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Active Directoryでできること | メリット・デメリットや注意点までわかりやすく紹介

著者:情シスマン
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自社のシステムを管理するにあたって、Active Directoryは有用です。導入することで、システム管理者がユーザーを効率的に管理できます。近年、官公庁をはじめ多くの企業・組織が取り入れていることもあって、気になっている方も多いでしょう。Active Directoryは、メリットとデメリットを知ったうえで、導入しましょう。

この記事では、Active Directoryの導入を検討している方に向けて、Active Directoryの特徴や導入のメリット・デメリット、注意点について解説しています。

〈この記事を読んでわかる内容〉

  • Active Directoryとは
  • Active Directoryでできること
  • Active Directory導入のメリット・デメリット
  • Active Directory導入時の注意点

これからActive Directoryの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

Active Directoryとは?基礎知識と用語

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Active Directoryは、Windows Serverに備わっている機能の1つです。組織内のシステム管理者が、ユーザーやPCなどのリソース情報を一元管理するために有用です。

その歴史は古く、Windows 2000 Serverから導入されているため、20年以上です。時代にあわせてバージョンアップされ続けており、指紋認証やセキュリティカード、クラウドサービスとの連携といった機能まで実装されています。

そんなActive Directoryを導入する前に、まずは以下の基礎知識を知っておきましょう。

  • ディレクトリ
  • ドメインとドメインコントローラー
  • ドメインツリーとフォレスト
  • 組織単位(OU)とグループポリシー
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ディレクトリ

Active Directoryは、ディレクトリサービスです。ディレクトリとは、「何がどこにあるのかを階層構造で示す総覧」のこと。PCのフォルダとファイルをイメージするとわかりやすいでしょう。企業や組織には膨大な量の情報があり、それらひとつひとつが管理しなければならないリソースです。リソースとは、Windowsクライアントやサーバー、ユーザーアカウントといった管理する対象のことを指します。

しかし、管理は容易ではありません。Active Directoryは、そうしたネットワーク上のリソースを一元管理する役目を担っています。

ディレクトリごとに分類することで、ユーザーアカウントやコンピューターなどの情報を効率的に扱えるのです。複雑化するリソースの管理も、Active Directoryを使うことで簡単になるでしょう。

ドメインとドメインコントローラー

ドメインは、Active Directoryの基本単位です。Active Directoryによって認証されたユーザーが、リソースを管理・共有する仕組みを指します。

ドメインコントローラーは、リソース同士の関係を階層的に管理するシステムです。リソースがドメイン内に増えていくほど、関係が複雑になります。パソコンの中にフォルダが大量にある姿をイメージすると、わかりやすいでしょう。

ドメインコントローラーを使えば、そんな複雑化したリソースを効率的に管理できます。企業内のITリソースの運用において、重要な役割を担っている機能です。

ドメインツリーとフォレスト

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組織の規模に比例して、リソースは膨大になります。その場合に親子関係のような形で、別のドメインを使う場合があります。その際に活用したいのがドメインツリーとフォレストです。

Active Directoryでは、親ドメインの下に子ドメインをツリー状に作成できます。この縦の繋がりがドメインツリーです。ツリー内のドメインに属するユーザーであれば、どのドメインにもアクセスできます。

一方のフォレストは、Active Directoryを管理するドメイングループの最も大きな管理単位です。ドメインツリー以外のドメイン同士の繋がりを指します。「木(ツリー)が集まれば森(フォレスト)になる」とイメージするとわかりやすいでしょう。

フォレストは、最小で1つ以上のドメインツリーから構成されます。

組織単位(OU)とグループポリシー

組織単位(OU:Organizational Unit)は、ドメイン内の最小単位です。「ユーザー」「グループ」「コンピューター」などを指します。

一方のグループポリシーは、各OUに適用したい設定項目と設定値の組み合わせであるGPO(Group Policy Object)を紐付ける仕組みです。グループポリシーを設定することで、管理下にあるコンピューターやユーザーの設定・権限を一元的に管理できます。組織のニーズに応じた細かい管理をする際に役立つでしょう。

Active Directoryでできること

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Active Directoryの運用によって、以下の3つを効率的に実現可能です。

  • ネットワークの効率的な管理
  • セキュリティの強化
  • ユーザー権限の最適化

ネットワークの効率的な管理

Active Directoryを使うと、ネットワーク上のデバイスやユーザーを効率的に管理できます。情報を一元化し、一括管理するためです。

例えば、企業内のすべてのコンピューターに対し、1度の操作でセキュリティ設定の更新をするといったこともできます。開発に必要なツールがあれば、サーバーから一括配布も可能です。

また、すべての業務PCを同じ環境に整えられます。一部のPCのみバージョン不一致といった状況は起こりません。効率的な管理によって、時間とコストの削減に大きく貢献してくれるでしょう。

セキュリティの強化

Active Directoryは、セキュリティ強化のための機能も搭載されています。特に、ユーザーのアクセス権限を詳細に管理できる点が特徴です。

例えば、重要なデータへのアクセスを、限定されたユーザーのみに許可できます。不正アクセスや情報漏えいのリスクを軽減できるでしょう。外部から持ち込んだPCを社内ネットワークに接続しても、ファイルサーバーなどにアクセスできないようにする設定も可能です。

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ユーザー権限の最適化

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Active Directoryを使用すれば、ユーザー権限を最適化できます。各ユーザーの役割や責任に応じて、アクセス権限を細かく設定できるためです。例えば、人事部門には人事関連へのアクセス権限を許可し、営業部門には顧客情報のアクセス権限を許可するといった運用ができます。

Active Directoryを導入するメリット

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Active Directoryを導入するメリットは、以下の4つがあります。

  • 一元管理によって管理負担を軽減できる
  • セキュリティを強化できる
  • 複数のPCに対して1つのアカウントでログインできる
  • 拡張性が高い

一元管理によって管理負担を軽減できる

Active Directoryを導入することで、組織のITリソースを一元管理できます。管理負担が大幅に軽減されるでしょう。例えば、従業員のアカウント情報やアクセス権限を1つのシステムで管理した場合、個別に設定をする手間を省けます。

セキュリティを強化できる

Active Directoryの導入により、組織のセキュリティ強化も可能です。ユーザーごとのアクセス権限を細かく設定できるため、不正アクセスのリスクを減らせます。

複数のPCに対して1つのアカウントでログインできる

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Active Directoryを用いると、ユーザーは複数のPCに対して同一のアカウントでログインできます。シングルサインオン(SSO)機能とも呼ばれます。異なるデバイス間でもスムーズに作業を行える点が、最大のメリットです。

オフィスのデスクトップPCとモバイルデバイスで同じアカウントを使用すれば、場所を選ばずに作業を継続できます。リモートワークや在宅ワークを実施する際にも効果的です。

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拡張性が高い

Active Directoryは拡張性が高い点もメリットです。組織の成長にあわせて、簡単にスケールアップできます。

例えば、企業が新しい支社を開設した場合でも、追加のドメインやユーザーアカウントを簡単に設定できるのです。組織の規模拡大にあわせて、柔軟に対応できます。IT管理のニーズに対して、自由度の高い対応ができるのは、Active Directoryのメリットです。

Active Directoryを導入するデメリット

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Active Directoryはメリットが大きい反面、デメリットもあります。特に以下の4つのデメリットは覚えておきましょう。

  • 専門知識が必要
  • コストがかかる
  • 維持管理に手間と労力がかかる
  • 依存度が高い

専門知識が必要

Active Directoryの運用には専門的な知識が必要です。複雑な設定や管理が伴うため、初心者や小規模な組織では、運用が難しくなるでしょう。

もし専門的な知識がないまま運用すると、セキュリティ設定のミスからシステム全体に影響を与える可能性があります。企業にとって大きなリスクです。

Active Directoryを運用する際は、専門的な知識を持った人材が求められます。

コストがかかる

Active Directoryの導入と運用にはコストがかかります。初期投資として、サーバーやソフトウェアの購入費が必要です。導入後には、定期的なメンテナンスやアップデートもしなければなりません。規模の小さい企業や組織にとっては、一元管理により得られるメリットに対し、必要なコストが大きいと判断される場合もあり、そのような場合に無理に導入することはおすすめできません。

維持管理に手間と労力がかかる

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Active Directoryの維持管理には手間と労力が必要です。特に以下は、継続して実施しなければいけません。

  • 定期的なバックアップ
  • アップデート
  • セキュリティの監視

こうした作業には専任のスタッフが必要です。大規模になればなるほど複雑化するため、より多くの人員が必要になるでしょう。

依存度が高い

Active Directoryは一度使うと、システムへの依存度が高くなるデメリットがあります。何かのきっかけでActive Directoryがダウンすると、ネットワーク内のサービスが影響を受けてしまいます。

例えば、サーバーの障害が発生した場合、ユーザーのログインやアクセス権限の管理ができなくなります。その結果、必要なシステムやファイルにアクセスできず、業務に支障をきたします。

Active Directoryを運用する際の注意点

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Active Directoryを運用する際、デメリットの他に注意点もあります。導入前に以下の点は知っておきましょう。

  • 運用ルールを徹底する
  • バージョンアップ作業が難しい
  • サーバーを多重化しておく
  • 非常用のバックアップ電源を用意しておく

運用ルールを徹底する

Active Directoryを運用する際は、運用ルールを徹底しましょう。ユーザーやデバイスの情報が日々変動するためです。

例えば、従業員が退職した場合、すぐにそのアカウントを無効化する必要があります。セキュリティと効率性の両面から、厳密な管理が必要です。

運用ルールが適切でないと、セキュリティ面で不安が残ります。専任者を決めて、適切な運用を心がけましょう。

バージョンアップ作業が難しい

Active Directory は定期的なバージョンアップが必要ですが、バージョンアップが複雑で時間がかかるデメリットがあります。アップデートに失敗すると、ソフトウェアに互換性の問題が発生する場合があり、必要な認証ができなくなる可能性もあります。

事前に慎重な計画とテスト環境の構築は必須です。専門的な知識も求められます。

サーバーを多重化しておく

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Active Directoryの運用には、サーバーの多重化が推奨されています。1つのサーバーに障害が発生した場合でも、他のサーバーが代替となって機能してくれるからです。業務を停止せずに障害へ対応できます。中でも、複数のドメインコントローラーの設置は必須です。障害時に迅速な対応をするためにも、ぜひやっておきましょう。

非常用のバックアップ電源を用意しておく

Active Directory を運用するうえで用意したいのが、非常用のバックアップ電源です。停電や災害時にもActive Directoryのサービスが中断されずに済みます。代表的なものは、無停電電源装置(UPS)です。突発的な電源トラブルからシステムを守ってくれます。

Active DirectoryはPCを一元管理できる便利な仕組み

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Active Directoryは、ユーザーの認証を行うシステムです。社内などの限られたエリアのPCを、アカウントやパスワードなどで一元管理できます。導入することで、システムの管理負担の軽減やセキュリティ強化といったメリットを得られるでしょう。

一方で、導入し運用し続けるには専門知識が必要です。管理のコストや手間もかかるため、導入前にコスト面を慎重に検討しましょう。もしもの時に備えて、バックアップ用の対策も忘れずにしてください。

Active Directoryは導入すれば業務効率化が可能です。ITシステムの管理で悩んでいる方は、ぜひ1度検討してみてください。

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これだけ!は知っておきたい Active Directory と Azure AD
Microsoftの「Azure Active Directory」のサービス名称が「Microsoft Entra ID」に変わりました。以前までは Windows の「Active Directory」と混同されることが多いサービスでしたが、実は両者は異なるものでした。どちらもユーザー認証にかかわるものですが、機能や用途に細かな違いがあります。 サービス名は変わり分かりやすくなったものの、有効活用するためには「Active Directory」との違いを理解しておく必要があります。本資料では「Microsoft Entra ID(旧:Azure Active Directory)」と「Active Directory」の機能や用途、それぞれの違いを紹介し、導入イメージや費用まで公開しています。
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