バッテリー消費や悪化を抑制する=長くデバイスを利用できることにつながる。
Wi-Fi 6は通信の必要有無を判断してくれるTWT(Target Wake Time)という新技術が適応されており、アクセスポイントと端末のスリープ状態が自動同期される。
通信がいらないときはつながないということを自動的に対応してくれるため省電力化につながる。
これだけ聞いてるとメリットだらけですね。
なんだかうちの会社もWi-Fi 6に変えたら改善しそうな気がしてきました。
ちなみにデメリットってあるんですか?
もちろんデメリットもあるぞ。
Wi-Fi 6のデメリット
登場して間もない規格であるため、まだ世の中への浸透は十分ではない。
Wi-Fi 6対応のルーターやスマホなどのデバイスも比較的新しいものが多いため、まだまだ価格が高いというのが現状のデメリットである。
まあ、それは仕方ないですよね。
iPhone なら11シリーズ以降とかはWi-Fi 6対応していると考えると、そろそろこのデメリットもなくなりそうなのかな。
そうだな。普及が進んでいることは間違いないから、あまり大きなデメリットにはならないと思うぞ。
ちなみに少し専門的になるが、このようなメリットを支えている新技術についても少し解説しておこう。
Wi-Fi 6の仕組みと従来のWi-Fiとの違い
Wi-Fi 6では新しい技術「OFDMA」「MU-MIMO」「Spatial Reuse」といった新技術が使用されており、安定・高速通信、省電力を実現している。
OFDMA
「OFDMA」とは、Orthogonal Frequency Division Multiple Accessの略語になり、直交周波数分割多元接続と訳される。
Wi-Fi 5で採用されていたOFDMも、帯域を複数のサブキャリア(周波数)で分割して、一度の通信で複数の端末に通信を可能にし、異なる周波数で同時に接続できるようにする技術だが、1つのチャネルを一つの端末が専有していた。Wi-Fi 6ではOFDMAとなり、複数の端末が同じチャネルで同時通信できるようにすることで、周波数の伝送効率を上げる事に成功したのだ。
MU-MIMO
「MU-MIMO」はMultiple Input Multiple Outputの略で、複数台の端末から無線LANを利用しても、より高速かつ安定した通信をするための技術だ。
これまでの無線LANルーターは、ルーターから電波を全方位へと放射する。これだとその電波を利用する機器が存在しない場所にも満遍なく電波を飛ばすため、電波干渉が起こりやすかった。MU-MIMOにはビームフォーミング技術が使われ、ビームフォーミング対応の端末へ集中的に電波を放射する。これによってより効率的な電波の送受信が可能となった。
MU-MIMOは、複数台の端末と同時に通信できる技術である。従来の通信(SU-MIMO)は、「端末A→端末B→端末C」といった具合に、電波干渉が起きないように端末1台ずつ順番をずらして通信していた。
同時に通信できるのは1台で、それを高速に切り替えながら通信を行っていたということだ。一方、MU-MIMOであれば、複数台の端末と同時に通信しても電波干渉が起こらない。そのため、それぞれの端末に待ち時間が発生せず、よりスムーズな通信が行えるようになったわけだ。
ちなみにWi-Fi 5で既に下りはこれを実現できていたが、Wi-Fi 6では、上りも実現できているので
Uploadでも高速化を実現できたということになる。
BSS Coloring
従来では、同じエリアに複数のアクセスポイントが密集状態にある場合、隣り合うアクセスポイントで同じチャネルが使用されてしまうと、片方の通信がもう片方の通信に衝突することを避けるため、順番に通信するようになっていた。これにより、混雑するような場所では通信速度が遅くなってしまう。
そこでBSS Coloringでは、アクセスポイントごとに違う色を設定し、隣り合うアクセスポイントが同じチャネルを使用していても、色を識別することで他のアクセスポイントの通信の影響を受けにくくするというものだ。
近年のように無線ネットワークがどこでも混雑している状況では、このような技術で電波干渉を減らし、伝送効率を向上させることが重要と言える。
Wi-Fi 6と5Gの関係
5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」のことで、新しい通信規格の一つ。大容量通信が高速にできる規格で、巷でも普及が進んでいる。
Wi-Fi 6も同じ通信規格であるが全く別物だ。
5Gは携帯端末専用の通信規格で、各通信キャリアが用意した基地局を経由する通信であり広範囲での利用が可能。Wi-Fiは接続するデバイスに制限はなく、特定のエリアや空間の通信を高速化することが目的とされ、直接インターネットに接続する事は出来ない。
なんだか難しくなってきました…
今からならWi-Fi 6を導入する方がいいのはわかったんですが、何か気を付けることありますか?
Wi-Fi 6を導入するときの注意点やポイント
導入時の注意点としては無線LAN構築の際に使うハードウェアが「Wi-Fi 6に対応しているかどうか」である。
Wi-Fi 6に対応したデバイスやルーターであるかどうかは導入時に必ず確認しよう。意外と見落としがちなのが、ルーターにつなぐLANケーブルの仕様だ。
Wi-Fi 6の通信速度は約10Gpsであり、それに対応したLANケーブルでないといけないため、通信速度が10Gpsであるカテゴリ6A(CAT.6A)以上のLANケーブルを利用しよう。
ちなみに、Wi-Fi 6は下位互換性を持っているため、Wi-Fi 6非対応のルーターやデバイスでも通信自体は可能だ。Wi-Fi 6のメリットは享受できないが通信ができないという事態は避けられるので、自社の予算や優先度などを考慮して段階的に切り替えをするのもアリだ。
それならうちもすぐ導入検討できそうです!一度従業員のデバイスがWi-Fi6に対応しているかちょっと調べてみよう。
それがいい。ちなみにスマホで対応しているものはこんな感じだぞ。
対応しているスマホ一例
メーカ | シリーズ(機種)例 |
---|---|
iPhone | 11シリーズ、SE(第二世代)移行 |
SHARP | AQUOS R6、AQUOS RS5G |
SONY | Xperia 1 II(5G)、Xperia 5 III |
富士通 | arrows 5G |
Huawei | P40 Pro 5G |
Samsung | Galaxy Z Flip3 5G、 |
OPPO | Find X3 Pro OPG03、Find X2 Pro OPG01 |
おすすめのWi-Fi 6サービスとは
USEN GATE 02 の無線LAN構築「ビジネスWi-Fi」ではWi-Fi 6に対応した機種も利用可能だ。
40,000社を超える導入実績を持つ Aruba Networks 社製のプラットフォームを活用し、保守管理などのサポートも充実しているため、Wi-Fi環境の構築はすべて任せることが可能だ。
うちの会社も USEN GATE 02 のビジネスWi-Fiで構築してもらっているから、Wi-Fi 6に対応した機器に変えてもらったりすればいいのか!
そうだな。にのまえの会社なら USEN GATE 02 に任せるのが一番だな。
これで問題は解決したぞ。
強い情シスが企業を伸ばす!また会おう!さらばだ!
解決
オフィスでの通信環境に、Wi-Fiは無くてなならないものだ。
クラウド時代においてWi-Fiの通信を高速・安定化させることは業務の効率・高速化に直結する。
少しでも今のWi-Fi通信に不満がある場合は、ぜひ一度相談してほしい。
- 実績豊富なプラットフォームを採用
- 充実した保守・サポート内容
- 月額制のため、初期投資が最小限に
- Wi-Fi 6対応機種も
本記事の著者
情シスマン
本メディアの主人公。職業はヒーローで、趣味はトラフィック監視。様々な武器を駆使して情シスにまつわる問題や悩みを解決している。ITをよく知らないのに、情シス担当になってしまった人の味方です。いや、正義の味方じゃなく、正義そのもの。困っている人がいたら、助けたいお人よし。