インターネットにはどんな危険性が潜んでいる?|企業が知っておくべき脅威と対策
みなさんが普段当たり前に利用しているインターネット。企業においても、情報収集や顧客とのコミュニケーション、業務効率化など、今や不可欠なツールとなりました。
しかし、その利便性の裏側には、企業にとって深刻な損失に繋がる様々な危険性も潜んでいます。インターネットの危険性についてはしばしば語られますが、企業にとってはどんなものでしょうか。
本記事では、企業が知っておくべきインターネットの危険性を解説します。それらを理解した上で、どういった対策を講じれば良いかもご紹介していますので、ぜひこの記事を参考に、快適で安全にインターネットを利用してください。
企業でインターネットはどのように活用されている?
現代において「仕事でインターネットを利用しない」というケースはかなり少なくなっているのではないでしょうか。
ここでは、一般的に企業でインターネットがどのように活用されているかをご紹介します。
情報収集のため
今はさまざまな分野の情報がインターネット上に存在しており、どんな媒体よりもそれらにアクセスしやすい環境となっています。PCやスマートフォンを持っていれば知りたい情報をすぐに知ることができるというのは、インターネットの最大の強みでしょう。
企業においては、日々の業務における困りごとや業界の最新情報、競合調査にいたるまで、それぞれの従業員が毎日のように情報収集を行っています。情報収集はビジネスの基本ですので、インターネットの活用方法の最たる例と言えます。
顧客とのコミュニケーションのため
顧客がいなければビジネスは成り立ちませんが、その顧客とのコミュニケーションにもインターネットが活用されています。
分かりやすい例でいうと、メールやチャットが挙げられます。メール・チャットは社外とのコミュニケーションで最も利用されるツールですが、これらはインターネットを介して相手に届けられます。
ほかにも、自社のホームページでサービスや製品情報を公開するのも、一種のコミュニケーションです。ホームページを公開し、世界中に届けてくれるのもインターネットです。
最近は X や Facebook などのSNSを活用して顧客と交流したり、情報を発信したりするのも当たり前になったため、インターネットは不可欠と言えるでしょう。
業務効率化のため
「働き方改革」などがさけばれるようになって久しいですが、インターネットを活用すれば業務の効率化を図ることができます。
クラウドサービス
クラウドサービスとは、インターネット経由で業務アプリなどのさまざまな機能を利用できるサービスです。メールやストレージ、経費精算、人事労務管理、顧客管理など、今やできないことはないほど多様なサービスが市場に展開されています。
クラウドサービスをうまく取り入れれば、さまざまな業務を効率化できます。
リモートワーク
リモートワークは自宅やカフェなどで業務を行うという働き方で、コロナ禍以降急速に普及しました。
PCさえあれば仕事ができる、という方もいなくはないかもしれませんが、多くの場合併せてインターネットも必要となります。例えば、社内の人とメールやチャットをしたり、社内サーバーにアクセスしたり、はたまた前述の通りクラウドサービスを利用したりするのには、インターネットがなくてはなりません。
企業におけるインターネットの危険性とは
便利で必要不可欠なインターネットですが、もちろん危険性も存在します。
企業におけるインターネット利用には、以下のような危険性が挙げられます。
- サイバー攻撃の対象になる
- 不正アクセスを受ける
- 情報漏えいを引き起こす
- 従業員が不正行為をはたらいてしまう
サイバー攻撃の対象になる
インターネットでさまざまな情報にアクセスできるということは、裏を返せば自社内のあらゆる情報もアクセスされる可能性があるということです。
近年の代表的なサイバー攻撃は以下の通りです。
- ランサムウェア
- 標的型攻撃
これらを被害を受けた場合、最悪、事業継続ができなくなるケースもあります。
ランサムウェア
ランサムウェアは、コンピューターに感染してシステムやデータを利用できない状態にし、解除するために金銭(身代金)を要求します。「対価を支払わなければ当該データを公開する」と要求する二重恐喝という手口も確認されています。
外部から社内ネットワークにアクセスして感染を広げたり、悪意のあるメールやWebサイトから配布するという手法があります。
標的型攻撃
標的型攻撃は、特定の企業の端末をマルウェアに感染させ、内部へ潜入し、そこから社内ネットワークやサーバーへと侵入します。取引先や顧客などを装ったメールを送信し、マルウェアを忍ばせた添付ファイルをダウンロードさせて感染させます。
かつては名の知れた大企業がターゲットになることが多かったですが、昨今では中小企業をターゲットとし、そこを踏み台に大企業へと感染を広げる手法が流行しています。
不正アクセスを受ける
不正アクセスとは、本来はアクセス権限を持たない者がサーバーに侵入したり、アカウントを悪用する行為です。代表的な例には、Webサーバー侵入によるWebサイトの改ざんや、クラウドサービスのアカウント乗っ取りなどがあります。
不正アクセスを受けた場合、情報漏えいを引き起こしてしまったり、自社を踏み台に取引先が攻撃されてしまったりと、甚大な被害を及ぼす可能性があります。
情報漏えいを引き起こす
情報漏えいは従業員の過失によっても引き起こされることが多いと言われています。
便利だからと宛先を間違えて顧客情報が入ったメールを送信してしまったり、フリーのWebサービスにむやみにデータをアップロードしてしまったりすると知らぬ間に社内の情報は広がっていってしまいます。最近は生成AIに社外秘のデータを学習させてしまうといったケースも見られます。
特に顧客情報の流出は、顧客からの信頼を失ったり、法的な責任を問われたりするなど、重大な問題につながってしまいます。
従業員が不正行為をはたらいてしまう
従業員による情報漏えいは過失ではなく故意である可能性もあります。
「従業員がインターネットを自由に使える状況」は、「社内のデータを自由に社外に持ち出すことができる状況」と言い換えることができます。メールやチャット、クラウドストレージなどを悪用すれば簡単に社外に情報を渡せるため、想像以上に簡単に不正行為は行えてしまいます。
企業ができる対策とは?
これまでインターネットの利便性と危険性を解説してきましたが、企業にとって重要なのはその両面を理解した上で、少しでもリスクを減らせるような対策を講じることです。
具体的な対策としては、以下が挙げられます。
- 従業員のリテラシー教育
- セキュリティ対策の強化
- 情報管理体制の整備
- インシデント対応計画の策定
従業員のリテラシー教育
企業では多様な人たちが働いています。年代や趣味、業務によってインターネットに対する理解や利用方法は千差万別でしょう。
まずはインターネットの利用方法に関する従業員のリテラシーを、できるだけ底上げすることが重要です。定期的に教育の時間を設けたり、教育ツールを使うという方法があります。教育ツールには、情報セキュリティに関する動画を見せたり、フィッシング詐欺メールを模したメールを定期的に配信するといったものがあります。
プライベートでのインターネット利用は自己責任ですが、企業内での利用は取引先や顧客にも影響を及ぼすということを理解してもらいましょう。
セキュリティ対策の強化
教育だけでは事故は防ぎきれません。企業として、しっかりとしたセキュリティ基盤を構築することも重要です。多様化・巧妙化するサイバー攻撃に応じて、セキュリティツールもより高度化しています。
企業が導入すべきセキュリティ対策は以下の通りです。
UTM
UTMとは、ファイアウォール、アンチウイルス、IPSなど、複数のセキュリティ機能を統合したソリューションです。ネットワーク全体のセキュリティをまとめて管理できます。
CASB
CASBとは、クラウドサービスへのアクセスを制御し、情報漏えいなどを防ぐソリューションです。主にクラウドへのアクセス経路やクラウド上のデータを保護します。
EDR
EDRとは、エンドポイント端末を監視し、脅威を検知・対応するソリューションです。サイバー攻撃を受けた際の被害を最小限に抑えます。
WAF
WAFとは、Webアプリケーションに対する攻撃を防ぐソリューションです。Webサイト改ざんなどの被害を未然に防ぎます。
メール誤送信防止
メール誤送信防止とはその名の通り、メールの誤送信を防ぐためのソリューションです。送信後に一定時間メールの引き戻しができたり、メール送信に上長の承認フローを折り込んだりできます。
ASM
サイバー攻撃を受ける可能性のあるIT資産や攻撃経路を把握・管理し、攻撃を受けるリスクを低減するセキュリティ対策です。
情報管理体制の整備
どれだけ従業員教育やセキュリティ対策を実施しても、悪意をもった内部不正を完全に防ぐことは残念ながらできません。内部不正のリスクを軽減するためには、自社が抱える情報資産の管理体制をしっかりと整備することが重要です。
具体的には、ファイルサーバーやクラウドストレージのアクセス権限の管理や、徹底した情報廃棄などを実施しましょう。
インシデント対応計画の策定
これまでご紹介したすべての対策を講じても、インターネットを利用している限り事故(インシデント)は起こる可能性があります。企業はそういったリスクに備えて、インシデント発生後の対応計画を策定しておかなければなりません。
しっかりと対応計画が練られていれば、万が一インシデントが発生しても、計画に応じて迅速に対応でき、被害を最小限に抑えることができます。
インターネットは企業にとって不可欠なツールである一方で、さまざまな危険性も存在します。企業はこれらの危険性を理解し、適切な対策を講じることで、インターネットを活用しつつ自社を守ることが重要です。
今回ご紹介した対策で安全なインターネット利用を促進していただけたら幸いです。