NASとは?その仕組みや外付けHDDとの違い・選び方のポイントまで分かりやすく解説!
NASとは?
NASはNetwork Attached Storageの略で、日本語では「ネットワーク接続型ストレージ」と呼ばれます。簡単に言えば、LANケーブルを使ってネットワークに接続するストレージです。
NASの仕組み
NASは、主に「ハードウェア」「ソフトウェア」の2つで構成されています。
ハードウェアは記録メディアであるHDDとデータ書き込み、アクセス処理を行うCPUで構成されており、それぞれの性能が高ければ保存容量が大きく、高速に処理が可能となります。
NASのソフトウェアはファイル共有のネットワークプロトコル(通信規格)に対応しており、複数のユーザーがPCやスマートフォンなど様々な端末を利用しながら、共通のファイルへアクセスできる仕組みとなっています。
NASのメリット
NASには、以下のようなメリットがあります。
場所を選ばずにアクセスできる
ネットワークに接続されていれば、インターネット経由でどこからでもデータにアクセスできます。
データ共有が簡単
複数人でファイルを共有したり、共同編集したりすることができます。
高いセキュリティ
データを暗号化したり、アクセス権限を設定したりして、セキュリティを強化できます。
豊富な機能
バックアップ機能やメディアサーバー機能など、さまざまな機能を利用できます。
NASのデメリット
NASには、以下のようなデメリットがあります。
外付けHDDよりコストが高い
一般的に、外付けHDDよりも価格が高いです。
設定や管理が必要
ネットワーク接続や各種設定など、ある程度の知識が必要です。
ランニングコスト
電気代などのランニングコストがかかります。
NASと外付けHDDの違い
NASと外付けHDDは、どちらもデータを保存するためのストレージですが、いくつかの違いがあります。
接続方法
NASはネットワーク経由で接続するのに対し、外付けHDDはUSBケーブルで接続します。
データ共有
NASはネットワーク上の複数人でデータを共有できますが、外付けHDDは接続した1台の機器でのみデータ共有できます。
機能性
NASは、データのバックアップやメディアサーバー機能など、さまざまな機能を利用できます。外付けHDDは、データ保存以外の機能はほとんどありません。
コスト
NASは外付けHDDより高価ですが、機能性や拡張性を考えるとコストパフォーマンスは高いと言えます。
NASとファイルサーバーの違い
ファイルサーバーは、LANなどネットワーク上でファイル管理や共有するためのサーバーです。
NASと比較すると、どちらもネットワークを通じてアクセスできる点は同じであり、「データを管理する場所」と広義で考えるとNASはファイルサーバーの一種とも言えますが、専用ソフトウェアのインストールが必要かどうかにおいて違いがあります。
NASは機器であり、購入して接続すれば使えるため、導入しやすいという特徴がありますが、ファイルサーバーはシステムであり、拡張性が高いものの、導入の手間やコストがかかります。
NASとクラウドストレージの違い
ネットワークを利用したデータ保存や利用方法として、NASの他に「クラウドストレージ」があります。クラウドストレージはサービス事業者の所有する保存スペースを借り、インターネット経由でデータを保存できるオンラインストレージサービスです。
例えば、Appleの「iCloud」や、Googleの「Google ドライブ」、Microsoftの「OneDrive」などがクラウドストレージに当てはまります。
クラウドストレージは、サービス事業者が保管場所を所有しますが、NASは手元にデータを置いて管理できる点で異なるといえます。
NASの選び方
NASの導入を検討する際に注目していただきたい選び方のポイントを解説します。様々なNAS製品から最適なものを選ぶためにも、これからご紹介する点を押さえておきましょう。
用途を明確にする
NASをどのような用途で使うのかを明確にしましょう。
データのバックアップ
大容量のデータを安全にバックアップしたい場合は、RAID機能搭載のNASがおすすめです。
ファイル共有
家族や友人とファイルを共有したい場合は、アクセス権限の設定が簡単なNASを選びましょう。
メディアサーバー
テレビやスマートフォンで動画や音楽を再生したい場合は、DLNA/UPnPに対応したNASを選びましょう。
自宅サーバー
自宅サーバーを構築したい場合は、高性能なCPUと大容量メモリを搭載したNASを選びましょう。
予算
NASは数千円から数十万円まで幅広い価格帯で販売されています。自分の用途に合った機能を備えたNASを、予算内で探しましょう。
必要な機能
NASには、さまざまな機能があります。必要な機能を事前にリストアップしておくと、選びやすくなります。
- RAID機能:データの冗長化
- アクセス権限設定:データのセキュリティ
- バックアップ機能:データの自動バックアップ
- メディアサーバー機能:動画や音楽の配信
- クラウド連携:クラウドサービスとの連携
RAID機能について
RAIDはRedundant Array of Independent Disksの略で、複数のHDDを組み合わせてデータの冗長性とパフォーマンスを向上させる技術です。
NASのRAID機能には、以下のような種類があります。
RAID 0(ストライピング)
RAID 0は複数台のハードディスクにデータを分散して読み書きすることで高速化できます(ストライピング)。高速であり、組み合わせたHDDの容量100%を利用可能です。
ただし、RAID 0は冗長性がなく耐障害性もないため、構成する内の1台が故障するとすべてのデータが使えなくなってしまいます。そのため、その他のRAIDと組み合わせて運用する必要があるでしょう。
RAID 1(ミラーリング)
RAID 1は複数台のHDDに、同時に同じ内容を書き込みます(ミラーリング)。そのため、耐障害性を実現していますが、ディスク容量の利用効率が50%以下になってしまうなどのデメリットがあります。
RAID 0(ストライピング)と組み合わせると性能や信頼性のどちらも向上させられるため、よく用いられます。
RAID 5
RAID 5では、RAID 0のストライピングに加えて、3台以上のHDDにデータを分散して書き込むと同時に、パリティ(誤り訂正符号)も生成してディスクに書き込みます。万が一、1台が故障してもその他のHDDデータとパリティの情報から元のデータを完全に修復できるほか、容量の利用効率も向上するでしょう。
ただし、台数を増やした分、2台同時に障害が発生するリスクも上昇します。
RAID 6
RAID 5よりも耐障害性に優れているのは、HDDの必要台数が4台以上のRAID 6です。2台が故障しても復旧可能ですが、初期コストがかかる点と速度がやや低下する点がデメリットとなります。
マルチメディア機能
動画や音楽、写真などのファイルを、PCやスマートフォン、テレビなどに配信するマルチメディア機能を備えているNASがほとんどですが、製品によって利用できる種類が異なります。以下の種類や特徴を押さえておきましょう。
DLNA
スマートフォンやPC、AV機器などのファイルを共有するためのガイドライン
DTCP-IP
動画や音楽などのデジタルコンテンツの著作権を保護する技術
DTCP+
DTCP-IPを拡張した規格
NASは家族間で、もしくはオフィス内でデータを共有・管理したい場合に大いに活躍する記憶装置です。大切な写真、動画、音楽、資料などのデータをまとめて保存でき、ネットワーク経由でアクセスすれば、必要な時にどこでも簡単に利用できます。
機密性を保持しつつ、遠隔アクセスが可能なNASは、利便性が高く、法人向けのソリューションと言えるでしょう。メリットとデメリットそれぞれを比較し、導入を検討している場合は最適な製品を選びましょう。