LTEとは?特徴や3G、4G、5Gとの違いも解説
LTEは3Gでも4Gでもなく3.9G?
LTEとは?
LTE(エルティーイー)とは「Long Term Evolution」の略で、3.9Gとも呼ばれる無線通信の規格の一つです。3G(第三世代移動通信システム)の後継として開発され、3Gに比べて高速大容量通信や低遅延通信、多数同時接続を実現しています。
3Gとは?
3Gとは、「第三世代移動通信システム」の略で、スマートフォンや携帯電話のデータ通信技術の一つです。2G(第二世代)から大きく進化し、音声通話だけでなく、インターネット接続や動画の視聴など高速データ通信が可能になりました。3Gは通信の高速化と共に、国際ローミングの充実も進み、世界中で広く利用されるようになりました。3Gは現代のモバイル通信の礎を築いた重要な技術と言えます。
4Gとは?
4Gは「第四世代移動通信システム」の略で、スマートフォンやタブレットなどのデバイスが、高速なインターネット接続を行うための通信技術の一つです。4GではHD動画のストリーミングや大容量のデータ転送などがスムーズに行えます。また、音声通話もデータ通信として扱われ、よりクリアな通話が可能になりました。3Gに比べて通信速度が大幅に向上したことで、モバイル端末の利便性が飛躍的に向上し、現代の情報社会を支える重要なインフラとなっています。
3G | LTE | 4G | |
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正式名称 | 第三世代移動通信システム | Long Term Evolution | 第四世代移動通信システム |
俗称 | - | 3.9G | - |
特徴 | 音声通話や高速データ通信が可能 | 3Gよりも高速なデータ通信が可能 | 大容量のデータ転送やスムーズな動画ストリーミングが可能 |
LTEと4Gは同じ?
LTEがもともと4Gの技術の一部として開発されていたためか、両者は混同されがちですが厳密には異なります。4Gは理論上最大1Gbpsの通信速度を提供することを目指して設計されましたが、当時はこれを達成するのが難しかったため、3Gと4Gの間の世代としてLTEが生まれたという経緯があります。
一部の通信事業者では「4G LTE」というサービスがある
一部の通信事業者は、「4G LTE」という4GとLTEを併せたサービス名称を展開したりもしていますが、これはマーケティングの観点から便宜的に用いられているものでしょう。
LTEにはどんな特徴がある?
LTEは高速大容量通信や低遅延通信、多数同時接続を実現します。
高速大容量通信 | ダウンロード最大速度が約100Mbps、アップロード最大速度が約50Mbpsと、3Gと比べて大幅に速度が向上 |
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低遅延通信 | 3Gに比べてデータの送受信に必要な時間(レイテンシー)が短く、Webブラウジングや動画視聴などの快適性が向上 |
多数同時接続 | 周波数帯域を効率的に利用することで、同時接続ユーザー数の増加を実現 |
LTEに使われている技術とは
LTEを実現するために、「OFDM」「MIMO」「CA」といった技術が用いられています。それぞれの概要を解説します。
OFDM(直交周波数分割多重方式) | 周波数領域で信号を分割して送信する技術 |
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MIMO(multiple-input and multiple-output、マイモ) | 複数のアンテナを使って同時に通信を行う技術 |
CA(キャリアアグリゲーション) | 複数の周波数帯域を束ねて一つの大きな帯域として利用する技術 |
OFDM(直交周波数分割多重方式)
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)は、周波数領域で信号を分割して送信する技術です。これにより、効率的に帯域幅を使用することが可能となるために、高速データ通信が必要なLTEではOFDMが重要な役割を果たしています。
MIMO(マイモ)
MIMO(multiple-input and multiple-output、マイモ)は、複数のアンテナを使って同時に通信を行う技術です。特に、ビルや山などの物理的な障害物による影響を緩和するのに効果を発揮します。LTEでは、MIMOを採用することで、通信速度や通信品質を向上させています。
CA(キャリアアグリゲーション)
CA(Carrier Aggregation)は、複数の周波数帯域を束ねて一つの大きな帯域として利用する技術です。これにより、データ伝送速度を向上させることが可能となります。LTEでは、CAを採用することで、通信の効率化と高速化を実現しています。
LTEのこれまでの歴史
通信規格はこれまで 1G → 2G → 3G → LTE → 4G → 5G と進化してきました。ほかの通信規格と比べLTEは若干分かりづらい位置付けのため、この機会にその歴史を紐解いていきましょう。
3Gの限界
インターネットの普及とスマートフォンの出現によって、3Gは限界を迎え、高速大容量通信という新たな需要に対応するための解決策が必要となりました。
LTEの登場
2008年に最初のLTEの仕様がリリースされ、翌2009年には最初の商用LTEサービスが北欧で提供されました。その有用性から、LTEは瞬く間に展開されていきました。
LTEの普及
2010年代に入ると、LTEは世界中で主流の通信規格となりました。LTEは高速大容量通信や多数同時接続を可能にし、スマートフォンやタブレット、IoTデバイスなど、各種デジタルデバイスの普及を支えました。
LTEの進化
LTEはその後も進化を続け、LTE-Advancedと呼ばれる新たな規格が開発されました。これにより、さらに高速なデータ通信や大容量のデータ転送が可能となり、4Gという新たな世代の通信技術へと進化しました。
LTEはどんなことに活用されている?
高速大容量通信
LTEはその高速性と大容量が特徴であり、これにより動画配信サービスの快適な利用が可能になりました。例えば、YouTubeのような動画配信サービスは、HD画質や4K画質の動画をストリーミングで視聴するためには大量のデータを速やかに送受信する必要があります。LTEの高速大容量通信はこれに適しており、従来に比べてスムーズな動画視聴が可能になりました。
低遅延通信
LTEはリアルタイムでの通信を必要とするサービスに活用されています。例えば、オンラインゲームや遠隔医療・自動運転などのテレマティクスは、リアルタイムでの高精度な情報伝送が求められます。LTEの低遅延通信はこれらの快適な利用を実現しました。
多数同時接続
LTEは多数のデバイスが同時に接続することも可能で、これによりスマートフォンやタブレットだけでなく、IoTデバイスなどもネットワークに接続することができます。例えば、スマートホームでは、家電製品、照明、エアコンなどさまざまなデバイスがインターネットに接続され、それぞれが通信を行うことにより、ユーザーの生活をより便利にしています。このような大規模な同時接続も、LTEの多数同時接続の特性によって可能になっています。
LTEのこれから
さらに進化した通信規格・5Gの登場
5G(第五世代移動通信システム)は、LTEや4Gをさらに進化させた通信規格です。最も明確な違いは通信速度です。5GはLTEと比較して非常に高速で、理論上の速度はLTEの数十倍に及びます。これにより、5Gは大容量の動画配信や高品質な音楽ストリーミング、さらにはVRやARなどの新たな技術への道を開くことができます。
また、5GはLTEよりもさらに低遅延通信や多数同時接続が可能です。これにより、スマートホームを超え、スマートシティのような世界を実現します。
LTEはもう用済み?
4Gや5Gが普及していくなか、LTEはどのような役割を果たすのでしょうか。
LTEはすでに広範囲に展開され、まだまだ多くのデバイスがLTEを利用しています。4Gや5Gが普及していない地域や、5Gに対応していないデバイスでの通信には、LTEが必要となります。
また、LTEは5Gの補完となる役割も果たします。5Gは高周波数帯を使用するため、その信号は建物や壁によって容易に遮断されます。そのため、室内や遮蔽物が多い地域では、LTEが信号を補完し、通信の安定性を保ちます。
LTEや4G、5Gは現在相互に補完し合いながら活用されています。それぞれの特徴や得意不得意を理解しておきましょう。